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確定申告が必要なサラリーマンとはどんな人?申告すると税金が戻るかも?!

2020年5月21日
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サラリーマンなどの給与所得者の場合は、通常、勤務先で年末調整を行うため、所得税や住民税の納税手続きは完了しています。したがって、原則、確定申告は必要ではありません。しかし、サラリーマンの中でもある一定の条件に該当する人は、確定申告をする必要があります。また、確定申告は不要な人でも、申告することで税金が戻ってくるケースもあります。

では、サラリーマンで確定申告をするといいのはどんな人なのでしょうか?この記事では、サラリーマンの確定申告について解説していきます。

確定申告とは?

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と所得税を計算し、税務署に申告をした後、所得税を納めることです。主に個人事業主やフリーランスなどの自営業者の方や、事業所得や不動産所得などで収入を得ている方、400万円以上の公的年金を受け取っている方などは確定申告を行う必要があります。

サラリーマンは原則確定申告は不要

一般的な会社員や公務員などの給与所得者の場合は、毎月の給与から税金が源泉徴収されています。つまり、勤務先が従業員の代わりに税金の申告と納税をしているため、原則として個人で確定申告をする必要がありません。しかし、それには例外もあり、確定申告が必要なサラリーマンもいます。

サラリーマンでも確定申告が義務付けられている人

国税庁は、給与所得者で確定申告が必要な人として、次のような条件を挙げています。以下の条件にひとつでも該当する方は、サラリーマンだとしても確定申告をしなければいけません。

給与が2,000万円を超えている人

給与が2,000万円を超えると、会社では年末調整の対象外となります。したがって、配偶者控除や扶養控除、社会保険料控除などの控除が差引かれていないため、所得税や復興所得税の精算が行われていません。そのため、個人で確定申告をする必要があります。なお、年収2,000万円以上になると、配偶者特別控除や住宅ローン控除などは受けることができなくなります。ただし、預金の利息や非上場株式の少額配当などは申告が不要となる所得もあります。

2ヵ所以上から給与をもらい、その所得が20万円以上の人

2ヵ所以上の勤務先から給与を得ており、本業となる会社以外からの所得が20万円を超えている場合は、すべての収入を合算して確定申告をする必要があります。しかし、次の条件に当てはまる場合は、確定申告は不要となります。

①給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下の場合
②①の条件に加え、給与所得もしくは退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の場合

副業などで、本業以外の所得が20万円以上あった人

本業以外の副業で、20万円以上の所得金額がある場合は、確定申告をする必要があります。確定申告をしない場合が、脱税とみなされ、追徴課税や重加算税などのペナルティーが科せられることがあるので注意が必要です。

不動産を売却して利益が出た人

不動産を売却して利益が出た場合は、確定申告をする必要があります。この場合は、給与所得者で確定申告が不要な人にも、税務署から申告書が送付されます。不動産の売却で得た所得は、他の所得とは分離して税額を算出して納税する課税方式となっており、譲渡所得に分類される分離課税として扱われます。

そのため、売却をすることで損をしたとしても、赤字の所得と黒字の所得を相殺する損益通算をすることはできません。ただし、2つ以上の土地もしくは建物を売却し、1つには利益が出て、残りに損が出るというケースの場合は、損益通算が可能となります。

年の途中で再就職し、年末調整をしなかった人

年の途中で転職した場合は、2ヵ所の勤務先から給与が支払われることになります。通常は、転職先に前の会社の源泉徴収票を提出することで、1年間分の給与を合算して年末調整をしてもらえるため確定申告は不要です。しかし、前職の源泉徴収を提出していない場合は、年末調整が行われません。したがって、個人で確定申告をする必要があります。

贈与を受けた人

親などから110万円以上の贈与を受けた人は、個人から財産を貰ったときに課せられる贈与税を申告する必要があります。基礎控除額である110万円を超えた財産の場合に、贈与税が発生します。しかし、生活費や教育費として貰う財産や住宅を購入するための頭金などで贈与を受けた場合は、贈与税はかかりません。なお、相続時に贈与税を精算する際には、「相続時精算課税制度」を適用することで、贈与時に発生する税の負担を軽減させることができます。

親などから相続した空き家を売却して利益を得た人

税制改正で「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が新設されたことにより、親などから相続や遺贈で空き家となっていた家を売却した場合は、確定申告を行わなければいけません。2016年4月1日~2023年12月31日までの期間内に売却し、一定の要件に当てはまる場合は、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除できます。

株取引で特定口座を設けていない人

株の売買で儲けた利益は、給与所得などのほかの所得と合算せず、特定の所有に対して課税される分離課税に該当します。したがって、給与とは別に計算しなければいけません。株取引を行う証券会社には、税金が源泉徴収される「源泉徴収選択口座」と、源泉徴収されない「簡易申告口座」の2種類の口座が用意されています。

源泉徴収される特定口座で取引している場合は、源泉分離課税で課税しているため確定申告は不要ですが、特定口座を指定していない場合は、確定申告をする必要があります。

保険の満期金を受け取った人

保険が満期になったときに受け取る保険金や、解約するときに受け取る保険金などは、一時所得として扱われるため確定申告をする必要があります。しかし、受け取った保険金の全額が課税の対象となるわけではありません。また、払い込んだ保険料よりも受け取った保険金の方が少なかったなど損失が生じた場合は、確定申告は不要となります。

サラリーマンで年末調整をしていても確定申告をすると得するかもしれない人

サラリーマンなどの給与所得者で確定申告をする必要がない人でも、確定申告をすることで税金が戻ってきたり、税金の支払いが不要になったりなど得するケースもあります。必ずしも確定申告をする必要があるわけではありませんが、確定申告をすることで還付を受ける可能性があるので念頭にいれておくことができるでしょう。

フリーランスや自営業を営んでいる家族がいる人

フリーランスや自営業を営んでいる家族がいる場合は、年によって所得が大きく変動する可能性があります。そのため、勤務先は年末調整を行う際、配偶者控除や配偶者特別控除などをしていなことがあります。もしそのまま放置してしまうなら、本来受けられるはずの控除を受けることができなくなってしまいますが、確定申告をすることで控除が適用されます。

なお、家族の収入が130万円以上の場合は、控除の対象外となるため確定申告をしても得することはありません。

年末調整で控除書類を提出できなかった人

勤務先に書類の提出を忘れたり、書類の発行が間に合わなかったりなどで年末調整で控除所類を提出できなかった場合は、年末調整が終了していません。そのような場合は、勤務先から年末調整済みの源泉徴収税額が記載してある源泉徴収票があれば、確定申告で控除を受けることができます。

年末調整後に結婚して家族が増えた人

年末調整後に結婚した人は、扶養控除や配偶者控除の対象となる可能性があります。そのため、確定申告をすることで、その分の控除額が適用され税金が戻ってくる可能性があります。確定申告の際に提出しなければならない書類はありませんが、配偶者が青色申告や白色申告をしていたり、給与が130万円以上ある場合は、結婚と同時に無職になったとしても控除対象外となるため確定申告をする必要はありません。

なお、扶養控除の対象となるのは16歳以上の親族なので、出産による家族の増加で扶養控除が適用されることはありません。

医療費が10万円以上かかった人

申告者本人や配偶者、扶養家族など同一生計をしている家族のの医療費を合計10万円以上支払った場合は、医療費控除の対象になることがあります。(所得が200万円未満の場合は、所得の5%の額が控除の対象となります)なお、医療費に該当するものは、治療費や入院費、通院の交通費、市販薬代など治療のためにかかった費用です。

美容や病気予防のためにかかった費用は対象外となります。また、人間ドックなどの定期健診も対象外ですが、重大な病気が見つかった場合は医療費控除の対象になります。

災害や盗難などに遭った人

自然災害や火災などの被害に遭った場合や、盗難や横領などの被害を受けたときは、所定の金額から「雑損控除」として控除することができます。確定申告をする際には、それらを証明する災害による支出領収書や、警察署、消防署などの証明の提出が必要となります。

寄附をした人

日本赤十字など国が定めた団体に寄付をした場合は、「寄付金額」もしくは「その年の総所得金額の40%相当額」のいずれか低いほうの金額から2,000円差し引いた金額を、寄付金控除として所得から差し引くことができます。また、ふるさと納税なども寄付金控除の対象となっています。ふるさと納税の場合は、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用するなら確定申告は不要となります。

ふるさと納税ワンストップ特例制度とは、5つ以内の自治体にふるさと納税をし、納税先の自治体に特例適用の申請書を提出するなら、確定申告は不要で控除が受けられる制度のことです。つまり、6つ以上の自治体にふるさと納税をした人には、この制度を利用することはできないため、確定申告が必要となります。

ワンストップ特例制度を利用しない場合は、確定申告の際に自治体から送付される「寄附金受領証明書」の提出が必要となります。さらに注意したい点として、寄附金控除の対象となっている団体は限定されいます。そのため、寄附をしても寄付金控除の対象外となることもありますので注意してください。

住宅ローンを組んだ人

住宅ローンを組んで家を購入したり、住宅ローンを組んで増築した場合は、一定の要件と満たしていれば「住宅ローン控除」を受けることができます。適用1年目は確定申告が必要となりますが、2年目以降は年末調整で処理することができます。また、バリアフリーや省エネ、3世代同居のためのリフォームなどをした場合は、「住宅特例改修特別税額控除(住宅ローンを組まなかった場合でも可能)」「住宅ローン控除」「特例増改築等住宅ローン控除」のいずれかを選択し、控除することができます。

さらに耐震工事をした場合も、工事費用に応じて一定額を税額から差し引いたり、住宅ローン控除と併用することが可能です。

家を売って損した人

家を売却した際に、住宅ローンが残っていて、損をしてしまった場合は、その損失を給与所得などと損益通算できます。通算しても損失分が余っている場合は、翌年以降3年間、繰り越せます。なお、控除を受けられるためには、次の一定の条件を満たしている必要があります。

・住宅を5年以上所有していた
・住宅ローンが10年以上残っている
・合計所得が3,000万円以下である
・住宅を売却した相手が親族以外である

サラリーマンは「特例支出控除」で経費を控除することも可能!

「給与所得者の特定支出控除」とは、サラリーマン自らが負担している費用のことです。それには次のようなものが対象となっています。

・通勤費
通常必要であると認められる通勤のためにかかった費用

・転居費
通勤に伴う転居をし、通常必要であると認められる費用

・研修費
職務に必要な技術や知識を得ることを目的とした研修をうけるためにかかった費用

・資格取得費
職務に直接必要な資格を取得するためにかかった費用(弁護士・公認会計士・税理士などの資格取得費も対象)

・帰宅旅費
単身赴任などで、勤務地もしくは居所と自宅の間の旅費にかかる費用

・勤務必要経費
勤務必要経費には、書籍や定期刊行物など職務にかかる図書費、制服・事務服・作業服など勤務場所で着用する必要のある衣服を購入するための衣服費、交際費・接待費などの非超で得意先などに接待した際にかかった交際費などにかかった支出は、特例支出の対象として認められています。ただし、その支出の合計額が65万円を超える場合には、65万円までが対象となります。

特定支出の合計が、給与所得控除額の半分以上だった場合は、確定申告をすることで、超えた分の金額を所得金額から差し引く特定支出控除が適用されます。ただし、確定申告をするためには、勤務先がそれらを経費であると認めなければ確定申告をすることができません。

サラリーマンの確定申告はいつ?

確定申告をする義務のあるサラリーマンの場合は、2月16日から3月15日の期間内に確定申告をする必要があります。しかし、確定申告をすることで得するかもしれない人の場合は、1月上旬から先行して確定申告をすることができます。

また、サラリーマンなどで税金を多く徴収された場合に確定申告をし、納めすぎた所得税の還付を受けることを「還付申告」といいます。還付申告の場合は、上記の2月16日から3月15日という確定申告期間は関係なく、申告対象の翌年1月1日から最長5年間、いつでも必要書類を提出し、申告することが可能となっています。該当する方は、必要書類を揃えて「確定申告」もしくは「還付申告」を行いましょう。

また、確定申告の期限を過ぎた後、確定申告の計算間違いに気づき、税金を多く払いすぎてしまった場合は、「更正の請求」と呼ばれる、再計算をして税金の還付を請求する手続きをすることで、税金を取り戻すことが可能となっています。

確定申告から還付金を受け取るまでの流れ

還付金をいつ受け取れるかについて、具体的な日程は決まっていません。なぜなら、確定申告をした時期や確定申告の提出方法によって手続きにかかる時間が異なるからです。とはいっても、確定申告をしてから還付金を受け取るまでは、約1~2ヶ月ほどとなっています。還付金は、銀行などの口座で受け取ることが可能ですが、納税者本人の預金口座となっています。

確定申告書の「還付される税金の受取場所」という欄に口座情報を記入した口座へ、還付金が振り込まれます。(インターネット専用銀行は、特定の銀行以外は還付金の振込口座に指定することできないので注意してください)その後、必要事項をすべて記入した確定申告書は、必要書類と一緒に提出します。提出方法には、①税務署に持参する、②郵送する、③e-taxを利用するの3つの方法が用意されています。

①税務署に持参した場合

確定申告書を税務署に持参した場合は、約1~2ヶ月後に還付金を受け突ことができます。申請書類を税務署が確認し、書類に不備が無ければ還付が確定します。そして、還付金額と振込日が記載されたはがきが郵送で届きます。

②郵送した場合

確定申告書類は、税務署に郵送で提出することも可能です。郵送の場合も、還付金が振り込まれるまでには、約1~2ヶ月かかります。控えを返送してもらいたい方は、確定申告書と必要書類を送付する際に、必要な額の切手を貼った返信用封筒も一緒に同封しましょう。なお、郵送で提出する場合は、消印の日付が提出日となりますので、ギリギリに投函することは避けるようにしましょう。また、宅急便やゆうパックなどでの提出は受け付けていません。

③e-taxを利用した場合

e-taxで電子申告をした場合は、税務署への持参や郵送よりも早く、約3週間ほどで還付金が振り込まれます。また、e-taxにログインすると、還付金の振込予定日や金額など還付金の処理状況についてチェックすることも可能です。

還付でなく納税するケースもある?

確定申告をして、納める税額がプラスになった場合は、納税しなければいけません。所得税の納税は、税務署から納付書は送付されないため、自分で納税手続きをする必要があります。確定申告をして所得税を納付する場合の期限も、3月15日までとなっていますので、期日までに納めるようにしましょう。もし期限までに納付できない場合は、延滞税などのペナルティーが発生しますので気を付けましょう。

また、納付は税務署窓口をはじめとし、金融機関で現金で納付する方法、口座振替、e-taxなどでの納付も可能となっています。ご自身が納税しやすい方法を選択することができるでしょう。

まとめ

サラリーマンや公務員など給与所得者の場合、勤務先で年末調整をしてくれるため、確定申告とは無縁だと感じている方も少なくありません。しかし、給与所得者でも確定申告が義務となっている人もいますし、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性のある人もいます。

義務となっている場合は、必ず確定申告をする必要がありますが、税金が戻ってくる可能性のある人は、是非、自分が控除の対象になっていないかどうか、よく確認してみましょう。最長5年まで遡って申告することもできますので、思い当たる方はチェックしてみましょう。


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