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一括償却資産とは?少額減価償却資産との違いや償却資産税について解説

一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満のものを3年間で均等に償却して経費にすることができる制度です。法人だけでなく、個人事業主の方も対象となっています。一括償却資産は少額減価償却資産とよく間違えられやすく、混同している方も少なくありません。この記事では、一括償却資産の基礎知識や少額減価償却資産と違いについて解説していきます。

一括償却資産とは?

一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の固定資産ならどんな種類だとしても、個別に償却せず、使用した年から3年間にわたって均等に償却できることです。つまり、「取得価額×1/3」の金額を1年間の償却額できる制度です。

通常、事業で使用する備品や機械などを購入したとき、1点の金額が10万円以上のものは、一度に全額を経費として計上することができません。国税庁が種類ごとに雇用年数を設定しており、その年数に応じて、毎年経費として計上していく必要があります。しかし、一括償却資産で計上するなら、3年間で均等に償却することが可能となります。

例えば、18万円のパソコンを2台購入した場合、18万円×2台=36万円になります。この36万円を3年間、つまり、1/3で均等に償却すると、1年目が12万円、2年目が12万円、3年目が12万円と、3年間均等に償却することができます。しかし、取得金額は20万円未満までなので、20万円を超えるパソコンを購入した場合は、適用外となります。

少額減価償却資産との違いとは?

少額減価償却資産は、青色申告書を提出している中小企業等が適用となる制度で、取得価額が30万円未満の減価償却資産のことです。少額減価償却資産として処理する場合は、取得した資産は、取得事業用のものである必要があります。

なお、一括償却資産には年間の上限金額は設定されていませんが、少額減価償却資産の場合は、適用が受けられるのは年間300万円以内と限定されています。

対象となる資産

一括償却資産の対象となるものには次のようなものが該当します。

・区分:有形
対象となる有形資産には、備品、器具工具、機械、装置、建物、付属設備、構築物、車両、運搬具などが挙げられます。

・区分:無形
対象となる無形資産には、ソフトウェア、営業権、特許権、商標権などが挙げられます。

・区分:その他
その他の資産には、農業用の動物や植物などが該当します。

対象となる有形資産は、新品に加え、中古で購入したものも適用されます。

仕訳方法は?

取得した資産は、それに合った勘定科目で計上します。代表的な勘定科目は、次のようになっています。

勘定科目:建物
倉庫、車庫、プレハブなど

勘定科目:建物附属設備
エアコン、証明、カーテン、消火設備、ガス、内装工事など

勘定科目:車両運搬
自動車、バイク、台車など

勘定科目:工具器具備品
パソコン、スマートフォン、携帯電話、机、椅子、テレビ、冷蔵庫など

勘定科目:ソフトウェア
パソコンで使用するソフトなど

なお、勘定科目を間違えたとしても不利益を被るわけではありません。判断がつかない場合は、一番近いと思う勘定科目で計上しましょう。

対象となる資産の取得金額と消費税について

すでにみてきたように、一括償却資産の対象となる資産は、取得価額が10万円以上20万円未満のものです。税込か税抜のどちらで10万円以上20万円未満にするからの判断基準は、その事業者は法人の状況によって、次のように異なっています。

消費税の申告がある免税事業者の場合

消費税の申告がない免税事業者の場合は、取得金額が10万円以上20万円未満かどうかは、消費税込の金額となります。

消費税の申告がある課税事業者の場合

法人税や所得税の申告と一緒に消費税の申告もしている課税事業者の場合は、消費税を税込経理で処理している場合は消費税込、税抜経理で処理している場合は消費税抜、と消費税の会計処理の方法に応じて判断する必要があります。

一括償却資産の償却方法と償却年数について

すでにみてきたように、一括償却資産は、3年間にわたって均等に償却します。資産毎に月割りで償却していく、通常の減価償却とは異なりますので注意が必要です。

例えば、その年の1月に1台15万円のパソコンを10台購入し、その年の12月に1台15万円のパソコンを20台購入した場合は、15万円×30台÷3年=150万円となります。つまり、1年あたりの一括償却資産は、150万円で計上することになります。

一括償却資産を除却したときの処理法は?

一括償却資産に関する規定では、少額の資産を個別管理することは複雑なため、個別管理をすることは前提とされていません。そのため、一括償却資産に計上した資産を除却した場合は、残存薄価を除却損として計上することはできません。毎年計上していた1/3の償却だけが、損金として計上処理されることになります。

例えば、1年目に15万円のパソコンを10台購入した場合は、通常、150万円を3年で一括償却資産として計上することになるので、1年あたりの損金算入額は、50万円になります。2年目に購入したパソコンのうち5台を除却した場合は、1年目同様、損金算入額は50万円と計上します。そして、3年目も1・2年目同様、50万円を損金算入額として計上します。

このように会計処理は、除却したとしても損金算入額が変わることはありませんが、パソコンの備品を管理するためには個別で処理する必要があります。

一括償却資産を適用するメリットとは?

一括償却資産を適用するなら、次のようなものメリットを得ることができます。

耐用年数を調べる必要がない

固定資産には様々な種類が存在しているため、減価償却をするためにはその種類を特定しなければいけません。国税庁が種類ごとに決めている耐用年数を適用する必要があるので、耐用年数を調べなければいけません。

雇用年数を新たに調べる作業は、容易なことではありません。しかし、一括償却資産を利用すれば、耐用年数を調べることは不要なので、事務作業の効率化につながります。

償却期間を早めることで費用を前倒しで計上できる

20万円未満の固定資産に該当する器具や備品の中には、3年以上使用することが可能なものが多くあります。例えば、パソコンや事務机、椅子などは、元々設定されている耐用年数は3年を超えています。一括償却資産を利用すれば、短い分だけで費用を前倒しして計上できるので、償却を早めることができるというメリットが得られます。

償却期間を短くするデメリットとは?

一括償却資産を適用するなら、費用処理や償却期間を短くすることで費用を前倒しで計上できるなどのメリットも得られますが、その反面、デメリットもあります。それは、償却期間を早めることで、その分利益を押し下げることになる、というデメリットです。

例えば、銀行から融資を受けようとしているときや、投資家から出資を受けようとしているときなど、利益が出ていないと判断されてしまい、融資や出資などがうまくいかなくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

一括償却資産を適用する場面とは?

では、多くの事業者は、一括償却資産をどのようなときに適用しているのでしょうか?

・青色申告の場合
青色申告をしている事業所の場合は、1年間の固定資産の合計金額が300万円以上で、取得金額が10万円以上20万円未満の固定資産を購入した場合に、一括償却資産をして会計処理をすることが多いようです。

・白色申告の場合
白色申告をしている事業所の場合は、10万円以上20万円未満の固定資産を購入した場合に、一括償却資産として会計処理をすることが多いようです。

一括償却資産の「償却資産税」について

減価償却資産を一定額以上保有している場合、「償却資産税」という税金が課せられます。毎年1月1日現在で保有している減価償却資産を、減価償却資産がある地方自治体に申告することが求められています。期限は、1月31日までとなっています。

通常、取得金額が10万円以上の減価償却資産は、償却資産税の申告の対象として含める必要がありますが、一括償却資産として処理した場合は、償却資産税の対象外となっています。

つまり、一括償却資産として処理するなら、償却資産税の負担が少なくなるので節税につながります。なお、取得時に、少額減価償却資産として全額を経費計上で処理した資産は、償却資産税の対象となります。また、通常の減価償却資産として、経理で処理した場合も償却資産税の対象になります。

償却資産税の対象となるものとは?

償却資産税の対象となるものには、現在使用していない機材なども含まれます。対象物には、構築物、機械や装置、船舶、航空機、車両、工具、器具や備品などが挙げられます。一方、申告の対象とならないものには、自動車税、無形固定資産などです。

まとめ

一括償却資産とは、取得金額が10万円以上20万円未満のものを、3年間にわたって均等に償却して経費にすることができる制度です。一括償却資産を適用するなら多くのメリットも得ることができます。

その中でも一番大きなメリットは、一括償却資産として計上した場合には、償却資産税の対象外となり課税されないことが挙げられます。つまり、一括償却資産として計上するなら節税につながります。会計処理をしていく上で、一括償却資産を上手に活用していかれることをおすすめします。

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領収書

領収書の基礎知識ー正しい書き方とそのポイント!

ビジネス上の取引をした際に発行する「領収書」は、とても身近な大切な書類のひとつです。しかし、いざ自分で作成することになると、正しい書き方が分からない・・という方も少なくありません。今回は領収書の基礎知識と正しい書き方について解説していきます。

領収書とは?

領収書とは、商品の代金やサービスに対して、「受取人が支払者に対して金銭を受け取った」ことを証明するときに発行する書類です。会社員であれば、出張の旅費や接待での飲食費などを精算するために経理担当者に領収書を提出したり、個人事業主であれば、確定申告をする際に必要となります。また、お金を受け取った側は、商品やサービスの対価として、お金を受け取ったことを証明するために領収書を使います。

このように領収書には、商品やサービスの代金を支払ったことを証明します。また、領収書は、支払った側から自分で支払ったことを証明できるので、支払らった代金を再度請求されることを防いだり、二重払いすることを防ぐ役割もあり、支払い側にも受取側にも重要な書類となります。ですから、どんな商品やサービスを購入したとしても、領収書は受け取っておく必要があります。

そうすれば、税務調査などが入ったときには、売上額の証明や経費の証拠として領収書で確認することができます。もし経費として計上している額を証明できる領収書がないと、その額に対して税金が課されることになります。

領収書は会社のお金の流れや動きを証明する大事な書類なので、書き方にはルールが設けられています。記載に不備があると領収書として認められないので、ルールに沿って正確に記載する必要があります。

領収書の役割とは?

上記でみたことと重なるところもありますが、領収書には発行した側と、それを受け取った側には次のような役割があります。

領収書を発行した側

領収書を発行した側の場合、領収書は現金などの受取があった相手に渡すだけでなく、手元に領収書のコピーが残ります。それは売上金や売掛金の回収がなされたことの証拠となるので、確定申告や決算などの重要な書類となります。

領収書を受け取った側

領収書を受け取った側の場合、代金の支払いの証明となります。そのため、経費として認められる大事な書類となります。また、支払いの事実となる証拠文書なので、二重請求などの不正を防止する役割もあります。

領収書の正しい書き方とそのポイント!

消費税法では、「支払者から代金を受け取った日付」「買い手の氏名(名称」「金額」「提供した商品やサービス名(但し書き)」「領収書の書類作成者(発行者)」が記載されているものが、領収書と認められると定められています。では、この点を踏まえて、領収書を書く際に気を付けたいポイントは7つをみてみましょう。

①タイトルと領収書の通し番号

まず一目で領収書だと分かるように「領収書」というタイトルが表記されていることが大切です。そして、絶対に記載する必要があるわけではありませんが、領収書の通し番号が記載されているなら、透明性を税務署にアピールすることにつながります。

②日付

日付は、実際に代金を受け取った取引をした日付を記載します。和暦、西暦どちらでも問題ありませんが、省略して記載してはいけません。「令和元年」「2020年」など、年号や西暦のすべての桁まで正確に記入する必要があります。

③宛名(会社の名称)

宛名は支払者に確認し、支払者の氏名や企業名を正式名称で記載する必要があります。誤字があると無効になってしまうことがあるので注意が必要です。

特に会社名を正確に記入することはとても大切です。(株)と省略しないで、株式会社と正確に記入することはもちろん、前株(会社名の前にある株式会社)と後株(会社名の後ろにある株式会社)にも十分な注意が必要です。

社名を口頭で聞き取ることが難しい方は、名刺をお借りして転記するなら、間違いを避けることができるでしょう。また、すぐに領収書に社名を記入せず、一度領収書以外の紙に書いてから、領収書へ記入することも間違いを避けるひとつの方法です。

さらに、お客様から「上様」と記入するように言われることもあります。その通りに記載しても構いませんが、調査が入った場合に経費として認められないことがあります。

④金額

金額の記載は、改正や改ざんができないようルールが設けられています。次の3つのパターンのいずれかを用いるようにしましょう。

・¥○○○,○○○※
・¥○○○,○○○ー
・金○○○,○○○也

このように実際に受け取った代金を税込金額で記載し、3桁ごとに「, 」と桁区切りを打ちます。そして、数字の頭に「¥」や「金」の表記を入れ、末尾には「※」「-」「也」なども文字や記号を記載します。

⑤但し書き

但し書きは、どんな商品やサービスに対する支払いなのかが分かるように内容を記載します。例えば、「飲食代として」「書籍代として」など具体的な品名と記載したり、「(主要な品目名)+他など」、支払者が何を購入したのかが一目で分かるように記載しましょう。

一般的には「お品代」と表記することがよくあります。しかし、何のサービスに対して取引したものなのかが分からないため、本来は認められず、証明するには不足とみなされることがあります。領収書の正当性が認められないと、経費として認められないだけでなく、脱税行為とみなされることもあるので注意が必要です。

⑥収入印紙

金額が5万円以上の場合は、課税の対象となるため、収入印紙を貼り付ける必要があります。印紙税法第20条で規定されており、もし印紙を貼らないと収入印紙税の脱税になります。

なお、5万円以上100万円以下の場合は200円、100万円以上200万円以下の場合は400円、と収入印紙額が定められています。また、収入印紙は再利用を防ぐために、割印を押すことになっており、割印がないと無効になりますので忘れずに押すようにしましょう。

⑦領収書を発行する側の住所と氏名

最後に、領収書を発行する側の個人名や屋号、会社名などを正式に記載します。さらに住所、電話番号、FAX番号なども書きましょう。また、法的に規定されているわけではありませんが、認め印を押します。

5万円以上の領収書には収入印紙が必要!

上記でもみたように、取引金額が5万円以上の場合は、収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙は、売上代金を受け取った文章に貼らなくてはいけない、と印紙税で規定されています。

そのため、印紙税を貼るべき課税文書(領収書)に、納付すべき収入印紙を貼らなかった場合は、課税文書の作成者に対してペナルティが課せられます。印紙の額面の3倍に相当する金額と、過怠税が罰金として課せられますので、5万円以上の領収書を発行する際には、忘れずに収入印紙を貼るようにしましょう。

領収書とレシートの違いとは?

税法上では、レシートも領収書同様、商品の代金やサービスの対価を受け取ったことを証明する書類として認められています。レシートには、「発行日」「金額」「内容」「発行元」が記載されている上、領収書よりも商品やサービスの内容が詳細に記載されているため、経理担当者や税務署の職員もどのような経費なのかを判断しやすい、と言われています。また、レシートはレジなどで印字されているため、手書きの領収書と比較すると、取引内容や金額を修正が難しくなっています。

このようにレシートには多くのメリットがありますが、信頼できる金銭の受理を証明する書類には、「宛名」が必要とされています。レシートには宛名が記載されていないので、宛名の記載されている領収書の方が信頼できる有効性のある書類として認められています。

領収書は訂正することは可能?

領収書は、確定申告など税務上、大切な書類のひとつです。そのため、金額の訂正をすることは、法的に認められていません。しかし、金額以外の日付、相手先名、発行者名などは、受け取る側と発行した側の双方が納得しているなら、訂正することが可能です。

ですが、万が一のトラブルに備えて、訂正印や修正テープなどで訂正した領収書を渡すよりも、再発行した領収書を渡すほうがいいでしょう。

通し番号のある領収書の場合

領収書綴りや通し番号のある領収書を利用している場合は、書き間違えた領収書を捨てずに×印などを書き、そのまま保存します。なぜなら、税務調査などのチェックを受ける場合、紛失や破り捨てるなどで領収書がないと、マイナス印象を与えるからです。つまり、間違いや訂正した、という証拠を残すためにもそのまま保存しておきましょう。

間違えた領収書を渡してしまった場合

お客様に領収書を渡した後に間違いに気づいた場合は、先方に連絡をし、訂正した領収書を渡したい、という旨を伝えます。その際、間違えた領収書を回収することを忘れないようにしてください。そして、回収した領収書は、×印などを付けて保存しておきましょう。

領収書の再発行を依頼された場合

お客様から何らかの理由で領収書の再発行を依頼された場合は、領収書を再発行することができます。その際には、領収書に「再発行」と記載してください。また、再発行であっても収入印紙が必要な場合は、収入印紙を貼付し、割印が必要となります。

法人の領収書の保存期間について

法人の場合、領収書は法人税法で「帳簿書類」に属し、保存期間は7年間と規定されています。この帳簿書類には、現金出納帳や売上帳などの帳簿類、契約書、注文書などの重要な書類のひとつに、領収書も該当しています。

領収書を7年間保存することが義務付けられているのは、税金の時効が7年間となっているからです。つまり、7年過ぎると、税務調査は原則てきなくなります。そのため、領収書も7年間保存しておくよう決められています。

注意したいのは、7年の始まりです。領収書が発行されてから7年ではなく、法人申告期限日から7年が始まります。法人税の申告期限日は、法人に決算日の2ヶ月後になります。

例えば、決算日が2020年3月31日の場合、法人税申告期限日は2020年5月31日になります。領収書の保存期間は、2020年5月31日から始まる7年間となりますので、2027年5月31日までとなります。

個人事業主の領収書の保存期間について

個人事業主の場合も、領収書の保存期間は所得税で規定されています。しかし、保存期間は青色申告と白色申告では異なっています。ただ、青色申告にせよ白色申告にせよ、保存期間の起算点は、確定申告の期限日からとなっています。

青色申告の場合

青色申告で申請している個人事業主の場合は、領収書の保存期間は7年間です。青色申告では、領収書は「現金預金等関係書類」に属しています。帳簿や決算関係書類も7年間保存することが義務付けられています。ただし、前々年の所得が300万円以下の場合は、保存期間は5年間となります。

白色申告の場合

白色申告で申請している個人事業主の場合は、領収書の保存期間は5年間です。ただし、収入や経費などが記載してある帳簿は、7年間保存することが規定されていますが、可能であれば、帳簿と一緒に領収書も保存しておくことができるでしょう。

赤字の場合

青色申告の法人が赤字決算で申告をした場合は、領収書の保存期間が10年となります。なぜなら、法人の赤字を繰り越せる期間に合わせるためです。例えば、2020年5月31日に法人税申告期限で法人税を申告した場合は、10年後にあたる2030年5月31日まで保存する必要があります。

仕入控除を受けている場合

仕入控除とは、仕入れや流通の段階で何度も消費税が課税されるのことを防ぐ制度のことです。つまり、仕入れにかかった消費税を、本来支払うべき消費税から控除することが可能となります。

仕入控除を受けている場合は、消費税法で、領収書を7年間保存するよう規定されています。白色申告の所得税法では、保存期間が5年間と規定されていますが、保存期間が長い法律が優先されるので、消費税法に基づく7年間の保存が必要となります。

領収書の保存方法について

領収書などの帳簿書類は、原則的に紙で保存することになっています。そのため、領収書をPDFファイルなどで発行したり、WEB上で確認したりなどの電子取引の場合でも、領収書を紙に印刷して保存する必要があります。プリントアウト後は、専用のファイルに日付順にファイリングしていくことができるでしょう。

しかし、2016年の税法改正により、スキャンや写真、スマートフォンで領収書を撮影して保存するなどの電子データの保存も認められるようになりました。ただし、電子データで保存する場合は、導入の3ヶ月前までに、管轄地区の税務署に申請し、承認を受けなければいけません。申請を受けていない期間の領収書は、従来通り、紙で保存する必要があります。紙以外での保存を希望するなら、最寄りの税務署で保存方法について確認されることをおすすめします。

まとめ

領収書には受け取る側はもちろんのこと、発行する側にとっても大きな役割をもつ重要な書類です。正しい金額、正しい税額、正しい宛名、正しい但し書きを記載しなければ、領収書が無効になったり、最悪の場合は脱税行為とみなされることもあります。

普段何気に受け取ったり、作成していた方も、ルールに沿った正しい書き方の領収書を発行するようにしましょう。また、受け取った領収書も発行した領収書のコピーも、法律で規定されている期間内は大切に保管しておくようにしましょう。

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年末調整

給与支払報告書とは?その書き方と提出方法について

所得税の支払義務のある給与支払い事業者の経理関係者は、法人や個人事業主を問わず、「給与支払い報告書」を作成し、提出しなければいけません。この記事では、給与支払い報告書の基礎的な知識とその書き方や提出方法について解説していきます。

給与支払報告書とは?

給与支払報告書とは、従業員一人ひとりの年間に金額を報告する「個人別明細書」と、それらを区分してまとめた「総括表」の2つで構成されている書類です。

個人別明細書について

個人別明細書は、所得税の源泉徴収票と同じ内容が書いてある書類です。給与を受ける人の氏名、住所、生年月日、給与の金額、保険料控除に金額などが記載されています。源泉徴収票との違いは、提出先が税務署ではなくて市区町村であることです。また、使用用途が、住民税と国民健康保険の計算であることも異なっています。

総括表について

総括表とは、事業所全体の個人別明細書をまとめるときの表紙になるものです。その市区町村に、その会社から何人の従業員や個人別明細書が提出されたのか、退職した人は何人いるか、住民税の特別徴収や普通徴収など内訳が記載されています。

給与支払報告書と源泉徴収票の違いとは?

給与支払報告書と源泉徴収票は、基本的に同じ内容が記載されていますが、源泉徴収票は所得税のための書類、給与支払報告書は住民税のための書類、という用途の違いがあります。税務署などで用意されている源泉徴収票の用紙には、複写式になっているものがあり、給与支払報告書も同時に作成することが可能となっています。

書類に書かれている記載事項はほぼ同じですが、使用される用途の税金の種類が異なるので、書類の提出先も異なってきます。源泉徴収票は、国税である所得税に関する書類なので、給与等の支払いを受ける本人に交付することが義務付けられています。所得税は、源泉徴収や確定申告などを通して納めます。

もし所得控除に該当しているなら、納税者本人は、確定申告が必要な際に源泉徴収票を確定申告書類と一緒に税務署へ提出する必要があります。また、人によっては役職や受給額に応じて、源泉徴収票を法定調書として税務署へ提出するケースもあります。このような理由から、源泉徴収票は、給与支払いなどを受ける本人に交付されます。

一方、給与支払報告書は、地方税である住民税に関する書類です。住民税は行政側が税額を決定し、通知するという賦課課税という方式により課税されるので、事業主が支払い報告書を提出することになっています。

給与支払報告書の提出対象者とは?

給与支払者である事業主は、前年中に給与の支払いをしたすべての従業員について、翌年の1月31日までに市区町村へ、給与支払報告書を提出することが義務付けられています。すべての従業員とは、役員や正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態を問いません。つまり、1回でも給与をもらった人は、対象者となります。

また、年の途中で退職した人も該当します。なお、前年中に退職した人の場合、前年中の給与支払いの総額が30万円を超えているなら提出することが義務付けられていますが、30万円以下だとしても適切な課税をするため給与支払報告書を提出するよう市区町村から求められています。

給与支払報告書の書き方について

給与支払報告書の個人別明細書は源泉徴収票と同じ書き方なので、ここでは総括表の書き方について解説していきます。
総括表は、市区町村ごとに独自の様式を採用しています。しかし、記載する内容は基本的には同じです。総括表には、次のような記載事項が設けられています。

・「給与支払者の個人番号又は法人番号」
総括表の一番上の欄は、給与支払者が個人事業主の場合は個人番号(マイナンバー)、法人の場合は法人番号を記入します。

・「給与支払者の氏名又は名称」
給与支払者の氏名、もしくは事業所の名称を記載します。

・「所得税の源泉徴収をしている事業所又は事業の名称」
所得税を源泉徴収している事業所などの名称を記載します。

・「受給者総人員」
翌年1月1日現在に在籍している総人数を記入します。どの市区町村に問わずすべての数を記載します。

・「報告人員」
その市区町村に対して提出する個人別明細書が、何名分あるかを記入します。この人数には、中途退職者の数も一緒に含めてください。

・「報告人員のうち退職者人員」
その市区町村に対して提出する個人別明細書のうち、退職者分が何名分あるかを記入します。

・「所属税務署名」
給与支払者の事務所を管轄している税務署を記載します。もし給与支払報告書の内容に間違いがあった場合には、市区町村から税務署へ連絡はいき、源泉所得税の修正などが行われます。

給与支払報告書の提出期限

上記でも触れましたが、給与支払報告書は1月31日までに、市区町村へ提出する必要があります。31日が土日祝日と重なる場合は、次の平日までとなります。年末調整がスケジュール通りに終了しているなら、給与支払報告書を提出期限までに提出することは、それほど大きな負担とはならないでしょう。しかし、もし再年末調整が発生してしまった場合は、1月の事務作業は忙しくなることが予想されますので注意が必要です。

提出期限に遅れてしまうとどうなる?

では、給与支払報告書の提出が遅れてしまうとどうなるのでしょうか?本来は1年分の住民税を12ヶ月分に分割して納付することになっています。しかし、提出期限が遅れてしまった場合は、12ヶ月ではなく、遅れた期間に応じて11ヶ月や10ヶ月・・など分割回数が減ってしまいます。そのため、1ヶ月当たりの住民税の金額が高くなります。

特にペナルティはありませんが、従業員の負担が増えてしまうので、提出期限内に間に合わせるようにしましょう。

「普通徴収」と「特別徴収」について

個人住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収の2通りの方法があります。普通徴収とは、その年度の個人住民税を市区町村が本人へ直接通知します。その後、納税者本人は、納付書や口座振替などで6月・8月・10月・翌年1月の年4回に分けて納付します。

一方、特別徴収とは、その年度の個人住民税を市区町村が本人の勤め先や年金支払者を経由して通知します。個人住民税は、毎月の給与や年金の支給金額から源泉徴収、つまり、天引きする形で納税することになります。給与所得者の場合は6月から翌年5月までの12回、年金受給者の場合は4月から2か月ごとに6回に分割して納付します。

原則として、給与支払者は特別徴収義務者、従業員などは特別徴収となっていますが、一定の基準に該当している場合は普通徴収となります。

まとめ

給与支払報告書は、法令で義務付けられている提出書類で、従業員一人ひとりの年間に金額を報告する「個人別明細書」と、それらを区分してまとめた「総括表」の2つで構成されています。

経理担当者の方にとっては、年末調整に続き、年明けからも給与支払報告書の作成業務で忙しくなりますが、翌年の1月31日の提出期限までに書類を提出するようにしましょう。また、総括表の基本的な内容は同じですが、各市町村によって様式が若干異なっていますので、間違えないよう慎重に作成していきましょう。

給与支払報告書など書類作成を負担に感じている方は、会計ソフトを活用したり、信頼できる税理士に相談することなどもひとつの方法ですので検討してみることができるかもしれません。

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会計

弥生会計はどんな会計ソフト?その種類や特徴など選ばれている理由を解析!

これから起業や個人事業主などを検討している方や、すでに経営をしている方、会社勤めの経理部の方などの中には、会計ソフトを導入してみようかと悩んでいる方もおられることでしょう。

様々な会計ソフトが存在していますが、その中のひとつ「弥生会計」はすでに多くの方が使用している有名なソフトです。今回は会計ソフト「弥生会計」にスポットをあて、その種類や特徴について詳しく解説していきます。

会計ソフトでできることとは?

事業をする上で、会計業務にかかる手間と時間は非常に大きなものです。そこで便利なツールが、会計ソフトです。会計ソフトは、事業に関する多種多様な計算を効率よくできることに加え、現金出納帳や総勘定元帳などの帳簿や、貸借対照表や損益計算書などの決算書などの作成もスムーズに行うことができます。

そのため、会社のお金の流れや動きを効率的に知ることが可能となります。中小企業や個人事業主の会計処理、確定申告などには、もはや会計ソフトが手放せないアイテムとなっています。

会計ソフトの導入前に知っておきたいこと

会計ソフトの導入をする前に、会計ソフトを導入することで得られるメリットやデメリットを知っておくことは大切です。

・会計業務が効率化される
会計ソフトを導入すると、入力作業や仕訳帳、総勘定元帳などの作成が簡単に行えます。

・会計事務所とデータを共有できる
会計事務所と会計ソフトの入力データを共有することができるので、決算のためにデータを送信したり、確認をしてもらうために来社してもらうことが不要となります。

・バックアップができる
ソフト上でバックアップを取ることができるので、万が一帳簿を紛失したり、誤ってデータを消してしまったとしても問題ありません。

・会計知識がなくても作業ができる
会計ソフトを利用すると、摘要欄を選んで入力するだけで、自動で勘定科目を選んで仕訳してくれるので、会計知識がない方でも会計業務が行えます。

・不正行為の防止になる
会計ソフトは、手書きやエクセルと比較すると、入力履歴が残るため、数字の書き換えを簡単に行うことができませんし、伝票から自動で帳簿に転記されるので改ざんすることも難しくなるので、不正行為が起こりにくくなります。

・事業を改善する機会が増える
貸借対照表や決算書など、会計ソフトで出力するたびに、最新の数字を目にします。そのため、会社の経営状況を常に把握することができ、問題点にも早期発見することが可能です。

このように会計ソフトを導入すると、様々なメリットが得られます。しかし、会計ソフトには、様々な種類が存在しています。その中でも多くの方に選ばれているのが、会計ソフト「弥生会計」です。では、弥生会計には、どのような特徴があるのでしょうか?

弥生会計ソフトの特徴とは?

弥生会計は、今まで会計上級者しかできなかった経理処理を、会計初心者の方でもできるようにした会計ソフトとなっています。では、弥生会計ソフトの特徴をひとつづつみてみましょう。

①会計初心者でも簡単に使える

弥生会計は、会計事務所はもちろん、特に一般ユーザー向け、その中でも「借方」や「貸方」などが分からないなど仕訳や簿記など会計初心者の方でも簡単に使えるよう設計されています。

ソフトを初めて使う場合は、ソフト内のナビに沿って進むだけで、導入や各種の設定が完了することができます。また、伝票や領収書などの取引を入力する際にも、すでに仕訳が登録されているので、それを選ぶだけで簡単に完成させることができます。

さらに、銀行明細書やクレジットカードなどの取引データは、自動で取り込み、AIが自動で仕訳する機能が搭載しているので、帳簿つけの手間と時間を淡色できるのも魅力となっています。使いやすさを追求した設計になっているので、決算書の作成もスムーズに行えます。

②安心して使える

弥生会計は、新元号や消費税の改正、法改正、税制改正などがあってもスムーズに業務が行えるよう、バージョンアップの体制が整っています。また、座席数748席の業界最大規模のカスタマーセンターを構えているので、いつでも専門のスタッフが、製品の導入から操作方法、日々の運用、そして、業務の相談まで、電話やメールで対応してくれます。

③頼れる

弥生会計は、面倒な業務の手順や手続きなどに関する質問や相談などに応じてくれるので、心強い味方として頼ることができます。また、いつでも経営状態が分かるように、グラフ・レポート機能や経営を支援するサービスを提供してくれます。

すでに全国10,000以上の会計事務所が、弥生とパートナーシップを結んでいる業界最大規模の会計事務所組織であることも頼もしいと言えるでしょう。

④自分に合った会計ソフトを選ぶことができる

弥生会計のソフトは、2人に1人が初めて購入する業務ソフトとして選ばれています。実は、弥生会計のソフトには、個人事業主向けや法人向けなど、様々な種類が存在しています。その中から自分にピッタリの会計ソフトを選び、利用することができます。

業界最大のユーザーサポートとは?

弥生会計の特徴のひとつに挙げられていた、「業界最大のカスタマーセンター」では、具体的にどのような実際的なサポートを受けることができるのでしょうか?

①電話・メール・チャットによる「アフターケア」サポート

弥生会計では、製品購入後のアフターケアをしっかりサポートしてくれます。操作方法で分からないことがあれば、電話やメール、チャットによるサポートが受けられます。座席数748席ある業界最大規模のカスタマーセンターなので、待たされることなくレスポンスに対応してくれるので、心強い味方となってくれます。

②電話・メール・チャットによる独自の「業務相談」サポート

弥生会計ではアフターケアのサポートに加え、経費の処理や計算書の仕訳方法が分からない、などの会計業務に関する相談も独自のサービスとして行っています。業務相談も電話やメール、チャットなどで具体的に分かりやすく説明してくれるので、創業期でも安心して利用することができます。

弥生会計の種類について

弥生会計のソフトには、パソコンにインストールして使用する「デスクトップアプリ」と、インターネット上で使用する「クラウドアプリ」に大きく分類されています。

デスクトップアプリの種類

デスクトップアプリには、次のような種類があります。

・「やよいの青色申告20 」
主に個人事業主向けとなっています。確定申告をすることができる定番会計ソフトです。

セルフプラン  :販売価格12,000円(税抜)
ベーシックプラン:販売価格12,000円(税抜)
トータルプラン :販売価格20,000円(税抜)

・「弥生会計20 スタンダード」
取引入力から決算書作成など会計業務に必要な一般的な機能が搭載されています。

セルフプラン  :販売価格39,800円(税抜)
ベーシックプラン:販売価格39,800円(税抜)
トータルプラン :販売価格49,300円(税抜)

・「弥生20 プロフェッショナル」
一般的な機能、部門管理、経営分析などの多種機能が搭載されています。

セルフプラン  :販売価格77,200円(税抜)
ベーシックプラン:販売価格77,200円(税抜)
トータルプラン :販売価格92,000円(税抜)

・「弥生会計20 ネットワーク」
3台異常のネットワーク環境に対応している多種機能を搭載した会計ソフトです。

セルフプラン  :販売価格105,000円(税抜)
ベーシックプラン:販売価格105,000円(税抜)
トータルプラン :販売価格118,400円(税抜)

・「やよいの給与計算20」
初心者でも、簡単に給与計算ができる、従業員20名程度の事業者向けの会計ソフトです。

セルフプラン  :販売価格27,000円(税抜)
ベーシックプラン:販売価格27,000円(税抜)
トータルプラン :販売価格34,000円(税抜)

・「弥生給与20」
初心者でも、簡単に給与計算ができる、従業員100名程度までの中小企業者向けの会計ソフトです。

セルフプラン  :販売価格36,100円(税抜)
ベーシックプラン:販売価格45,200円(税抜)
トータルプラン :販売価格60,000円(税抜)

クラウドアプリの種類

クラウドアプリには、次のような種類があります。

・「やよいの白色申告 オンライン」
個人事業主用、白色申告用で、日々の記帳や確定申告が可能となっています。

フリープラン  :0円
ベーシックプラン:1年目4,000円(税抜)次年度からは8,000円(税抜)
トータルプラン :1年目は7,000円(税抜)次年度からは14,000円(税抜)

・「やよいの青色申告オンライン」
個人事業主、青色申告用で、取引の入力や確定申告書の作成、帳簿の作成などが可能となっています。

フリープラン  :0円 次年度以降年額8,000円(税抜)
ベーシックプラン:6,000円(税抜)次年度からは12,000円(税抜)
トータルプラン :10,000円(税抜)次年度からは20,000円(税抜)

・「弥生会計オンライン」
中小規模向けの法人用で、日々の取引入力から決算書作成までできる一般的な機能が搭載しています。

セルフプラン  :1年間26,000円(税抜)
ベーシックプラン:1年間30,000円(税抜)

・「やよいの給与明細 オンライン(給与会計ソフト)」
初心者でも給与明細が気軽に作成できます。

プラン10(1ヶ月間に従業員10名分の給与明細書を作成):月額450円(税抜)
プラン30(1ヶ月間に従業員30名分の給与明細書を作成):月額1,200円(税抜)

1名/月額200円(税抜)で、追加することができます。

・「Misoca(見積・納品・請求ソフト)」
見積書、納品書、請求書を簡単に作成し、まとめて管理できます。

無料プラン(請求書5通まで・見積書と納品書は無制限作成)
プラン15(請求書:月間15通まで・見積書と納品書は無制限作成):月額800円/年額8,000円(税抜)ただし、1年目は無料
プラン100(請求書:月間100通まで・見積書と納品書は無制限作成):月額3,000円/30,000円(税抜)ただし、1年目は無料

弥生会計のソフトの選び方について

上記でみたように、弥生会計には、様々な種類の会計ソフトがあるので、どれを選んだらよいのか悩んでしまう方もいることでしょう。弥生会計のソフトを選ぶ際には、次の基準を参考にするなら、自分にピッタリのものを選ぶことができるでしょう。

基準①「デスクトップアプリ」か「クラウドアプリ」か

まず弥生会計のソフトを選ぶ際には、デスクトップアプリかクラウドアプリにするかを選ぶ必要があります。

・デスクトップアプリの特徴
デスクトップアプリの場合、勘定科目の設定や固定資産などを計算する上で、自社に合ったデータにカスタマイズできるなど、クラウドアプリよりも自由度が高いと言えます。ただし、法改正などが行われるため、毎年、更新したり、買い替えたりなどバージョンアップする必要があります。

・クラウドアプリの特徴
クラウドアプリの場合は、デスクトップアプリよりも自由度はありませんが、簿記や会計などの知識がなくても、スムーズに入力や決算書などの作成ができるように設計されているので、初心者の方にはクラウドアプリがおすすめです。

また、クラウドアプリなら、バージョンアップ作業は不要ですし、データがクラウドに保存されるのでデータの保全性が高くなっています。さらに、パソコンを物理的に共有する必要がないので、IDを発行すれば、誰でもデータにアクセスできるので、複数人同時に作業することも可能です。

基準②「個人事業主」か「法人」か

個人事業主の場合は、確定申告で青色申告にするか、白色申告にするかによって、「やよいの青色申告」、もしくはやよいの青色(白色)申告オンライン」から選ぶことができます。

一方、法人の場合は、「弥生会計」や「弥生会計オンライン」から選ぶことができるでしょう。デスクトップアプリの弥生会計では、個人データも作成できるので、社長や役員などの所得税確定申告の作成もしなければならないなら、弥生会計を選ぶことができるかもしれません。

また、部門管理や経営分析までする場合は、「弥生会計プロフェッショナル」以上の利用がおすすめです。

基準③サポート内容

すでにお気づきかもしれませんが、弥生会計には「セルフプラン」「ベーシックプラン」「トータルプラン」の3つのプランが用意されています。それぞれサポートのプラン内容が異なっていますので、自分が受けたいサポートプランを選ぶことができるでしょう。それぞれのサポートプランは次のようになっています。

・セルフプラン
セルフプランは、プログラムアップデートのみのプランとなっています。

・ベーシックプラン
ベーシックプランは、電話やメール、チャットサポートを通して、製品の操作質問など標準のサービスを利用することができます。

・トータルプラン
トータルプランは、電話やメール、チャットサポートを通して、製品の操作質問や業務相談などのサービスも利用することができます。

弥生会計のメリットとは?

弥生会計には、どのようなメリットどデメリットがあるのでしょうか?まずメリットからみてみましょう。

メリット①操作がとても簡単

弥生会計の特徴とも言えますが、誰でも簡単に操作できることはメリットとも言えます。複式簿記の知識はもちろん、簿記初心者の方でも、弥生会計の会計ソフトを利用すれば、会計業務を容易に行うことができます。

メリット②自動で取引明細を仕分けなどをするAiを駆使することで業務の効率化につながっている

通常、商取引における銀行やクレジットカードの取引明細などは、一つひとつ手作業で管理画面へ打ち込む必要があります。仕訳作業や金額などは間違えてはいけないので、時間や労力だけでなく、神経も使う業務のひとつです。

しかし、弥生会計では、をネットバンキングや銀行、クレジットカードなどにおける取引明細をすべて自動で仕訳をしてくれるので、仕分け作業は不要になり、労働生産性のアップにつながります。

また、最近は「Misoca」などのクラウドサービスと連携することで、そのデータを取り込むことも可能となっています。このようにAIを駆使することで、経理にかける時間や手間を大幅に短縮することにつながっています。

メリット③情報共有が簡単にできるようになる

弥生会計は、情報共有を簡単に行うことが可能です。例えば、複数拠点を構えている会社であれば、弥生会計を拠点間で共有できます。そのおかげで、日次や週次などで売上データなどを本社などへ送信する手間や時間を省けます。各拠点の状況をリアルタイムで可視化できることもメリットと言えるでしょう。

また、情報共有できるのは、組織内だけに限られたものでなく、顧問税理士などの外部ステークホルダーとも情報を共有することが可能となっています。

メリット④外出先や自宅でもシステムの利用が可能

弥生会計は、インターネット経由で会計ソフトを利用するサービスなので、パソコンへソフトウェアをインストールしたり、サーバー上にシステムを構築することなどは不要で使用することができます。

つまり、インターネット環境とパソコンさえあれば、弥生会計を簡単に導入できるうえ、使用することもできるので、外出先や自宅など使用する場所やデバイスを選ばずに利用することができます。

経営者であれば、出張先や外出先などから会社の経営状況を確認したり、従業員に自宅でもリモートワークを指示することも可能となります。

メリット⑤弥生会計を使用している税理士が多い

税理士の多くは、弥生会計を使っています。弥生会計はサポート体制が充実していますが、操作で分からないことやトラブルなどが生じたときは、身近な税理士に相談できることもひとつのメリットと言えるでしょう。また、税理士とデータのやり取りをスムーズに行えることも弥生会計ならではのメリットとなっています。

弥生会計のデメリットとは?

弥生会計には魅力的な特徴やメリットがありますが、その一方で、デメリットもあります。次のような点が、弥生会計のデメリットと言えるでしょう。

デメリット①「紐付け」機能が搭載していない

弥生会計には、会計事務所や顧問先など外部とデータのやり取りを効率的に行える「データ送信」という機能が搭載されています。しかし、「紐付け」という、データ送信はロックがかかり入力や編集ができなくなる機能が搭載されていません。

例えば、顧問先が会計事務所に1月分のデータを送信した後でも、1月分の入力や編集を自由に行うことができてしまうのです。このように弥生会計は、会計事務所向けに開発されたソフトではなく、一般事業向けに開発されたソフトなので、会計事務所と顧問先などでデータ送信をする際には、注意が必要です。

デメリット②帳票の出力が限定されている

弥生会計が出力できる帳票は、貸借対照表、損益計算書、月次推移表の3種のみとなっています。そのため、「月次報告書」を作成したい場合は、物足りなく感じるかもしれません。

デメリット③印刷すると文字が小さくなる

印刷をする際、印刷時のレイアウト設定がA3が標準となっているため、ビジネススタンダードであるA4で印刷をすると、文字が小さくなってしまうというデメリットがあります。

デメリット④各データを同時起動することができない

多くの会計ソフトは、ライセンス体系が認証している限り、ライセンスの数だけ同時に起動することができます。そのため、左の画面には過去のデータ、右画面には当期のデータを起動して、相互を確認しながら業務を進めることができるので、作業がはかどります。

しかし、弥生会計ではデータファイルの同時起動ができないので、過去のデータを見たいときには、一度当期のデータを終了して、過去のデータを開く、という作業をしなければいけません。

デメリット⑤毎年ソフトの更新(買い替え)が必要

弥生会計だけではありませんが、デスクトップアプリを利用している場合は、最新の法令などに対応するために、毎年、新しいバージョンのソフトに更新したり、買い替えたりする必要があります。

有料サポートに加入しているなら、無料でバージョンアップすることが可能です。また、クラウドアプリの場合は、インターネット上のソフトになりますので、利用者がバージョンアップをすることは不要です。

会計ソフトを利用すると税理士への相談は不要?

事業規模や会計の処理の多さも関係しますが、一般的に個人事業主の場合は、弥生会計などの会計ソフトを利用した会計業務で問題ないと思われます。しかし、法人の場合は、会計業務そのものも規模が拡大するにつれて増えていきますし、税務署への申告なども増えてきますので、税理士に相談するなどのサポートが必要になることが予想されます。

もちろん、個人事業主の方でも、会計業務になかなか時間をとることができない場合や、本事業に集中したい場合などは、会計業務を税理士に依頼することもひとつの方法です。

昨年2019年10月からは軽減税率が導入されましたし、2023年10月以降からはインボイス制度がスタートするなど、今後ますます経理や会計業務などが複雑化することが考えられます。これらの対策として、会計ソフトを利用することはもちろん、税理士などの専門家に相談したり、契約することなどを検討することができるかもしれません。

まとめ

会計ソフトは、会計業務をする上で役立つツールのひとつです。今回は、様々な会計ソフトが存在する中から「弥生会計」の会計ソフトについてみてきました。

弥生会計にせよ、他の会計ソフトにせよ、導入する際には、メリットとデメリットをよく考慮した上で、自分や事業に適した会計ソフトを選ばれることをおすすめします。

また、どの会計ソフトを選んだらよいのか分からない方は、お近くの信頼できる税理士に相談してみることを検討することができるでしょう。

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会計知識

当座預金とは?普通預金との違いは何?

預金種目の中にある「普通預金」と「当座預金」。多くの方にとって普通預金は馴染みがあるかもしれませんが、当座預金についてはあまり良く知らないという方も多いのではないでしょうか?この記事では、当座預金について分かりやすく解説していきます。

当座預金とは?

当座預金とは、主に手形や小切手での支払いを目的とした決済用の銀行口座です。特に法人やフリーランスなど個人事業主などが、事業用として利用するのが一般的となっています。

普通預金との最大の違いは、現金の代わりに手形や小切手を使っての支払いが可能なこどです。そのため、多額の現金を持ち歩いたり、手元に置いておいたりすることは不要なので、多額の現金を手元に置くことで伴うリスクの軽減につながります。

海外などでは小切手などを使うケースが多いので個人でも当座預金を所有している人もいますが、日本では手形や小切手を使う習慣があまり浸透していません。

また、普通預金よりも開設時の審査が非常に厳しく、手間がかかるため、個人で当座預金を所有している人はごくわずかのようです。しかし、当座預金には普通預金にはないメリットが得られるため、企業や個人事業主などは当座預金を決算専用の口座として活用しています。

普通預金とは?

普通預金は、一般的に広く利用されている、自由に金銭取引が行える預金口座種目です。例えば、給与の振込や公共料金などの口座自動引き落とし、ATMでの現金引き出しや預け入れなどを利用することができます。

普通預金は個人で開設することはもちろん、ビジネス口座としても開設することが可能です。ビジネスで利用する場合は、取引先や顧客などとの金銭のやり取りをするときなどに利用されています。

当座預金と普通預金の違いとは?

当座預金と普通預金の大きな違いは、上記でもみたように、手形や小切手が使用できるかどうか、という点が挙げられます。その他にも、両者には次のような違いがあります。

1、利息の有無

普通預金は、金利額は変動しても、数パーセントの利息が必ずつきます。しかし、当座預金は、「臨時金利調整法」という法律によって、利息をつけることが禁止されているので無利息です。

2、ATMでの入金(預け入れ)と出金(引き出し)

当座預金の場合、ATMを利用して入金や出金を行うことができません。当座預金で入金する場合は、当座預金入金帳が必要となります。また、出金の場合は、小切手や手形、口座振替のみで行うことができます。なお、入金と出金には、手数料は発生しません。

3、現金の引き出し限度額

普通預金は1回に引き出せる金額の上限が設けられています。具体的には、個人の場合は50万円、法人の場合は200万円までと定められています。一方、当座預金の場合は、限度額が設けられていません。そのため、数千万円~数億円など大きな金額を動かす必要のある商取引には、当座預金の利用が適しています。

4、口座開設時の審査

普通預金も当座預金も、新規で口座を開設する際には、各金融機関で審査をする必要があります。普通預金の場合は、審査基準はあまり厳しくないので、比較的簡単に口座開設することが可能です。しかし、当座預金の場合は、小切手や手形、当座借越など様々な制度があるため、厳しい審査にクリアしなければいけません。

5、当座繰り越しの有無

普通預金の場合は、残高が0円になると、振込や引き出しは一切利用することができなくなります。一方、当座預金の場合は、銀行と当座繰越契約を結ぶなら、残高が0円でも支払いができる「当座借越」という制度があります。あらかじめ決められている限度額の範囲内であれば、銀行が一時的に肩代わりをしてくれます。

6、通帳の有無

最近普及しているインターネットバンキングには通帳がありませんが、通常、普通預金には通帳があります。銀行の窓口やATMなどで記帳をすれば、預金の預入れや引き落としなどの金額などを、時系列で確認できます。

しかし、当座預金には通帳はありません。そのため、当座預金で入出金などの状況を確認したい場合は、取扱金融機関が発行する「当座勘定照合表」を使って確認する必要があります。通常、当座勘定照合表は、銀行にもよりますが毎月郵送されます。

7、元本保証

取扱い金融機関が倒産、もしくは破綻した場合、預金保険機構による払い戻しが保証されています。しかし、普通預金の場合は、ペイオフ制度により、保証限度額が1,000万円までとなっています。一方、当座預金の場合は、保証限度に上限はなく、全額保証されています。

当座預金のメリットとは?

当座預金のメリットには、次のような点を挙げることができます。

・小切手や手形などで決済できるため、多額の現金を手元に置いておく必要がないこと
・出金する際、手数料が発生しないこと
・1日に引き出せる金額に上限がないこと
・取扱金融機関が破綻した場合は、全額が保証されていること
・当座借越契約を結ぶと、残高が不足していても限度額まで自動的に融資が受けられること
・取引先や顧客などへの信頼性が高まること

当座預金のデメリットとは?

当座預金には、次のようなデメリットがあります。

・ATMでの取引ができないこと
・利息が一切つかないこと
・口座開設の審査が厳しいこと

「不渡り」に要注意!

当座預金では、手形や小切手を用いた決済ができます。そのため、不渡りには注意が必要です。不渡りとは、手形や小切手をもらった受け取り人が銀行へ行き、現金に換えようとしたものの、現金残高がゼロで決済できなかったこと、を「不渡り」と言います。

残高不足などが原因で不渡りを出してしまうと、「不渡届」が金融機関から手形交換所へ提出され、その後、取引の内容が記載された「不渡報告」が、参加金融機関に通知されます。同一の金融機関で、6ヶ月の間に2回不渡りを起こしてしまうと、取引停止処分となります。

取引停止処分を受けると、その後2年間、全国の金融機関で当座預金などが禁止されてしまうため、資金調達をすることが難しくなります。その結果、実際多くの会社は倒産へと追い込まれていますので、十分気を付けましょう。

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税理士の紹介

税理士選び、失敗したくない!~能力だけでなく、相性も大切に

良い税理士の選び方と2つの注意点
会社で税理士に仕事を依頼することを考えた場合、「よい税理士を選びたい!」と考えるのは当然です。すると、

「よい税理士や会計事務所は、どうやって探せばよいのだろう」
「誰がよい税理士なのか、どうやって判断すればよいのだろう」
「税理士・会計事務所を選ぶときに失敗しないで済むにはどうすればよいのだろう」

といった疑問がわいてくるのではないでしょうか。

仕事を依頼するのであれば、なるべく優秀な人にお願いしたいものです。それは、税理士や会計事務所選びにおいても同様です。

しかし「よい税理士」「優秀な税理士」を何で判断するかが問題です。ただ眺めているだけでは、税理士や会計事務所の優劣はわかりづらいものです。そこで、判断基準を明確にしてから選ぶことが大切です。未然に失敗を防ぐことができます。

税理士を選ぶときの最も大切なポイントは、その税理士や会計事務所が「税理士業もサービス業である」ということの自覚を持っているか。誠実さがあるか。そして、自社や経営者の方ご自身との相性がよさそうか。

ここを見極めることが大切で、その見極めがよい税理士や会計事務所の判断の第一歩になります。以下で、具体的に解説していきます。

※注:もし今税理士をお探しなら実績1万件以上!タックスコムの税理士紹介サービス
全国税理士紹介相談所』にご依頼ください。面談済み税理士1000名の中からぴったりの税理士を無料でご紹介いたします。

よい税理士・会計事務所の選び方3つのポイント

一番にチェックするポイントは「顧客に対して誠実であり、悩みを共有して解決にあたってくれそうか」をチェックしてみましょう。つまり、実務能力の高さだけではダメなのです。人と人としてのコミュニケーション能力を備えていることが重要です。

例えば、以下の3つのポイントを満たしているかチェックしてみることをおすすめします。有力な検討材料となるでしょう。

1、その税理士との相性はよさそうか?

自社の顧問税理士について「説明がわかりにくい」「態度が偉そう」といった不満を持っている経営者の方は実に多いですが、相性のよい税理士であれば問題は発生しないでしょう。人間同士の相性のよさは、万難を排するといっても過言ではありません。

相性がよければ「わかりにくいから、もっと丁寧に説明して」「あの態度はないんじゃない?」とストレートに意見を言えるはずです。また「こんなことを聞いたら迷惑だろうか」といった遠慮もしないですむでしょう。

相性のよさは、情報共有・連絡のスムーズさにも繋がります。ひいてはお互いに満足できる関係の構築が期待できます。税理士や会計事務所が経営者の悩みを共有し、味方になってくれる存在となってくれれば、経営的には鬼に金棒です。

2、その税理士は、レスポンスが速いか?

仕事を任せるパートナーとして、税理士はスピード感を備えていることも大切です。諸々の連絡や報告に際して、適切にレスポンスが返ってくることは気持ちがよいものですし、迅速な経営判断にもつながります。

意図がしっかり税理士に伝わっていることもわかって、依頼者としては安心して仕事をまかせることができます。それには、税理士との日頃からのコミュニケーションが欠かせません。

場合によっては先回りして準備をしておく必要もあり、端的にいえば「この税理士は、気が利くのか」がレスポンスのスピードからわかります。

3、その税理士は、業界に詳しいか?

税理士に仕事を任せるとき、一般的な税務会計知識であれば税理士のほうが詳しいのは当たり前です。しかし、自社の業界のことについては、どうでしょうか?

慣習や業界用語、季節的な仕事の流れ、地域的な業者間の力関係など、業界内部の事情について予備知識がゼロでは、税理士業務にも支障を来してしまいます。

その点、業界事情に詳しい税理士であれば、安心して仕事を任せることができます。このことは、日頃の会計処理だけでなく資金繰りや経営的なアドバイスの優劣にも影響するものです。過去に同業界の顧客を持ったことがあるか、確認してみるとよいでしょう。

税理士選びに失敗しないための、2つのポイント

ここまで、よい税理士・会計事務所の選び方のポイントをみてきましたが、ここからは「失敗しないためのポイント」も挙げていきます。税理士選びに失敗すると、以下のような不満や悩みを抱えるようになります。

1、「この税理士、契約時に十分な説明をしてくれない・・・」

税理士と契約を結ぶときの打合せで「普通はこうです」「そこは任せていただいて・・・」「こちらはプロなので」などと、漠然とした言葉だけしか返ってこない場合があるかもしれません。

そんな場合は、要注意です。顧問契約後、経営上で悩んでいることがあり税理士に相談したときに同様の態度だったら、どのように思うでしょう? 税理士や会計事務所と契約をするときに、事前に見積りを取ったり契約前に内容について説明を必ず受けましょう。

「なぜこの業務が契約に含まれるのか」「料金的な根拠は何と考えているのか」「ミスがあったときは、どのように補償してくれるのか」などを聞いてみて、明確に説明ができないようであれば要注意です。

複数人が所属する会計事務所に仕事を依頼することになる場合「自社の担当者が説明下手だが、所長税理士はしっかりしている」という場合もあるかもしれません。しかし、日ごろから付き合うことになるのは担当者ですから、その質を問うことは大切です。

2、「この税理士、コミュニケーションが取りづらい・・・」

「悪い人じゃないんだけど」「優秀なのはわかるけど」、しかし「何だか合わない・・・」ということは人間関係においてあるものです。

質問の意図が伝わりにくかったり、同じことを何度も聞き返されるなど、どうしても話が咬み合わない相手もいるでしょう。一概にはいえませんが、例えば年齢が離れすぎていたり、会計・税務に対しての考え方が違いすぎると、こうしたすれ違いが生じやすくなります。

たしかに「最初は合わないと思ったけれど、後になってよい関係を築けた」ということもあります。しかし、契約前の交渉の段階でコミュニケーションの取りづらさを感じたら、たいていはその後もしっくりとこない感覚は続くものです。

「なんだか、この人とは話が合わないな」というシグナルには従っておいたほうが、失敗は避けられるでしょう。

税理士業はサービス業

税理士は、ひと昔前は「先生」と呼ばれることが多かったものです。このことからも察することができるように「税理士のいうことは正しいのだから、従うべきである」という風潮がありました。

しかし近年では、税理士にも依頼者にも意識の変化が生じ、サービス業としての姿勢を求める傾向が強くなっています。

そこで大切になるのは、やはり税理士のコミュニケーション能力なのです。税理士が誠実さをもって依頼者の意図を汲み、寄り添う姿勢が評価される時代になっています。このような姿勢が、結果的に依頼者の会社によい影響を与えることは明確です。

裏を返せば、コミュニケーション力に欠ける税理士や会計事務所を回避することが、よい税理士や会計事務所の選び方、といえます。

税理士との、相性のよさを大切に

税理士にも、様々なタイプがいます。慎重な考え方の人も、大胆な考え方の人もいます。熱血漢な人もいれば、ドライな人もいます。それは、能力というよりも個性や性格によるものでしょう。

上記のような一般的なコミュニケーション能力や、社会人としての能力に加え、人それぞれが持つ個性を、契約前の面談などで見極められると、なおよいでしょう。

会話の中のちょっとした一言やしぐさから「この人、何だか好感が持てるな」「この人は親身になってくれそうだな」と感じたり「何だか偉そうだな」「ちょっと呑気すぎるかな」と感じたりしたら、それをシグナルとして捉え、判断要素に加えましょう。相性のよさは、とても大切です。

税理士を会社の顧問として迎えることを会社にプラスとするためにも、気持ちのよい関係を築いていけそうな税理士を選ぶとよいでしょう。

※税理士選びで失敗したくない方は『税理士紹介会社に依頼する3つのメリット・2つのデメリット』をご覧ください。

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決算

粉飾決算とは?基本的内容から手口・見抜き方を分かりやすく解説!

よくテレビなどで見聞きする「粉飾決算」は、意図的な不正会計であるにも関わらず、企業の規模の大小を問わず、多くの企業が不適切処理をしています。なぜ企業は粉飾決算をするのでしょうか?この記事では、粉飾決算の基本的な内容から、その手口や見抜き方などを詳しく解説していきます。

粉飾決算とは?

粉飾決算とは、故意に不正な会計処理をして、事実とは異なる貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成することです。決算書の資産や在庫を意図的に操作し、企業の財務状況や経営状況などを異なる金額で計上して、実際よりもよく見せようとします。

例えば、売上を水増し計上したり、翌期に計上すべき売上を前倒しで計上したり、費用や負債などを帳簿に計上しない、など故意的に操作することは、すべて粉飾決算になります。このように、利益を実際よりも高く操作することを「粉飾決算」と言います。

それとは逆に、利益を低く操作することは、「逆粉飾」と言います。逆粉飾の代表的な例としては、売上を少なく計上したり、費用を過大に計上したりすることなどが挙げられます。

上場企業の粉飾決算と中小企業の粉飾決算

上場企業の場合、監査法人の監査が入るため、粉飾決算をすることは容易ではありません。一方、中小企業に場合は、監査法人の監査は入らないので、不正な会計処理をすることは可能です。さらに両者について詳しくみてみましょう。

上場企業の粉飾決算

上場企業の場合、会社の業績を良くして、企業の価値を上げ、配当金をたくさん出すよう、常に株主から圧力を受けています。そのため、株主などの外部から責任を追及されることを避けるために、粉飾決算を行ってしまうことがあります。また、経営者は、会社業績をよくするよう現場に圧力をかけるため、支店などは社内成績を上げるために利益を故意的に操作することもあるようです。

中小企業の粉飾決算

中小企業の場合は、上場企業と比較するなら、株主からの圧力はあまりありません。株主が経営者本人である企業も多いことも、理由のひとつとなっているようです。中小企業の場合は、銀行からの圧力が大きくあります。大企業とは違い、資金調達の手段が限られていますので、借り入れはほぼ銀行に頼るしかありません。しかし、銀行は会社の経営状態が悪化している状況が続いていると、借入条件を厳しくしたり、新規での借入ができなくなることもあります。そのため、粉飾決算をすることがあります。

また、建設業の場合、銀行からの圧力に加えて、公共工事の入札ランクとそれに関連する経営事項の審査があります。経営事項の審査では、経営状況も考慮されるため、少しでも経営状況をよく見せたい、という動機から粉飾決算をすることがあります。

粉飾決算の手口とは?

では、粉飾決算では、どのように決算書を操作するのでしょうか?粉飾決算の場合、業績を良く見せるために、資産や売上を増やしたり、経費や売上原価を減らす、などの操作をします。その他にも、粉飾決算でよく見られる業績を良く見せる手口には、次のようなものがあります。

・売上の過大計上
・売上の架空計上
・前受金、仮受金、預り金を売上で計上
・収益計上時期を繰り上げ
・借入金の過少計上
・在庫の過大計上
・在庫の架空計上
・貸借対照表の資産を過大計上
・仕入れや未払い計上を先送り
・支払済の経費を仮払金や貸付金に振替て計上
・費用や経費を翌期以降の費用に計上

このように粉飾決算の手口をみてみると、その方法は「利益を上げる」ことと「経費を減らす」ことです。つまり、簡単に言うなら、売上を上げて、経費減らすことを故意的に操作しています。売上を上げるためには、架空の売上を計上したり、在庫を増やすことです。また、経費を減らすためには、仕入れを先送りに計上することなどが挙げられます。

では、実際によくある手口について詳しくみてみましょう。

手口①売上の過大計上や架空計上

粉飾決算によくある手口のひとつには、売上の過大計上や架空計上が挙げられます。これは、商品やサービスを提供していないのの、伝票上では売上として計上している手法です。いわゆる、売上の水増し、です。架空計上では、存在していない取引先や関連企業などを利用して、架空の売上を作りだす、粉飾決算の典型的な手口のひとつです。

手口②売上の過大計上や架空計上

在庫の過大計上や架空計上も、粉飾決算の手口としてよく使われています。売上原価(経費)を減らすと、利益を実際よりも多く計上することができるため、在庫の数を故意的に操作します。

手口③費用や経費を翌期以降の経費に計上

費用や経費を翌期以降の経費として計上すると、利益を増やすことができます。そのため、費用や経費を繰り延べることも粉飾決算の手口としてよく使われています。また、すでに支払ってしまった経費を仮払金や貸付金などに振替て計上することもあります。

粉飾決算の見抜き方

粉飾決算の兆候は、主に貸借対照表に現れます。次の4つの勘定科目に注目することがポイントです。

・売掛金
会社の回収サイトはたいてい決まっています。月商に何ヶ月分あるのが適切なのかを見積り、もし通常よりも異常に多い場合は注意が必要です。

・在庫
在庫を増やすと原価率や粗利益にも影響が及びます。急に粗利益がよくなった場合は注意が必要です。

・買掛金と未払金
仕入や経費を少なくして利益を生み出すこともあります。通常よりも仕入や経費が少ない場合は注意が必要です。

・仮払金と貸付金
実際に支払ってしまった経費を資産計上して、経費を減らし、利益を多く見せることも粉飾決算の手口です。仮払金や貸付金の内容や金額をよく確認しましょう。

粉飾決算は犯罪行為!

当たり前のことですが、粉飾決算は犯罪行為にあたります。もし粉飾決算を行ってしまうと、粉飾決算に関わった人や企業の上層部の人は罪を問われることになります。

民事責任を問われる可能性

粉飾決算を行った場合は、民事責任を問われることがあります。特に取締役の場合、適性な財務諸表を作成する責任があります。そのため、会社法第462条「違法配当の賠償」に基づき、粉飾決算を行って違反な配当をし、会社に損害を与えた場合は、会社に対して損害賠償責任を負うことになります。

また、会社法第429条には「役員等の第三者に対する損害賠償責任」が規定されています。これは決算書などに虚偽の記載をし、投資家などの第三者に被害を与えた場合に、損害賠償責任を負うことになります。

詐欺行為になる可能性も

粉飾した決算書で銀行から融資を受けた場合、その銀行に対して「利益がでている」と虚偽の申告をして融資を受けたことになります。これは、立派な詐欺罪にあたる行為です。粉飾決算による融資詐欺などの場合は、刑法246条「詐欺罪」に該当し、10年以下の懲役が科せられることがあります。

逮捕される可能性も

粉飾した決算書で銀行から融資を受けた場合、悪質だと判断されると、刑事事件とみなされて逮捕されることもあります。実際、2019年にも粉飾決算が疑われて前会長や元幹部などが逮捕されたことがあります。

社会的制裁や代償を受けることも

粉飾決算を行うと、法的な責任や罰則だけでなく、社会的信用も失うなど社会的制裁も受けることになります。具体的にには、金融機関から融資が停止されたり、既存の借入金の返済を求められることなどがあります。また、株価の下落や上場の廃止、資金調達ができなくなり破産や倒産などにつながる可能性もあります。粉飾決算は経営者本人だけでなく、社員全員や取引先、株主にも影響を与えますので、絶対にしてはいけません。

粉飾決算をしない健全な会社経営をするには

会社を経営しているなら、「税金を少しでも少なくしたい」「銀行から融資を受けたい」などの気持ちと、日々葛藤しておられることでしょう。中には決算書をいくつも作成している会社もあるかもしれません。どんな行為にせよ、一度粉飾決算をしてしまうと、歪んでしまった決算書を取り戻すことは簡単なことではありません。では、粉飾決算をしないで、健全な会社経営をするためには、どうすればよいのでしょうか?ここでは会社経営をサポートする2つのツールをご紹介します。

会計ソフトを活用してみる

粉飾決算をしないために、会計ソフトを利用することができるかもしれません。会計ソフトを利用すれば、会社のお金の流れを数字で把握することができるので、早い段階から対策をすることができます。資金繰りが可視化されるので、資金不足になるタイミングを予想することもできるので、早めに対策を検討することで、適切な資金繰り対策ができるようになります。その結果、資金調達で慌てることもありませんし、粉飾決算をして銀行から融資を受ける必要もなくなります。

税理士に相談してみる

売上や経費など会社の経営状況を、税理士に相談することもひとつの方法です。経営者の多くは、自社の経営状態について誰にも相談せずに一人で悩んでいる方も少なくありません。しかし、何でも相談できる信頼できる税理士を経営のパートナーとして持つなら、問題があるときには、必要な対策やアドバイスをリアルタイムでしてもらえます。パートナーがいれば心強いですし、粉飾決算の誘惑に勝つこともできます。

まとめ

粉飾決算は、利益を実際よりもよく見せるために故意的に操作することです。これは犯罪行為のひとつであり、もし見つかった場合は、社会的信用を失うだけでなく、刑事事件になることもあります。粉飾決算をしても会社の経営状況はよくなりませんので、会社の経営が悪化する前に、会計ソフトを利用したり、税理士に相談したりしましょう。

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個人事業主

個人事業主が納めなければならない「事業税」とは?

個人事業主やフリーランスの方が支払うべき税金のひとつに、「事業税」があります。しかし、個人事業主であれば、経費として処理することもできる税金もあります。また、この事業税は、納めなければならない業種や条件決められています。この記事では、個人事業主で事業税を納める必要がある業種や事業税の計算方法などについて解説していきます。

個人事業主が納めるべき2種類の税金「租税公課」と「事業主貸」

個人事業主が納めるべき税金には、「租税公課」と「事業主貸」の2種類の税金があります。

・租税公課
租税公課は、事業そのものにかかる税金です。事業を運営していく上で欠かせないコストなので、「租税公課」という勘定科目で経費として計上することができます。租税公課として経費に計上することが可能な税金には、個人事業税、消費税、固定資産税、不動産取得税、自動車税、登録免許税、印紙税、会費などがあります。

・事業主貸
事業主貸とは、事業ではなく、個人事業主の個人にかかる税金です。事業とは関係ないので、経費として処理することはできません。経理上では、「事業主貸」という勘定科目で計上されます。事業主貸として経費にすることができない税金には、所得税、相続税、都道県民税、市町村税、住民税、国税や地方税の延滞金や加算金、罰金などが代表的なものとして挙げられます。

個人事業税とは?

個人事業主が事業として納め、経費として計上できる「租税公課」のひとつが、「個人事業税」です。個人事業税は、個人で事業を営むと決められた業種に対して課されている税金です。事業税は、地方税のひとつで、都道府県に対して納付します。つまり、事業で得た所得を国に納める税金が「所得税」で、都道府県に納めるのが「事業税」と「住民税」となっています。

ただし、事業税の場合は、対象となる業種が決められていたり、控除額が所得税と異なったりしているため、事業税が課税されない個人事業主もいます。では、事業税が課されている業種には、どのようなものがあるのでしょうか?

個人事業税を納めるべき対象者とは?

個人事業税を納めるべき対象者は、次の条件をすべて満たしてるなら課税の対象となります。

①事務所や事業所がある
個人事業税は住所ではなく、事務所や事業所の所在地の都道府県で申告と納税をすることが定められています。

②所得金額が290万円超えている
個人事業税は、事業主控除として290万円を差し引いて算出します。そのため、所得金額が290万円以下の場合は、事業税が課されることはありません。

③法律で決められた70の業種に該当している
個人事業主の中で、事業税が課されているのは、法律で決められている70種類の業種のみです。この業種に該当しない個人事業主は、事業税を支払う必要はありません。70の業種は3つの区分に分類されており、それぞれの区分ごとに3~5%の税率が決まっています。法定業種ごとの分類は、次のようになっています。

・第1種事業(37業種):税率5%
物販販売業、保険業、金銭貸付業、不動産貸付業、製造業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、運送業、運送取扱業、船舶定係場業、倉庫業、駐車場業、請負業、印刷業、出発業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業、飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、両替業、公衆浴場業(むし風呂など)、演劇興行業、遊技場業、遊覧所業、商品取引業、不動産売買業、広告業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業

・第2種事業(3業種):税率4%
畜産業、水産業、薪炭製造業

・第3種事業(30業種):税率5%
医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、経理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、理容業、美容業、クリーニング業、公衆浴場業(銭湯)、歯科衛生士業、測量士業、土地家屋調査士業、海自代理士業、印刷製版業、あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に関する事業、装蹄師業

このように70種類の業種をみてみると、ほとんどの個人事業主は該当していると言えるかもしれません。基本的にほとんどの業種が課税対象となっていますが、この法定業種70種類に含まれていない業種は、事業税は課されません。例えば、農業、スポーツ選手、芸能人、音楽家、漫画家、小説家などが挙げられます。

個人事業税の申告は必要?

個人事業主として、所得税の確定申告をしているのであれば、個人事業税の申告手続きをする必要はありません。「確定申告書B」の下部に、事業税に関しての欄が設けられています。そこに該当項目を記入するだけで大丈夫です。ただし、所得税の確定申告をした後に事業を廃止、もしくは廃業した場合は、1ヶ月以内に個人事業税の申告をする必要があります。なお、死亡による廃止の場合は、死亡した日付から4ヶ月以内が、個人事業税の申告期限となります。

個人事業税の納付時期について

個人事業税の納付は、毎年8月になると、各都道府県から個人事業税の納付書が届きます。個人事業税が1万円以下の場合は、8月に一括での支払いとなります。1万円を超える場合は、8月と11月の2期に分割しての納付が可能です。納付期限日が土日祝と重なる場合は、翌平日が期限日となります。振替の場合は、それぞれの納付期限日が振替日になります。2020年度の納付期限日は、次のようになっています。

・個人事業税の2020年の納付期限日
第一期分:2020年8月31日(月)
第二期分:2020年11月30日(月)

なお、初めて事業税を納税する場合、事業所得が290万円を超えて納税することになっていても、8月中に納税通知書が送られてこないことがあります。なぜなら、納税通知書は、毎年個人事業税を納めている個人事業主から優先的に送付しているからです。そのため、初めての納税者は、後回しにされる傾向があるようです。しかし、送付が遅れているとしても、必ず送付されます。もし9月以降に送付されたとしても、納付期限日も変更されているので、特に心配する必要はありません。

個人事業税の納付方法について

納付する場所は、市区町村の役所や税事務所、郵便局、銀行などで行えます。また、口座振替にしたり、30万円以内であれば、コンビニエンスストアでも納付することが可能です。さらに、必要な手続きをするなら、クレジットカード払いにすることもできます。

個人事業税の計算方法について

課税対象の業種に該当する場合、個人事業税の税額は、

「所得金額=収入金額-必要経費-青色申告特別控除金額」
「課税所得金額=所得金額+青色申告特別控除金額-事業主控除額(290万円)」
「個人事業税の税額=課税所得金額×事業税率」

という3段階の算式で、算出します。

事業税は、所得税や住民税などの計算方法とは異なり、青色申告特別控除の金額を差し引くことができないため、課税所得金額を計算する際に、足し戻す必要があるので注意しましょう。

なお、個人事業税では、青色申告特別控除は適用されませんが、「事業主控除」と「繰越控除」は適用されます。「事業主控除」は上記でも少し触れましたが、1年間事業を行っているなら290万円、すべての事業主が一律で差引けます。もし1年を満たない場合は、事業を行った月数分だけ控除されます。例えば半年間しか事業をしていないのであれば、6ヶ月分の145万円が適用されます。

また、「繰越控除」とは、その名前の通り、その年に控除しきれなかった金額を翌年以降に繰り返すことが可能です。例えば、所得が赤字だったとき(青色申告のみ)、災害で事業用資産が損失したとき(白色申告のみ)、資産の譲渡で損失が発生したとき(青色申告のみ)などの場合に、繰越控除が適用されます。

個人事業税は減免措置がある

個人事業税は、期限までに申請すれば、減免してもらえるケースもあります。例えば、次のようなケースに該当する場合、個人事業税を減免してもらえるかもしれません。

・地震や洪水などの自然災害の被害を被った場合
・生活保護を受けている場合
・自分や生計を同一している配偶者や親族等の高額な医療費を支払った場合
・本人や扶養する家族が障害者の場合

減免するためには、納税者本人が納付期限までに申請することが求められています。なるべく早めに都道府県の税事務所へ行き、相談されることをおすすめします。

個人事業税の仕訳方法について

個人事業税の納税額は、個人事業の経費として計上できますので、「租税公課」という勘定科目を使って帳簿を記帳することができます。次のように帳簿をづけをします。

例:〇月〇日 (借方)租税公課100,000  (貸方)現金100,000  摘要/個人事業税の納付

このように個人事業主が納める税金の中には、経費に計上できる税金もありますので、計上できるものは忘れずに記帳するようにしましょう。

まとめ

所得税や住民税ばかりに気をとられがちですが、事業が拡大して所得が増えてくると、事業税も課されるようになります。事業税が課されるのは、所得が290万円を超えることがひとつのラインとなっていますので、個人事業主であるなら、事業税の納付書が送られてきても驚かないように、事業税の知識もしっかり念頭に入れておきましょう。

また、課税される場合は、税額を計算して、個人事業税の納付期限に納付できるように手元に納税用の資金を準備しておきましょう。

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確定申告

亡くなった人の所得を申告する「準確定申告」

生前に確定申告の対象者であった場合、亡くなった人の所得税を、相続人が代わりに確定申告することを「準確定申告」と言います。通常の確定申告とは申告の期限が異なるなど、様々な相違点があります。この記事では、準確定申告について詳しく解説していきます。

「準確定申告」とは?

準確定申告とは、生前に確定申告の対象者であった人の1月1日から死亡日までの所得と納税を、相続人が行う手続きのことです。通常、所得税の確定申告は翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告と納税が行われます。

亡くなった人は確定申告をすることができないので、本人に代わって相続人、もしくは包括受遺者が行います。(包括受遺者とは、遺言により遺産をすべて、もしくは3分の1など割合を定めて遺産をもらう人のことです)

準確定申告の期限

準確定申告の期限は通常の確定申告期限とは異なり、相続の開始(被相続人の死亡)日の翌日から、4ヶ月以内と決まっています。納税も死亡から4ヶ月以内に納めなければいけません。

死亡する前年分の確定申告をしていない場合は2年分の準確定申告が必要

準確定申告は、原則として1月1日から被相続人が死亡した日までに得た所得を申告するものです。ただし、1月1日から3月15日までの間に死亡した場合で、前年度の確定申告も行われていなかった場合は、本年分と前年度も含めた2年分の準確定申告をする必要があります。

その際、被相続人が死亡してから4ヶ月以内に申告すればよいので、通常の確定申告期限である3月15日を過ぎてしまっても問題ありません。例えば、被相続人が前年度分の確定申告をしないまま2月1日に死亡した場合は、準確定申告の期限は、前年度と本年度分とも死亡の4ヶ月以内の6月1日が申告の期限となります。

準確定申告の対象者とは?

準確定申告は、亡くなった方すべてがするものではありません。亡くなった被相続人が生前に、次のようなケースで確定申告をしていた場合は、死亡した年の分の準確定申告をする必要があります。

・個人事業をしていた場合
・アパートや駐車場など不動産業をしていた場合
・2ヵ所以上から給与をもらっていた場合
・給与所得、退職所得以外の給与所得金額が20万円超していた場合
・公的年金などによる収入が400万円超していた場合
・公的年金による雑所得以外の所得金額が20万円超していた場合
・生命保険などの満期金や一時金などを受け取っていた場合
・土地や建物などを売却していた場合

準確定申告が必要であるにもかかわらず、期限までに申告をしなかった場合は、所得税の税額に加えて、加算税や延滞税などのペナルティも発生しますので注意が必要です。

準確定申告の手続き方法について

準確定申告には、様々な書類を用意する必要があります。また、相続人が複数いる場合は、スムーズな手続きをするために、よく話し合うことが必要となります。準確定申告を手続きするにあたり、次のことは原則として決められています。

・提出する人
準確定申告の申告は、相続人全員が連名で申告することが原則となっています。相続人のひとりが代表として申告することも可能ですが、申告の内容をすべての相続人に伝えることが求められています。なお、相続人が二人以上いる場合は、別途付表の提出が必要になります。(後述します)

・提出する場所
準確定申告の書類は、亡くなった被相続人の住所地にある税務署へ提出します。相続人の住所地の管轄税務署ではないので、被相続人の住所地にある管轄税務署が分からない、という方もいるかもしれません。そのような場合は、国税庁のホームページから調べることが可能です。

また、被相続人の管轄の税務署に行くことが難し場合は、郵送で提出することができます。郵送する場合は、控えの返送に必要は切手を貼り付けた返信用封筒も一緒に同封して、準確定申告書を提出しましょう。申告受付日は、郵便消印の日付となりますので、期限ギリギリではなく、余裕をもって郵送されることをおすすめします。なお、準確定申告は、e-taxの電子申告には対応していませんので注意してください。

準確定申告に必要な書類

準確定申告には、次のような書類が必要です。

・確定申告書(準と記入して代用する)
・被相続人の給与や源泉徴収票
・被相続人の生命保険や損害保険の控除証明書
・「死亡した者の〇年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告付表」(相続人が二人以上の場合)
・被相続人の医療費の領収書(医療費控除をする場合)
・被相続人の生命保険などの控除証明書(生命保険控除をする場合)
・申告者のマイナンバー関係書類(複数の相続人で連名する場合は、全員分のマイナンバー関係書類が必要)

これらの書類は、税務署で入手することもできますし、国税庁のホームページからダウンロードして印刷したものを使用することも可能です。なお、準確定申告の書類は、確定申告と同じです。

相続人が二人以上いる場合に必要となる「付表」

相続人が二人以上いる場合は、「死亡した者の○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告付表」の提出が必要となります。相続人全員の名前、住所、相続分等を記入し、連署した申告書と一緒に提出します。

確定申告書の記入方法について

準確定申告は、通常の確定申告書類と同じものを使用します。準確定申告であることが分かるように、表題に「準」の字を記入します。準確定申告は亡くなった被相続人の名前で行いますが、実際に申告するのは相続人なので、申告書には相続人の氏名やマイナンバー等も記入する必要があります。

・相続人がひとりの場合
相続人がひとりの場合は、住所と氏名の欄に被相続人と相続人の両方、余白に被相続人の死亡した日と日付と相続人のマイナンバーを記入します。印鑑は、相続人の印鑑で押印をします。それ以外の項目は、通常の確定申告と同じように記入していきます。

・相続人が二人以上の場合相続人が二人以上いる場合は、確定申告書に加えて、上記でみた「死亡した者の○年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告付表」も記入する必要があります。確定申告書は、住所と氏名の欄に被相続人を記入します。相続人のマイナンバーや印鑑の押印は、付表にするので不要です。それ以外の項目は、通常の確定申告と同じように記入していきます。

付表には、被相続人の住所、氏名、死亡した日付、納め税金や還付される税金の総額を記入します。また、相続人分全員の住所、氏名、マイナンバーなどの必要事項に加え、相続割合や相続財産の価額も記入し、氏名の横に印鑑を押印します。また、各人の算出した納付税額や還付金額なども記入します。なお、還付金を受ける場合は、銀行口座名や口座番号などの受け取り方法も記入する必要があります。

準確定申告をする際に注意したいこと

準確定申告をする際、被相続人の死亡日が、課税や控除の対象を分ける分岐点となりますので、申告の際には注意が必要です。特に注意したいのは次の点です。

・保険料は死亡日までが控除の対象になる
生命保険料や社会保険料などの控除は、相続人の死亡日までに支払ったものが対象となります。なお、還付金がある場合は、相続税の課税対象になります。

・医療費は死亡日までが控除の対象になる
被相続人本人が、死亡日まで一定額の医療費を支払っていた場合は、準確定申告をする際に医療費控除の手続きをすることが可能です。しかし、入院費などを死亡後に相続人が代わりに支払った場合は、医療費控除の対象外となります。

支払った医療費は、相続税の債務控除の対象にすることができます。なお、生計を同一にする相続人や他の親族が入院費などの医療費を支払った場合は、支払った相続人や親族が確定申告をする際に医療費控除として申告することができます。

まとめ

準確定申告の申告書自体は、確定申告を同一の様式を使用しますが、必要書類を揃えるために時間がかかることがあります。準確定申告の提出期限は、被相続人が死亡してから4ヶ月以内、と規定されていますので、葬儀など落ち着いたらすぐに手続きを開始しなければいけません。スムーズに準確定申告をするために、相続税に詳しい税理士に相談や依頼することもおすすめです。

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会計知識

複式簿記の基礎知識と記帳方法について

個人事業主や起業しようと検討している方や会計事務所で働きたいと思っている方は、「複式簿記」の基礎知識や書き方については知っておきたいものです。この記事では、複式簿記が未経験の方でも分かりやすように簡潔に解説していきます。

簿記とは?

複式簿記の基礎知識を理解する前に、まず簿記について知ることは大切です。簿記とは、「帳簿記入」や「帳簿記録」などの言葉を略した言葉で、その名前の通り、商売の取引を帳簿に記入や記録をすることです。会社などはもちろんのこと、個人事業主でも商売をする上で、融資を受ける際には銀行へ決算書を提出する必要がありますし、納税申告をする際には決算書を元に確定申告書を作成して税務署へ提出することが求められています。

この提出書類となる決算書とは、期末時点の財産や負債が記載してある「貸借対照表」や、期中の売上や費用、利益などが記載されている「損益計算書」の2つの書類が含まれます。これらの書類は、決算書を構成する「財務3表」とも呼ばれるほどとても重要な書類で、日々の経営活動が記録されている簿記をもとに作成されます。

簿記には決められたルールがあるので、どの会社や起業でも、共通のルールに従って簿記を作成しています。そんな簿記には、「単式簿記」と「複式簿記」の2種類が存在しています。両者の違いについては後述します。

「正規の簿記の原則」について

正規の簿記の原則とは、一定の要件に従って性格な会計帳簿を作成することです。その正規の簿記原則は、「企業会計原則」と呼ばれる会計指針の一般原則のひとつであり、複式簿記は正規簿記の原則を満たしている必要があります。

これは法律で定められているものではありませんんが、1949年以来、会計基準を構成するための基本原則として使われています。そのため、企業会計は、すべての取引を正規の簿記に従って帳簿を作成しなければいけません。正規の簿記では、次の3つの要件を満たす必要があります。

1、網羅性
網羅性とは、すべての取引の事実をもれなく記録することです。

2、秩序性
秩序性とは、会計記録が秩序立った一定のルールに基づいていることです。

3、検証可能性
検証可能性とは、事後に検証可能な資料(レシートや領収書などの取引の証拠となる書類)に基づいて記録することが求められています。

複式簿記の記帳方法について

上記でも少し触れましたが、複式簿記の記帳は2方面、つまり、借方と貸方からの取引を記録していきます。複式簿記を記帳するためには、貸借対照表の意味や勘定科目が分かれていることをしっかり理解しておく必要があります。

貸借対照表の基本

複式簿記では、「借方」を左側、「貸方」を右側に記帳をしていきます。借方には現金などの財産が増えたことを示す勘定科目、貸方には財産が減ったことを示す勘定科目を記録します。貸借対照表は、「資産=負債+純資産(資産)」という計算式で成り立っていますので、常に借方と貸方は同じ金額になっていることが原則となっています。

簿記上の5つのグループ

簿記には、「資産」「負債」「純資産(資本)」「収益」「費用」の5つのグループで仕訳されています。仕訳とは、取引を借方と貸方のどちらかに振り分けて書くことで、これにはルールがあります。

(借方)資産の増加  (貸方)資産の減少
(借方)負債の減少  (貸方)負債の増加
(借方)資本の減少  (貸方)資本の増加
(借方)収益の消滅  (貸方)収益の発生
(借方)費用の発生  (貸方)費用の消滅

複式簿記の貸借対照表の記帳例

複式簿記は、毎日の財産移動を記帳することを「仕分け作業」、記帳した台帳は「仕訳帳」、日々の仕訳を勘定ごとに合計して一覧にしたものを「貸借対照表」と呼んでいます。貸借対照表をみれば、資産がどのくらいあるか、負債がどのくらいあるか、資産から負債を差し引いた純資産がどのくらいあるか、などの財政状況などをすぐに把握することが可能です。

では、実際に仕訳をし、複式簿記で記帳した例をみてみましょう。

例1:貯金から200万円を出資して事業所を開業
(借方)現金200万円  (貸方)資本金300万円

例2:銀行から150万円を現金で借入
(借方)現金150万円  (貸方)借入金150万円

例3:事務所の電気料金10万円を現金で支払う
(借方)電気料金10万円 (貸方)現金10万円

例4:100万円の商品を仕入れ、現金で支払う
(借方)商品100万円   (貸方)現金100万円

例5:銀行から借入れていた150万円を現金で返済
(借方)借入金150万円  (貸方)現金150万円

このように複式簿記では、資産、負債、費用、収益、純資産が増減するたびに取引と定義し、その取引を借方と貸方として左右に仕訳をして記帳していきます。常に借方と貸方の金額は一致していることが、複式簿記の原則です。

「単式簿記」と「複式簿記の違いとは?

では、単式簿記と複式簿記には、どのような違いがあるのでしょうか?単式簿記とは、1取引につき1項目を使って1方面から帳簿に記録する方法のことです。簡易記帳とも呼ばれています。一方、複式簿記は、すでに詳しくみたように1取引について2方面(借方と貸方)からの取引を記録していきます。では、ひとつの例から、両者の記入方法の違いについて比較してみましょう。

例えば、A社が9月1日に現金1,000円を保有、9月3日に1,000円の売上、9月5日に2,000円の売上、9月10日に3,000円の売上、があった場合、次のように記帳していきます。
1、単式簿記の場合
9/3  売上1,000円
9/5  売上2,000円
9/10 売上3,000円
と、3つの取引内容が記録されます。ひとつの取引項目を把握することができるので、簡易的と言えます。

2、複式簿記の場合
9/3  (借方)現金1,000円 (貸方)売上1,000円
9/5  (借方)現金2,000円 (貸方)売上2,000円
9/10 (借方)現金3,000円 (貸方)売上3,000円

と、3つの取引内容が記録されます。複式簿記では、現金がどのように流れたかを把握できます。

両者を比較すると、単式簿記は取引したお金の記録を1つの勘定科目だけで記録するので、初心者の方でも簡単に記帳することができます。家庭でつける家計簿のようなもの、と考えることができるでしょう。そのため、特別な知識を必要とせず作成できる、というメリットがあります。しかし、お金の増減の理由を知ることはできません。つまり、財産の状態が分からない、というデメリットがあります。

複式簿記を記帳するメリットとは?

単式簿記の方が簡単ですが、複式簿記で記帳することには様々なメリットがあります。ここでは、2つのメリットをご紹介します。

メリット①会社の「残高」が把握できるので自社の状況を判断することができる

複式簿記で記帳するなら、残高を把握することができます。そのため、損益取引の確実性が高まることにもつながります。また、貸借対照表をみれば、期末時点での現預金や固定資産などの資産や、借入金などの負債も把握できるので、自社が現在どのような状況なのかを一目で判断することもできます。

メリット②確定申告で青色申告ができる

確定申告には、白色申告と青色申告の2通りから選ぶことができます。青色申告は控除を受けられるなど様々なメリットがあります。しかし、青色申告を選択する場合は、複式簿記で記帳することが条件となっています。つまり、複式簿記で記帳するなら、青色申告によるメリットを得ることができます。

まとめ

複式簿記は理解し、慣れるまでは難しく感じるかもしれません。しかし、その分、単式簿記よりも得られるメリットがたくさんあります。記帳することに難しさを感じているなら、プロの税理士に相談したり、会計ソフトなどを利用することもひとつの方法です。是非、複式簿記に挑戦してみましょう。

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副業

副業も確定申告は必要?副業確定申告の方法について詳しく解説!

政府が働き方革命を推進することによって、近年、副業をしている会社員の方も増えています。増えた収入を毎月の生活費の足しにする方もいれば、今後の独立や企業のために副業で収入を増やしている方もいます。どんな理由で副業するにせよ、気になるのが確定申告のことです。副業をしている方の中には「会社にバレたくない・・」と思われている方もいることでしょう。

副業でも確定申告をする必要があるのでしょうか?この記事では、副業確定申告について詳しく解説していきます。

副業とは?

副業とは、本業以外に行う仕事のことです。本業はメインとなる収入の源となる仕事のことですから、会社員の方にとっての副業とは、「生活費の足し」や「小遣い稼ぎ」などのイメージに該当するものが副業になります。具体的には、次のようなものが副業に該当します。

・就業後や休日に行うアルバイト
・ブログなどを利用したアフェリエイト事業
・ライティングやデーター入力などのクラウドソーシング
・転売ビジネス(せどり)
・賃貸経営やマンションなどへの投資(大家)
・株やFXなどへの投資

また、最近ではYouTubeに動画をアップして広告収入を得ることや、自分の空き時間を活用して配達を請け負うUberEats、個人宅や空いている部屋を貸し出して民泊で稼ぐ副業などもあります。

副業は確定申告をすべき?

会社員の方が副業で確定申告をする必要があるかどうかを判断する基準のひとつに、「20万円ルール」があります。20万円ルールとは、本業が会社員などで給与をもらっていて、会社で年末調整をしている方が対象となっています。本業の給与以外に副業などの所得がある場合、20万円以下であれば確定申告をしなくてもよい、というルールになっています。

しかし、このルールは、副業がアルバイトやパートなのか、それともアルバイトやパート以外なのか、によって変わってきますので注意が必要です。では、それぞれのケースをみてみましょう。

・副業がアルバイトやパートのケース
本業が会社員で、その給与以外の副業がアルバイトやパートの場合は、アルバイトやパートで得た「収入」が1年間で20万円未満の場合は、確定申告は不要です。

・副業がアルバイトやパート以外のケース
副業がアルバイトやパート以外のケースとは、クラウドソーシングや内職などが該当します。本業が会社員で、その給与以外にアルバイトやパート以外で得た「所得」が20万円未満の場合は、確定申告は不要です。

アルバイトやパートの場合と異なるのは、「収入」ではなく、「所得」であるという点です。所得とは、「所得=売上-経費」のことですので、経費を差し引いて20万円未満となります。

・副業でアルバイトやパートとそれ以外の両方をしているケース
副業がアルバイトやパートとそれ以外の両方をしているなら、両方を足して20万円未満であるなら、確定申告は不要になります。

「20万円ルール」で注意したいこと!

20万円ルールには、いくつか注意したい点があります。それは次のようなことです。

①本業がフリーランスの人が副業した場合は適用されない

20万円ルールは、すでにみたように、本業で給与をもらって年末調整をしている人が対象となっています。そのため、本業がフリーランスの方などで、確定申告をしなければならない状況の方は、副業の所得が年間20万円未満だとしても、その副業も所得にまとめて確定申告をする必要があります。

②控除を受けるために確定申告をすると適用されない

年末調整をした方が、その後に確定申告をする場合には、20万円ルールは適用されません。年間20万円未満の副業の所得を確定申告しなければいけません。

③住民税の申告には適用されない

20万円ルールは、所得税の確定申告のみに適用されるものであって、住民税の申告には適用されません。所得税の確定申告書は、住民税の確定申告書も兼ねているため、副業の所得を確定申告しない場合は、住民税の確定申告書を自治体に提出しなければいけません。

ちなみに、住民税の確定申告書は、自治体のホームページからダウンロードすることができます。提出期限は確定申告書と同様、3月15日までとなっています。

確定申告をすると税金が戻ることも?!

上記でみたように、副業の所得が20万円未満の場合は確定申告をする必要はありませんが、確定申告が不要でも申告することで税金の還付を受けられるケースもあります。会社員の方で副業をしている場合は、次のようなケースが該当します。

・給与や報酬など源泉徴収の対象となる種類の収入がある場合、必要な経費や各種控除を差し引くと、所得税の税額合計が源泉徴収された税額合計よりも少なくなる場合

・確定申告をしないと受けられない控除がある場合(医療費控除、扶養控除、寄附金控除、雑損控除など)

・事業所得や不動産所得などが赤字で、他の所得と相殺することが可能な場合

副業で確定申告をするメリットとは?

副業で確定申告をすると、税金が戻る可能性があることに加え、次のようなメリットも期待できます。

・所得控除や税額控除が給与所得だけからでは引ききることができない場合、副業などのその他の所得から差し引くことができるので節税につながる。

・青色申告で事業所得や不動産所得などに赤字がある場合、他の所得と赤字を相殺しても赤字であるなら、翌年以降3年間赤字を繰り越すことができる。そして、その後は黒字と相殺できる。

副業で確定申告をしないデメリットとは?

確定申告をする必要があったのに、確定申告をしなかった場合は、次のようなペナルティが課されます。

・無申告加算税
納めるべき税金があったのに確定申告をしなかった場合は、申告で納めるべき税金が50万円までの場合は15%、50万円を超えた部分は20%の無申告加算税がペナルティとして課されます。

・重加算税
確定申告をしなかった理由が悪質であると判断された場合は、無申告加算税に加えて、最大40%の重加算税も課されることがあります。

・延滞税
確定申告期限を過ぎてから税金を納めた場合、その遅れた期間に応じて延滞税が発生します。年利は最大14.6%となっています。

副業の確定申告とその流れ

では、副業の収入が20万円以上の確定申告が必要な場合、どのような手順で申告すればよいのでしょうか?

確定申告の期限

確定申告の期限は、2月16日から3月15日までです。この期間内に申告書を提出し、税金を納めなければいけません。1日でも納付が遅れてしまうと、延滞税が発生しますので注意が必要です。

確定申告書の作成

副業の所得が「給与所得」か「雑所得」かによって、申告書の作成方法が異なります。給与所得として申告する場合は、源泉徴収票が必要です。給与の支払いを受けている会社が発行してくれます。申告書は「確定申告書A」を利用します。なお、もし年末調整で対応できない控除があるなら「確定申告書B」を使用します。

国税庁のホームページにある申告書作成コーナーを使って申告するなら、質問に答えて、源泉徴収票の数値を入力するだけで簡単に申告書作成が行えます。

続いて、副業が雑所得として申告する場合は、まず雑所得を計算するために1年間の収入と必要経費をそれぞれ計算する必要があります。本業の給与の源泉徴収票も用意しましょう。申告書は「確定申告書A」を利用します。給与所得と雑所得を入力していきましょう。なお、もし年末調整で対応できない控除があるなら「確定申告書B」を使用します。

本業の給与は給与所得として記入し、源泉徴収票の数値を入力します。そして、副業の利益は雑所得として、事前に計算して確定させた収入金額と必要経費を入力して申告書の作成は完了です。

会社に副業がバレたくないときは?

副業が認められるとはいえ、会社に副業をしていることや副業で稼いだ額まで知られたくない、という方もいることでしょう。会社に副業での稼ぎを知られたくない場合は、自分で確定申告をする必要があります。では、その方法をご紹介しましょう。

「確定申告書B」第二表には、所得税に加えて、住民税や事業税についての情報を記載する欄が設けられています。その右下の方には、「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という項目があります。給与所得以外の副業を確定申告する場合は、「自分で納付」に〇を付けるなら、会社に副業分の税額通知は届きません。副業分についての税額通知は、市区町村から直接本人宛に税額が通知されます。

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青色申告

確定申告で受けられる14種類の所得控除~物的控除と人的控除~

医療費控除や扶養控除など所得控除といっても、その種類は全部で14種類存在しています。それぞれの控除ごとに、適用される要件が異なっていますので、自分がそれに該当するかどうかを確かめることは大切です。該当する所得控除があるなら、申請をすることで節税にもつながります。この記事では、14種類の控除について詳しく解説していきます。

所得控除とは?

所得控除とは、一定の要件に該当する場合、所得税から特定の金額が差し引かれる制度のことです。社会保険料や生命保険料、扶養控除、医療費控除など、年末調整や確定申告などで申告手続きをするなら個々の事情に応じて適用されます。

すべての控除が誰にでも適用されるのではなく、それぞれの控除ごとに適用される要件が異なっています。なぜなら、すべての人が公平に税負担を確保できるように、各種の控除が政策的に設けられているからです。

例えば、人はそれぞれ家族構成が異なっています。扶養家族がいる人もいればいない人もいます。また、高い医療費を毎月支払っている人と払っていない人では、生活にかかる費用が大きく異なってきます。

このように個々の緒事情によって、負担できる税額は違います。様々な事情を汲みとり、全部で14種類の控除が設けられています。これから控除の一定の要件に該当するなら、その分が所得から控除されるので、所得税の負担額を抑えることができます。

「物的控除」と「人的控除」

所得控除は、大きく「物的控除」と「人的控除」に分けられています。物的控除とは、主に支出に対する控除です。家事上の支出や損失などを加味する控除が7種類あります。一方、人的控除とは、人に対しての控除です。個人的な事情についての一定の控除が7種類設けられています。

では、物的控除7種類と人的控除7種類、計14種類の控除について詳しくみていきましょう。

7種類の物的控除

物的控除は、家事上の支出や損失を加味する目的があります。物的控除に該当する所得控除には、次の7種類となっています。

①雑損控除

雑損控除とは、震災や冷害など自然現象による災害、火災、盗難、横領などによって、納税者本人や納税者と生計を同一している配偶者やそのほかの親族の資産が損害を受けた場合に、一定の金額の控除が受けられます。ただし、納税者と共に生計をしている配偶者やそのほかの親族は、1年の総所得金額が48万円以下(令和2年度分以降)、であることが要件となっています。なお、詐欺や恐喝などは、雑損控除の対象ではありません。

控除額は、次の2つの算式から、金額が大きい方が控除額として適用されます。

1、「(差引損失額)-(総所得金額)×10%」

2、「(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-50,000円」 ちなみに「災害関連支出の金額」とは、災害により焼失した住宅や家財などを取り壊したり、除去したりするなどのために支出した金額などのことです。

②医療費控除

医療費控除とは、1年間に納税者本人や納税者と生計を同一している配偶者やそのほかの親族のために、一定額以上の医療費を支払った場合に適用される控除です。

医療費控除が受けられるものには、診療費、治療費、歯の矯正費用(治療目的のもの)、金歯・インプラント治療(美容目的は対象外)、マッサージの施術料(治療目的のもの)、医薬品の購入(健康増進や疲労回復などを目的としているものは対象外)、通院のための交通費、治療のためのメガネ購入費(処方箋が必要)、出産の分娩費などが挙げられます。

医療費控除を受ける場合は、原則として、「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付することになっています。医療費控除の金額は、「(実際に支払った医療費の合計金額)-(保険金などで補てんされる金額)-10万円」という算式で算出できます。なお、「-10万円」の部分は、その年の総所得金が200万円未満の場合は、「総所得金額等の5%の金額」となります。

医療費控除のひとつとして、平成28年度の税制改正により、平成29年から5年間にわたって「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が設けられています。納税者本人、もしくは生計を同一する配偶者や他の親族などが、特定の一般用医薬品等購入費を支払った場合、購入費用(年間10万円が限度)のうち、12,000円を超える額(最大88,000円)を控除として受けることができます。

控除額は、「(実際に支払った特定一般薬品等購入費の合計額ー保険金などで補てんされる金額)-12,000円」という算式で算出できます。

③社会保険料控除

社会保険料控除とは、1年間に納税者本人や生計を同一する配偶者、そのほかの親族の社会保険料を支払ったときに受けられる控除です。健康保険や国民年金、厚生年金などの保険料が対象となっています。控除額は、支払額の全額となっています。

④小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、納税者本人が小規模企業共済法が規定する小規模企業共済等の掛金の支払いをしている場合に適用される控除です。その年に支払った掛金の金額すべてが控除額の対象となっています。

⑤生命保険料控除

生命保険料控除とは、納税者本人が生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料などの支払いをした場合に適用される控除です。生命保険と締結した時期、つまり、平成24年1月1日以降に締結した保険契約(新契約)と、平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)では、控除額の計算方法が異なっています。

⑥地震保険料控除

地震保険料控除とは、納税者本人が地震や津波で被害を被った場合に備えた地震保険の保険料を支払った場合に、一定の所得控除を受ける対象となります。年間に支払った地震保険料にもよりますが、最大50,000円まで控除額が受けられます。

⑦寄附金控除

寄附金控除とは、納税者本人が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して寄附をした場合に受けられる控除です。ふるさと納税も、寄附金控除の対象となっています。

寄附金控除は、「その年に支出した特定寄附金の額の合計額」もしくは「その年の総所得金額等40%相当額」のうち、いずれか低い金額から「-2,000円」という算式で算出した金額が、寄附金控除額となります。寄附金控除を受けるためには、寄附金の受領書などを確定申告書に添付して提出する必要があります。

7種類の人的控除

人的控除は、個人的な事情を加味する控除です。人的控除に該当する7種類の控除を、ひとつずつみていきましょう。

①基礎控除

基礎控除とは、納税者本人の控除ですべての人が受けられます。控除額は一律38万円でしたが、令和2年度分以降からは納税者本人の合計所得金額に応じて金額が変わってきます。

②寡婦(寡夫)控除

寡婦(寡夫)控除とは、納税者本人が配偶者と離婚や死別などをし、一定の要件を満たしている場合に受けることができる控除です。

・寡婦には、原則として、その年の12月31日の現況で、次の要件のいずれかが当てはまる人が該当します。

1、夫と死別、もしくは離婚したあとに婚姻をしていない人や、夫の生死が明らかでない人
2、扶養親族で合計所得金額等が38万円以下の子どもがいる人
3、合計所得が500万円以下の人

・寡夫には、原則として、その年の12月31日の現況で、次の要件のいずれかが当てはまる人が該当します。

1、その年の12月31日の現況で、合計所得金額が500万円以下の人2、妻と死別、もしくは離婚したあとに婚姻をしていない人や、妻の生死が明らかでない人3、生計を同一にしている子どもがいる人。ただし子どもは総所得金額等が38万円以下で、ほかの人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限る。

原則は27万円の控除ですが、3つの要件満たしている場合は「特別の寡婦」に該当するため、35万円の控除を受けることができます。

③勤労学生控除

勤労学生控除とは、納税者本人が所得税法の勤労学生の場合に受けられる控除です。勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の3つの要件に該当している人が対象となります。

1、給与所得などの勤労による所得があること

2、合計所得金額が75万円以下(令和2年度分以降から)で、1の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること

3、特定の学生、もしくは生徒であること。これには学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校などが該当します。また、国、地方公共団体、私立学校法の第3条に規定されて学校法人、選手学校、職業能力開発促進法で規定されている認定職業訓練を行う課程を修復させるものも含まれます。

いずれかの学校に当てはまるかどうか分からない場合は、通学している学校の窓口で確認されることをおすすめします。

④障害者控除

障害者控除とは、納税者本人、もしくは控除対象配偶者や扶養親族などが、所得税法上の障害者に該当する場合に受けられる控除です。控除金額は、障害者が27万円、特別障害者が40万円、同居特別障害者が75万円となっています。

⑤扶養控除

扶養控除とは、納税者本人にその年の12月31日現在の年齢が16歳以上で、所得税法の控除対象扶養親族となる人がいる場合に受けることができる控除です。控除対象扶養親族の対象となるのは、次の要件を満たしている人です。

1、配偶者以外の親族(6親等内の血族、もしくは3親等内姻族)、都道府県知事から養育を委託された子ども(里子)や、市町村から養護を委託された老人

2、納税者本人と生計を同一している人

3、年間の合計所得金額が38万円以下の人(給与のみの場合は、給与収入が103万円以下の人)

4、青色申告者の事業専従者(家族従業員)として、その年を通じて1度も給与の支払いを受けていない人、もしくは白色申告者の事業専従者でない人

控除金額は、一般の控除対象扶養親族は38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円、老人扶養親族(70歳以上)で同居老親等以外は48万円、老人扶養親族(70歳以上)で同居老親等は58万円となっています。

⑥配偶者控除

配偶者控除とは、納税者本人に所得税法の控除対象者配偶者がいる場合に、一定の金額の控除が受ける対象となります。控除対象配偶者とは、次の要件を満たしている必要があります。

1、民法の規定による配偶者である人(内縁関係は対象外)

2、納税者と生計を同一している人

3、年間の合計所得金額が38万円以下の人(給与のみの場合は給与収入が103万円以下の人)

4、青色申告者の事業専従者(家族従業員)として、その年を通じて1度も給与の支払いを受けていない人、もしくは白色申告者の事業専従者でない人

5、控除を受ける人のその年の所得金額の合計が1,000万円以下であること

控除金額は、次のようになっています。

・控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合:一般の控除対象配偶者は38万円、老人控除対象配偶者は48万円

・控除を受ける納税者本人の合計所得金額が900万円超950万円以下の場合:一般の控除対象配偶者は26万円、老人控除対象配偶者は32万円

・控除を受ける納税者本人の合計所得金額が950万円超1,000万円以下の場合:一般の控除対象配偶者は13万円、老人控除対象配偶者は16万円

⑦配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、配偶者控除を受けられない配偶者がいる場合、その配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられます。配偶者特別控除の対象となっている配偶者は、次の要件に該当する人です。

1、納税者本人と生計を同一している人
2、年間の合計所得金額が48万円超133万円以下である人(令和2年度分から)
3、白色申告専従者や青色申告専従者でない人

最大65万円の控除が受けられる「青色申告特別控除」

青色申告特別控除とは、青色申告者のみが対象となっている控除です。主に青色で確定申告をする個人事業主やフリーランスなどを対象としている控除制度です。確定申告をする際、青色申告と白色申告のいずれかを選ぶことができ、青色申告をした場合のみに最大65万円の控除が受けられます。

青色申告特別控除を受けるためには、開業したことを知らせる「開業届」と、青色申告をすることを申請する「青色申告承認申請書」を提出し、期限を守って確定申告をすることが求められています。

また、事業所得、もしくは不動産所得を得られる事業をしていることに加え、複式簿記で記帳することや、確定申告時には貸借対照表と損益計算書を添付し、控除を受ける金額を記載して期限内に確定申告をする、などの条件を満たす必要があります。

まとめ

所得控除には、様々な種類があります。ですから、自分がどの控除が受けられるかを理解した上で確定申告をし、所得控除を確実に受け取るようにしましょう。所得控除は法令の改正などで、頻繁に計算額や控除額が変わりますので、最新の情報に目ざとくあるようにしましょう。

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会社設立

NPO法人とは?メリットとデメリット・設立方法・20の活動内容など基礎知識まとめ

法人と呼ばれる団体のひとつに「NPO法人」という団体があります。名前はよく見聞きしていても、どのような団体なのか詳しく説明できる方は少ないようです。この記事では、NPO法人の特徴や設立方法、設立費用など基礎的知識について詳しく解説していきます。

NPO法人とは?

NPO法人のNPOとは、「Non・Profit・Organization」の略です。Nonprofit(ノンプロフィット)には「非営利」、Organization(オーガナイゼーション)には「団体」という意味があります。つまり、日本語に訳すなら「非営利組織(団体)」という意味になります。

日本ではNPO法人のことを「特定非営利活動法人」と呼んでいます。非営利という名前の通り、社会的貢献活動を行っており、構成員には収益を分配することを目的としていない、ことがNPO法人の大きな特徴となっています。

「非営利」の意味とは?

では、NPO法人、つまり非営利団体の「非営利」とは、どのような意味があるのでしょうか?よく多くの方は、「給与が発生していない」とか「お金を儲けてはいけない」「お金を受け取らずにボランティア活動をしている」などのイメージを持っていますが、非営利とは、一言で言うなら「利益を分配しない」ということです。

つまり、利益を出して儲けること自体は問題ありません。しかし、法律的には収益をあげることを主な目的として活動することはできません。

例として、株式会社は合同会社(LCC)などの営利企業の場合、自らの組織の収益をあげることが企業の最大の目的となります。事業が成功し、利益が増えた場合は、その儲けた利益を株主や役員に配当することができます。しかし、NPO法人の場合は、収益を上げることを目的とすることができないため、活動範囲を超える収益が発生した場合は、その儲けた利益を皆で配当することができない、ということです。

ただし、決してお金を儲けてはいけない、という意味ではありません。NPO法人も人が集まって組織が運営されていますので、収益がなければNPO法人を構成している人たちに給与を支払うことができなくなってしまい、存続することができなくなってしまいます。そのため、NPO法人の主な活動の収益を目的としている分野では、収益をあげてもよいと認められています。また、事業で得た収益が活動範囲を超えた場合には、社会的な貢献活動のために利用することになっています。

このようにNPO法人とは、社会で人のために貢献する、お金を目的としていない団体ですが、活動に必要な範囲内であれば、収益をあげても可能な団体ということです。しかし、NPO活動をするためには、必ずしも法人格でなければならない、という条件はありません。実際、多くのNPOが法人格を持たずに任意団体として現在活動しています。

では、NPO活動を法人化する上でのメリットとデメリットについてみていきましょう。

NPO法人設立のメリットとは?

NPO活動を法人化するなら、次のようなメリットが得られます。

メリット1:社会的信頼度が高い

団体で活動をする際には、事務所などの賃貸、通信回線などに加え、行政や企業などとの契約も必要となることがあります。その際、法人格していないと、団体として契約することができないことがあります。また、助成金や行政などからの委託事業などは、法人格であることが、応募条件になっていることがよくあります。特に不動産登記の場合、任意団体名義では契約することができません。

そのため、代表者が個人名で処理する必要があります。しかし、代表者が交代したり、死亡した場合などは、そのまま継続して使用することができなくなりますが、法人化しているなら代表者が変更してもそのまま継続することが可能です。

また、NPO法人は、一般社団法人や一般財団法人など他の非営利団体と比較すると、知名度が高いため、社会的な信頼性も有利となっています。

メリット2:少額の費用で設立することができる

NPO法人は、法律上、資本金や出資金などは定められていません。つまり、財産がなくても、設立することができます。また、登記する際には、登録免許税も発生しないので、少額で設立手続きが行えます。

メリット3:税制面で優遇が受けられる

収益事業をしていないNPO法人は、法人住民税が免除されることがあります。法人化していないと、活動の運営状況によっては、団体の所得が代表者個人の所得とみなされてしまい、課税の対象になってしまうことがあります。

また、認定、もしくは特例認定NPO法人になると、寄付した人は所得税が優遇されたり、指定のNPO法人に寄付した人は住民税控除を受けられる制度を設けている自治体などもあります。

NPO法人設立のデメリットとは?

続いて、NPO活動を法人化するデメリットについてもみていきましょう。

デメリット1:設立までに時間がかかる

NPO法人を設立するまでには、最低でも3ヶ月以上かかります。一般的な営利企業の場合、設立手続きは1~2週間ほどで完了するので、比較するなら長い時間がかかると言えるでしょう。

デメリット2:構成人の数が10人以上と決められている

NPO法人として認証を受けるためには、最低でも10人以上の社員が必要です。しかも、その10人は従業員ではなく、「正会員」という位置づけになります。また、役員要件として、3人以上の理事と1名以上の監事を置くことが規定されています。

デメリット3:活動分野が法律で決まっている

NPO法人は、法律で決められた分野以外で活動することはできません。(活動分野については後述します)また、活動分野を変更する際には、再度認証手続きをしなければいけません。

デメリット4:会計方法などが決まっている

収益事業をする際、収益事業とそれ以外を区分した会計をしなければいけません。また、一般的な企業会計とは異なる独特な会計方法で処理する必要があります。

デメリット5:情報を公開する必要がある

NPO法人は、信頼性が高い分、他の非営利団体よりも、報告書などの提出書類がたくさんあります。事業報告書、活動計算書類などを所轄の都道府県庁や市役所などに、年度ごとに提出するよう求められています。また、役員名簿や社員名簿、財産目録などの情報を公開することが義務付けられています。

NPO法人で認められている「20の活動分野」

NPO法人で認められている活動は、以下の20の分野です。

1、保険、医療又は福祉の増進を図る活動
2、社会教育の推進を図る活動
3、まちづくりの推進を図る活動
4、観光の振興を図る活動
5、農村漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6、学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7、環境の保全を図る活動
8、災害救援活動
9、地域安全活動
10、権の擁護又は平和の推進を図る活動
11、国際協力の活動
12、男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13、子どもの健全育成を図る活動
14、情報化社会の発展を図る活動
15、科学技術の振興を図る活動
16、経済活動の活性化を図る活動
17、職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18、消費者の保護を図る活動
19、前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20、前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例に定める活動

NPO法人の設立費用はどのくらい?

NPO活動を法人として設立するためには、それほど費用はかかりません。上記のメリットでもみたように、資本金や出資金などの規定はありません。また、一般の会社を設立登記するためには、登録免許税が数10万円以上発生しますが、NPO法人の場合は登録免許税もかかりません。つまり、法人としての資金がなくても、手続きすることができます。

NPO法人を設立するために必要な費用には、法人の印鑑を作る代金や役員になる人の住民票の手続きにかかる費用、手続きにかかる交通費、通信費など周辺にかかる費用しかありません。しかし、当たり前のことですが、NPO法人を設立するために専門家に相談したり、設立を依頼する場合は、費用が発生します。

NPO法人設立までの流れ

NPO法人を設立するまでは、おおまかに次のような流れになります。

ステップ1:NPO活動が指定の業種に該当しているか確認する

NPO法人を説明するためには、上記で確認した20種類の業種に該当していなければいけません。途中で業種を変更や追加をする場合は、もう一度、認証手続きが必要となることがありますので慎重に選びましょう。

ステップ2:発起人で設立発起人会を開く

NPO法人を設立する人たちは、発起人と呼ばれています。発起人たちは発起人会を開き、設立の趣旨や活動の目的、法人名、代表者名、入会金、会費など説明するNPO法人の基礎となる部分を決める必要があります。発起人会を開くことは義務付けられているわけではありませんが、基本的なルールや目的を確認し合うためにも開かれることが望ましいと言われています。

ステップ3:社員全員で設立総会を開く

社員全員で設立総会を非落暉、説明発起人会で決めた内容を発表し、最終的な意思決定を行います。意思決定を証明する際には、諸事禄をとる必要があります。

ステップ4:所轄庁へ設立認証の申請をする

所轄庁へ設立認証の申請手続きをする際、以下の書類が必要となります。

・設立認証申請書
・定款(法人の目的・名称・特定非営利活動の種類など法律で定められている14項目の事項などについて記したもの)
・役員名簿(役員ごとの報酬の有無を明記したもの)
・役員の就任承諾書および誓約書の謄本
・役員の住所又は居所を証する書面(住民票など)
・社員のうち10人以上の氏名および住所・居所を示した名簿
・認証要件に適合していることを確認したことを示す確認書
・設立趣旨書
・設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
・設立当初の事業年度および翌事業年度の事業計画書
・設立当初の事業年度および翌事業年度の活動予算書

ステップ5:縦覧・審査・認証がされる待機期間

縦覧・審査・認証は、主に所轄庁側で行われる処理なので、申請者は待機する期間となります。およそ3ヶ月間、待つことになります。提出した書類は、受理された日から1ヵ月間公開されます。公開される内容は、申請年月日、NPO法人の名称、代表者名、主たる事務所の所在地、定款に記載された目的などの項目です。

また、申請受付から3ヶ月以内に都道府県や市区町村などの所轄庁が審査を行います。その後、認証、もしくは不認証の結果が申告書へ通知されます。なお、不認証になった場合は、その理由が通知に記載されています。該当箇所を訂正した後、再度申請することが可能です。

ステップ6:法人設立の登記手続きをする

認証されると、認証書が届きます。認証された通知があった日から2週間以内に、法務局で設立登記の手続きをする必要があります。登記手続きをしないで6ヵ月以上経過してしまうと、認証が取り消されてしまうことがあります。

2週間という期限が限られていますので、審査を受けている間に、登記に必要なものを準備しておくことができるかもしれません。登記手続きに必要なものは、次のようなものです。

・NPO法人の印鑑(事前に印鑑を作成し法務局へ届け出をしておく必要がある)
・NPO法人の印鑑届出
・代表者個人の印鑑証明書
・法人設立時の財産目録
・理事の就任承諾書
・宣誓書
・定款

それに加え、所轄庁から届く
・認証書
・登記申請書

が登録手続きに必要となります。代表者以外が法務局へ行く場合は、委任状が必要となりますので注意しましょう。

ステップ7:所轄庁に法人設立を提出する

設立登記が完了したら、所轄庁にNPO法人を設立した届出を提出し、NPO法人の設立となります。

まとめ

NPO法人の社会的な位置づけが理解できれば、その魅力も知ることができます。独立や起業を検討している方の中には、法人の形態で悩んでいる方もいることでしょう。NPO法人設立を検討しているなら、その後の経営も見据えたうえで、慎重に活動事業を選ぶようにしましょう。

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給与

失業保険がもらえる条件とは?受給条件や申請方法などを徹底解説!

会社を辞める前に、失業保険のしくみや条件を理解していないと、退職後に失業保険を受け取ることができない、などトラブルにつながることがあります。なぜなら、受け取れる失業保険は、離職した理由や雇用保険の加入期間など様々な条件が設けられているからです。この記事では、失業保険をもらえる条件や申請方法などについて徹底解説していきます。

労働者の生活と雇用の安定を守る「雇用保険」とは?

毎月の給与明細書をみると、「雇用保険料」という項目があります。雇用保険料とは、会社を辞めたときのために掛けている保険のことです。会社を辞める理由は人それぞれですが、会社の経営が悪化したため会社の都合で辞めざるを得なくなる場合や、より良い待遇や仕事を求めて転職するために自分の都合で辞める場合があります。

会社の都合にせよ、自分の都合にせよ、どんな理由で退職したとしても、未就労期間、つまり、離職期間の生活中に心強い味方となってくれるのが「雇用保険制度」です。加入者は、退職後も引き続く働きたいという意思があり、転職活動を行っている場合に、失業保険を受け取ることができます。

失業保険がもらえる条件とは?

実は、雇用保険に加入していても、すべての人が失業保険をもらえるわけではありません。退職の理由に応じて、次のような条件が設けられています。

①退職の理由

自己都合の退職の場合
労働者が自分から自発的に退職を申し出て離職した場合、正当な理由の有無で失業保険の受給条件が変わってきます。正当な理由の代表的な例としては、「家族の介護のため」「配偶者の転勤に伴って同行するため、通勤不可能なため」「疫病により就業が困難なため」などが挙げられます。

このように退職する理由が正当な理由のある自己都合退職であると認められた場合は、離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6ヵ月以上であるなら給付を受けることができます。

一方、正当な理由なしで、自発的に退職した場合は、離職日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが条件となっています。

会社都合の退職の場合
会社から解雇(懲戒解雇は除く)、倒産、退職勧奨、更新が予定されていた有期契約(3年以上)の打ち切りなど、会社の都合による理由で非自発的に失業となった場合は、離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6ヵ月以上あるなら給付の対象となります。

その他
定年退職や更新予定の有期雇用契約の満了など、あらかじめ相違で合意していた理由により失業した場合の失業保険の受給条件は、正当な理由がない自己都合退職と同じ条件です。ただし、このケースに該当する場合は、3ヶ月の給付制限はありません。

②退職理由以外の条件

退職した理由が自発的にせよ、非自発的にせよ、どんな理由だとしても、給付金を受けるためには、ハローワークに離職票を提出し、求職の申し込みをしなければいけません。そして、受給資格者の確認をした日、つまり、受給資格決定日から7日間は待期期間となっています。給付制限期間がない場合は、待期期間後に手当の支給が始まります。

また、給付金を受けるためには、「働く意思と能力」について確認されます。なぜなら、ハローワークでは、失業者が再就職できるよう生活支援をすることを目的とし、失業保険の給付をしているからです。つまり、失業保険を受けるためには、就職したいという意思と、積極的に求職活動をしていることが大切です。

会社都合による退職者は「特定受給資格者」に該当する

自分から自発的に退職する自己都合退職と、会社都合による退職では、基本手当の給付日や支給されるまでの期間などが異なります。特に会社都合による退職の場合、自分の意志とは関係なく失業してしまうので、手厚く保護されるよう「特定受給資格者」に分類されます。

これには会社が倒産したり、突然解雇されたりなどの理由が該当します。また、事業所の移転に伴い通勤が難しくなってしまった場合や、労働契約の内容と労働条件が異なっているなどの理由も、会社都合になります。

(特定受給資格者が給付を受けられる日数)
特定受給資格者が給付を受けられる日数は、雇用保険に加入していた期間や退職時の年齢などによって変わってきます。給付を受けられるのは、原則、離職日の翌日から1年以内です。また、離職の理由を問わず、求職の申し込みをしてから通算7日間は、待期期間となりますので、支給を受けることはできません。支給期間は1年間ですので、給付日数が多い方は、早めに手続きをすることが大切です。

(特定受給資格者の所定給付日数ー離職時の年齢が29歳以下の場合)
・被保険者期間11か月以下:所定給付日数90日
・被保険者期間1~4年:所定給付日数90日
・被保険者期間5~9年:所定給付日数120日
・被保険者期間10~19年:所定給付日数180日

(特定受給資格者の所定給付日数ー離職時の年齢が30~34歳の場合)
・被保険者期間11ヶ月以下:所定給付日数90日
・被保険者期間1~4年:所定給付日数120日
・被保険者期間5~9年:所定給付日数180日
・被保険者期間10~19年:所定給付日数210日
・被保険者期間20年以上:所定給付日数240日

すべてをご紹介することはできませんが、さらに年齢が上がれば上がるほど、手当が厚くなっています。特に離職時の年齢が45~59歳の場合は、最大330日となっています。

自己都合による退職者は「一般の離職者」に該当する

自分の意志で退職した人は、「一般の離職者」に該当します。退職願や退職届などと書いた場合は、自己都合退職になります。ただし、注意したい点として、会社都合なのに退職願や退職届を書くよう無理矢理強制されるケースには気をつける必要があります。

なぜなら、自己都合退職と会社都合退職では、給付の内容が大きく異なっているからです。ですから、会社側から無理矢理強要されたとしても、退職願や退職届に署名を絶対にしないようにしましょう。

(自己都合には給付の期間が制限されている)
一般の離職者の場合、特定受給資格者と比較すると、基本手当の給付日数が大幅に少なく制限されています。雇用保険に加入していた期間が1年未満の方は、給付金を受けることができません。また、雇用保険に20年以上加入していたとしても、150日しか支給されません。

さらに、自己都合退職の場合は、給付制限期間が設けられています。特定受給資格者の場合は、通算7日間の待期期間が満了した後、すぐに給付が開始しますが、一般の離職者の場合は7日の待期期間満了後、さらに3ヶ月間待つ必要があります。つまり、給付金を受け取るまでに、3ヶ月以上も待たなければいけません。

(一般の離職者の所定給付日数)
・被保険者期間1年以上9年以下:所定給付日数90日
・被保険者期間10~19年:所定給付日数120日
・被保険者期間20年以上:所定給付日数150日

やむを得ない理由がある自己都合退職に該当する「特定理由離職者」とは?

雇用保険制度では、自己都合なのに、やむを得ない理由がある場合は、「特定理由離職者」に該当します。特定理由離職者に該当するのは、契約期間が満了し、本人が更新を希望しているにもかかわらず、更新の合意が成立しないで退職になってしまったなどの「雇い止め」などのケースが代表的な例として挙げられます。

また、健康面や家庭の事情などが理由で自己都合退職した場合も、特定理由離職者として認められることがあります。このようなケースの場合は、特定受給資格者と同様の給付日数が受けられます。しかし、これが適用されるのは、2022年3月31日までの離職が対象となっています。

ちなみに離職理由を判断するのは、ハローワークの所長、もしくは地方運輸局長です。会社が発行した離職票の離職理由を元に判断します。正当な理由があって自己都合退職するので、一般の離職者よりも手厚い給付が受けられるよう取り計らわれます。ですから、会社から離職票を受け取ったら、離職理由が正しいかどうかを必ず確認するようにしましょう。

また、トラブルを回避するためにも、退職する前、雇用主に離職する理由についてお互いが確認しておくことはとても大切です。

失業保険を受給するには「ハローワーク」に求職の申し込みが必要!

会社を退職した後、自動的に失業保険がもらえるのではありません。会社を退職する際、「離職票-1、‐2」「雇用保険被保険者離職票」が発行されます。

上記でみたように、雇用保険に加入していた期間が離職日以前2年間(理由によっては1年間)、通算12か月以上(理由によっては6ヶ月以上)などの条件に該当するなら、雇用保険被保険者離職票をもってハローワークに求職の申し込みをすると、通称「失業保険」と呼ばれている「基本手当」を受けられる資格を得ることができます。

会社側は、従業員に離職票を発行するためには、「離職証明書」を作成し、ハローワークに提出することが求められています。提出期限は、退職した従業員が雇用保険の被保険者の資格を喪失した翌日から10日以内、と規定されていますので、担当者の方は期日以内に提出するよう注意してください。

失業保険をもらうまでの流れと手続きについて

では、上記の点を踏まえた上で、失業保険を受け取るまでに流れについてみていきましょう。

ステップ1:手続きに必要な書類を準備する

・「離職票-1、-2」
・「雇用保険被保険者離職票」
・マイナンバーカード
・証明写真(縦3㎝×横2.5㎝)2枚
・印鑑
・本人名義の預金通帳、もしくはキャッシュカード(インターネットバンク及び外資系金融機関以外)

マイナンバーカードがない場合は、マイナンバーカード確認書類としてマイナンバー通知カードか、マイナンバーの記載がある住民票のいずれかと、身元確認書類を用意してください。身元確認書類は、運転免許証、官公署が発行元の身分証明書か写真つきの資格証明書、年金手帳、公的医療保険の被保険証書などが挙げられます。

ステップ2:ハローワークで手続きをする

すべての必要書類が揃ったら、現住居に管轄するハローワークで手続きをします。給付金を受けるためには、次の3つの手続きが必要です。

・求職の申し込み
求職の申し込みをして、働く意思と能力があることを示します。求職の申し込みをしなければ、給付金を受けることはできません。

・離職票等必要書類の提出
勤務していた会社から発行された離職票を提出する際には、記載されている離職の理由が正しいかどうかを確認しましょう。もし異なっている場合は、ハローワークの担当者にその旨を伝えてください。

・雇用保険受給説明会日時決定
担当者から「雇用保険説明会」の日時について案内されます。

ステップ3:雇用保険説明会に出席する

指定された日時の雇用保険説明会(雇用保険受給者初回説明会)に参加します。この説明会で「1回目の失業認定日」について知らされます。また、給付金の受取に必要な「失業認定申請書」と「雇用保険受給資格者証」を受け取ります。

ステップ4:失業認定日にハローワークに行く

給付金を受けるためには、月2回以上、求職活動をすることが求められています。失業認定日には必ずハローワークに行き、「失業認定申告書」を提出し、失業認定を受ける必要があります。失業認定申告書には、就職活動の状況について記入しておきます。そして、この時に「2回目の失業認定日」が知らされます。

ステップ5:失業保険の受給

失業認定日から通常5~7営業日後に、指定した口座へ給付金が振り込まれます。それ以降は、原則、4週間に1度、失業認定を受けるためにハローワークへ行くことで、認定を受けた日数分だけの基本手当が支給されます。失業手当を受けるためには、これを継続的に行う必要があります。

ただし、失業手当がもらえる期間は、離職日の翌日から1年間と期限が決められています。手続きが遅れてしまうと、最後まで受け取ることができなくなってしまう可能性もあるので、早めに手続きを行うようにしましょう。また、再就職先が見付かり、まだ支給を受けていない基本手当の日数が残っている場合は、「再就職手当」という給付を受けることが可能になります。

失業保険の給付額について

失業保険の給付額は、退職した会社から支払われていた給与のおよそ50~80%程度もらえることになっています。では、具体的にどのくらいもらえるのでしょうか?計算方法についてみていきましょう。

ステップ1:退職する直前の6ヶ月間の給与合計額を算出する

まず離職する直前の6ヶ月間にもらった給与の合計額を計算します。給与明細書から計算することもできますし、退職する際に会社からもらった「離職票2」を確認することで、合計額が分かります。残業代や通勤手当、住宅て手などの各種手当も含めて計算します。しかし、ボーナスなどの賞与は含めないでください。

ステップ2:1の給与総額から1日当たりの平均賃金を計算する

離職する直前の6ヶ月間の総支給額を180日(30日×6ヶ月)で割り、1日当たりの平均賃金を算出します。つまり、「賃金日額=退職前6ヶ月間の給与総額÷180(日)」という算式で計算します。

ステップ3:離職時の年齢と賃金日額に基づき「基本手当日額」を算出する

すでに用意されている表から、離職時の年齢に該当する表を選び、賃金日額を各表の計算式にあてはめて、基本手当日額を算出します。表は4種類、年齢ごとに用意されています。1の表は29歳以下、65歳以上、2の表は30~44歳、3の表は45~59歳、4の表は60~64歳となっています。この表は、ハローワークの公式サイトで確認することができます。

まとめ

毎月の給与から天引きされている雇用保険は、失業したときに給付を受けることができます。退職する理由によって給付内容が異なっていることを覚えておきましょう。そして、人生の転機として転職することになった場合には、適切な申請を行い、雇用保険制度を上手に活用していきましょう。

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キャッシュフロー計算書とは?基礎知識と活用法を分かりやすく解説!

会社を経営していく上で、「キャッシュフロー計算書」は、経営の状況を客観的に判断するために欠かすことができないとても重要な書類のひとつです。では、キャッシュフロー計算書は、実際にはどのような役割を果たしているのでしょうか?この記事では、キャッシュフロー計算書の基礎知識について解説していきます。

キャッシュフロー計算書とは?

キャッシュフローとは、「キャッシュ(お金)」の「フロー(流れ)」という意味を持つ、資金繰りをする上でよく使われる用語です。そして、このお金の流れを視覚的に数値化して表したものが「キャッシュフロー計算書」と呼ばれています。
キャッシュフロー計算書は、「貸借対照表」「損益計算書」に並ぶ、決算に必要な財務諸表のうち最も重要な役割を果たす「財務3表」のひとつです。決算書類のことは、経理担当者や税理士なども任せている方でも、経営者であるなら、会社の経営状況を客観的に判断できるキャッシュフロー計算書について理解しておくことは大切です。では、キャッシュフロー計算書について詳しく知る前に、まずは決算書についてみてみましょう。

決算書について

キャッシュフロー計算書は、すでにみたように「財務3表」とも言われる「決算書」を構成する書類のひとつです。そもそも決算書の正式名称は、上場企業などが作成する「財務諸表」、もしくは、それ以外の会社が作成する「計算書類」と呼ばれています。
すべての会社は、決算書を作成することが義務付けられています。決算書は、会社の状態を数値で表した書類です。経営状況を判断するために使用されます。

財務3表と言われている「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」、「キャッシュフロー計算書(C/F)」は、主にどのような書類なのでしょうか?

・「貸借対照表(B/S)」:資産・準資産・負債の状態などお金の調達方法と運用の仕方を示した書類

・「損益計算書(P/L)」:収益・費用の状態など利益の生み出し方を表している書類

・「キャッシュフロー計算書(C/F)」:現金の流れを示した書類

企業は、会計年度に合わせて決算書を作成した後、税務署や株主、債権者などの開示する必要があります。企業によっては、これらの書類に加えて、「製造原価報告書」や「株主資本等変動計算書」、「有価証券報告書」などの書類の提出も義務付けられることがあります。

財務3表は、会計帳簿を見ながら作成していきます。もし帳簿が間違っているなら、財務3表にも間違いの影響が出てしまうので、日頃から帳簿の記録を正確な状態かどうかを確認しておくことはとても大切です。

キャッシュフロー計算書について

キャッシュフロー計算書は、決算書を構成する大事にな書類のひとつであり、それを見れば、会計期間中の現金の流れを数値で知ることができます。つまり、会社にどのくらいの現金があるか、が分かる、まるで家計簿のような書類なのです。

キャッシュフロー計算書は、すべての会社が作成するよう義務付けられているのではなく、上場企業だけが法令によって作成が義務付けられています。しかし、キャッシュフロー計算書を作成するなら、自社の経営状況を客観的に把握することができるため、多くの企業が作成しています。

キャッシュフロー計算書は、3つの区分で大きく分類されています。それは、
・営業によるキャッシュフロー
・投資活動によるキャッシュフロー
・財務活動によるキャッシュフロー

では、それぞれ詳しくみていきましょう。

3つの区分で構成されるキャッシュフロー計算書

株主や取引先などの利害関係者は、「財務3表」、つまり、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で何を判断しているのでしょうか?
それは、
1、貸借対照表から、その企業の資産と負債の状況を把握する
2、損益計算書から、その企業の利益の額を確認する
3、キャッシュフロー計算書から、資金の運用状況や流れを把握する

という目的で、財務3標を確認します。この3つの決算書類の中でも、特に重要なのが「キャッシュフロー計算書」と言われています。なぜなら、損益計算書上では、例えば1億円の当期利益が計上されていても、その金額が入金されるのが1年以上先の予定であれば、その会社は資金繰り次第では、黒字倒産してしまうリスクがあるからです。

しかし、キャッシュフロー計算書を確認するなら、その会社がどのような活動をして現金の増減があったのかを詳しく知ることができます。その活動の状況は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つの活動に区分されています。では、それぞれの活動について詳しくみてみましょう。

①営業活動によるキャッシュフローとは?

営業によるキャッシュフローとは、その企業の中心となる事業が、どのくらい資金を生み出しているか、もしくは減ったかを示す項目です。つまり、どのくらい儲かっているかが分かります。この項目がプラスであれば事業は順調である証拠です。

一方、マイナスの場合は、現金が不足しているということになりますので、事業によって資金が減っていると判断することができます。もし営業キャッシュフローがマイナスの状態が続いているようであれば、損益計算上でたとえ黒字だとしても危険な状態であることが予想されます。在庫圧縮や売掛金回収サイト短縮、買掛金支払延期などを検討する必要があるかもしれません。

「直接法」と「間接法」について

営業活動によるキャッシュフローには、「直接法」と「間接法」という2種類の記載方法があります。「直接法」とは、営業活動に関してキャッシュフローを総額で記載する方法です。仕入の費用や経費の支払い、給与の支払いなど主要な取引を総額ごとに記載するので、お金の詳細な流れを把握できます。

一方、「間接法」とは、お金の動きに関する部分だけを計算する方法です。損益計算書をベースとして作成することが可能です。(両者についてさらに詳しく後述します)会社の経営実態を詳細に数字化できるのは直接法ですが、手間と時間がかかるため、「間接法」を利用している企業の法が多い傾向にあります。

②投資活動によるキャッシュフローとは?

投資活動によるキャッシュフローとは、設備投資や事業への投資など、投資活動による現金の流れを示す項目です。それには固定資産や株、債券などの取得や売却したときの流れも含まれます。つまり、企業が使ったお金の流れ、特に将来のためにどのくらいのお金を使用したのかが分かります。営業活動をするためには、どうしても固定資産への投資が欠かせません。

そのため、設備投資が行える優良企業や成長企業などは、固定資産などを購入しているためマイナスになっていることがよくあります。一方、プラスになっている場合は、保有する土地や建物、株式などの固定資産を売却して、資金を得ていることが分かります。

③財務活動によるキャッシュフローとは?

財務活動によるキャッシュフローとは、会社が資金不足に陥ったときの資金調達方法や借りたお金の返済方法などを示している項目です。つまり、借りたお金や返したお金を表しています。これには銀行からの借り入れや返済、株式の発行などが含まれています。営業キャッシュフローがプラスで、株主への配当金支払いや借入金の返済などしていると財務活動によるキャッシュフローはマイナスになります。

一方、借入金や社債で資金調達をしている場合は、融資や出資を受けていることになるのでプラスになります。

「フリーキャッシュフロー」とは?

フリーキャッシュフローとは、営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計額で、会社が自由に使える現金のことです。自由に使える資金があればあるほど、経営状態が好調であるといえます。

それとは反対に、フリーキャッシュフローがゼロやマイナスの状態であれば、資金が不足しており、資金調達が必要であることの証拠です。経営状態を改善させるために、営業活動によるキャッシュフローを増やしたり、投資活動によるキャッシュフローのマイナスを小さくするなどの処置が必要です。

キャッシュフロー計算書と貸借対照表の関係とは?

貸借対照表は、事業年度の期首にどのくらい現金の蓄えがあるかを把握したり、年度末にどのくらい現金が残ったかを把握することができます。しかし、事業年度期間中の現金の流れを把握することはできません。そこで、期首の現金と年度末の現金の流れを把握するために「キャッシュフロー計算書」が必要となります。

損益計算書では、売上や仕入、一般経費などを使って、会社の利益を計算する書類ですが、数字は表記されません。実際にお金を受け渡した時点ではなく、商品やサービスなどを引き渡した時点で収益や費用を計上する「発生主義」という考えに基づいて利益を計算していきます。

それとは反対に、キャッシュフロー計算書は、「お金だけ」を対象として作成される「現金主義」という考えに基づいて作成される書類です。つまり、両者は関連する部分のない全く異なる書類となっています。しかし、キャッシュフロー計算書のおかげで、「黒字倒産」を予測することができます。(黒字倒産については後述します)

「発生主義」と「現金主義」について

損益の計算には、「発生主義」という原則があります。発生主義とは、すべての費用や利益など取引が発生したら仕分けをする、という決まりです。これに反する考えが、すでにみたように「現金主義」です。では、具体的な例で考えてみましょう。

例:4月1日に商品を1万円で販売し、5月1日に普通預金に1万円が振り込まれた場合

・発生主義に基づく処理の場合
4/1 借方:売掛金 10,000円  貸方:売上高 10,000円
5/1 借方:普通預金 10,000円 貸方:売掛金 10,000円

損益計算上では、4月に10,000円の収益があったと計上されます。

・現金主義に基づく処理の場合
4/1 仕訳なし
5/1 借方:普通預金 10,000円 貸方:売上高 10,000円

損益計算上では、5月に10,000円の収益があったと計上されます。

このように損益計算書は、一定期間(事業年度)の経営成績を報告する「期間損益」という考え方で作成されます。発生主義に基づく処理と現金主義に基づく処理を比較するなら、10,000円のズレが生じていることが分かります。このような期間損益のズレをなくすために、損益計算は、発生主義で処理することが原則とされています。

損益と収支がズレてしまう代表的なケースについて

キャッシュフロー計算書を作成していると、発生主義と現金主義の考え方の据え違い以外にも、損益と収支を補正する必要が生じることがあります。例えば、代表的なケースとして次のようなものがあります。

ケース1:現金を支出していないのに費用として計上することができる場合
現金を支出していないのに、「減価償却費」や「引当金」などの項目を使用すれば、費用として計上することができます。

このようなケースの場合、購入した固定資産を費用化するために減価償却という方法をとり、減価償却費として処理します。この減価償却費は、現実に費用を支出していないので、期間損益と収支の補正をしなければいけません。賞与や退職金などの引当金も同様です。

ケース2:現金を支出しても費用にならない場合
現金を支出しているのに費用とならないケースには、建物や車両などの固定資産を購入したときに発生します。このようなケースの場合、現金や預金などで実際にお金は支出されますが、損益計算上では、固定資産の購入は費用として計上することができないので、補正が必要となります。

ケース3:現金の増減があっても損益に影響がない場合
現金の増減があっても損益にならないケースには、運転資金や金融機関などの借入金で賄うときなどが当てはまります。この場合、現金が増加していますが、借入金は収益ではないので損益計算には計上されません。このようなケースの場合も、キャッシュフロー計算書では、補正することができます。

「キャッシュフロー」が重要と言われている理由とは?

キャッシュフロー、つまり、「お金の流れ」を知ることは、なぜ重要と言われているのでしょうか?特に起業したばかりの会社は、キャッシュフローが何よりも重要なものとされています。それは、キャッシュフローをみることで、企業の資金状態を判断することができるからです。つまり、キャッシュフローに注目することで、「黒字倒産」の危険性を予測することができるのです。

黒字倒産とは?

では、「黒字倒産」とは、どのようなものでしょうか?会計上の利益と、手元にある現金は、同じではありません。商品やサービスを売り上げても、取引先や顧客から資金を回収するまでには時間がかかるため、タイムラグが発生します。また、商品やサービスで利益を生み出す前に、仕入れなど支払いが先になることもあります。

そのため、損益計算上では利益が生み出されているように見えても、資金回収や支払いのタイミングによっては赤字になっていることがあります。結局、手元の現金を増やすことができなければ、借入金の返済や仕入れ代金などの支払いなどを行うことができずに、資金繰りの悪化につながります。そして、最悪の場合は、「黒字倒産」へと追い込まれてしまうのです。

このようなケースに陥る危険性がないかどうか、企業の経営状態を判断するためには、「キャッシュフロー計算書」を作成し、現金の流れを把握することが重要です。

キャッシュフロー計算書と資金繰り表の違いとは?

「資金繰り表」も会社の現金の流れを把握できる書類のひとつです。では、キャッシュフロー計算書と資金繰り表には、どのような違いがあるのでしょうか?キャッシュフロー計算書は、現金の流れを可視化した書類で、過去の現金の流れを表しています。決算書を構成している書類のひとつなので、外部に開示する必要があります。

一方、資金繰り表は、将来の資金繰りを予測することを目的として作成する書類です。会計年度に関わりなく、自由な期間を設定して作成することが可能です。作成は義務付けられているものではなく、あくまでも任意となっています。外部に開示する必要のない、企業内部の資料となっています。

このようにキャッシュフロー計算書は「過去の実績の報告が記されている書類」で、資金繰り表は「会社の未来に向けた書類」という大きな違いがあります。両者の役割は異なりますが、どちらの書類も会社の健全な運営に欠かすことができません。この2つの異なる書類を組み合わせると、次のような相乗効果が得られます。

効果1:キャッシュフロー計算書が、単に財務状態を分析する書類ではなく、資金繰り表の予測とキャッシュフロー計算書の過去の実績を比較することで、将来のキャッシュフローを理想的なものへと設計することができるようになる。

効果2:資金繰り表は、単に将来を予測する書類ではなく、キャッシュフロー計算書の過去の実績と資金繰り表の予測を比較と分析をすることで、より精度の高い予測をすることにつながる。

つまり、キャッシュフロー計算書と資金繰り表を比較して、分析するなら、修正点や今後の経営戦略などが見えてきます。会社を運営していく上で、絶対に必要なものは「資金」、つまり、「現金」です。是非、両方の書類を上手に活用していくようにしましょう。

キャッシュフロー計算書の読み方について

すでに上記でみたように、キャッシュフロー計算書は、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに区分されています。キャッシュフロー計算書のすべての項目がプラスになっていれば、経営状態が順調というわけではありません。

3つのキャッシュフロー計算書の理想的な状態は、営業活動がプラス、投資活動がマイナス、財務活動がマイナスの状態が最も理想的です。なぜなら、事業が好調なので手持ちの現金が増え、将来に向けて投資をし、借入金などの返済をすることができているからです。ですから、キャッシュフロー計算書を読む際には、次の3つの点に注目して、経営状況を見極めましょう。

1、営業活動によるキャッシュフローがプラスになっているか?
本業の状態を把握しましょう。当期純利益がプラスだとしても、この項目にマイナスが続いていると「黒字倒産」になる危険性があるので、リスクの有無を見極めましょう。

2、将来に向け事業を成長させるための投資活動によるキャッシュフローがあるか?
将来の利益、つまり儲けにつながる設備投資などに積極的かどうかを判断しましょう。成長する見込みがあるかどうかを見極めましょう。

3、営業活動によるキャッシュフローの額が、投資キャッシュフローの額よりも大きいか?
事業で得た利益よりも投資額が大きいなら、財務に余裕があると判断できるでしょう。

キャッシュフロー計算書の作成方法について

では、キャッシュフロー計算書は、どのように作成することができるのでしょうか?営業活動によるキャッシュフローは、多くの企業が採用している「間接法」での作成方法を解説していきます。

ステップ1:キャッシュフロー計算書の作成に必要なものを準備する。

キャッシュフロー計算書は、他の決算書類を使って作成していきます。そのため、「貸借対照表(前期・当期)」と「損益計算書(当期)」は、必要最低限となります。また、もし該当する取引があるなら、固定資産の取得や譲渡に関する資料、有価証券の取得など取引に関する資料、新株の発行に関する資料なども用意する必要があります。

ステップ2:項目別に分類する。

キャッシュフロー計算書は、貸借対照表と損益計算書から該当する項目を抜き出し、加減をして作成していきます。税引前当期純利益は、損益計算書から金額を転記していきます。あとは項目ごとに、貸借対照表と損益計算書から必要な金額を記載します。それぞれのキャッシュフロー計算書で、プラスマイナスをする項目は、次のようになっています。

・営業活動によるキャッシュフローの場合
間接法では、損益計算書で算出した「税引前当期純利益」から項目をマイナスして、キャッシュフローを計算していきます。

プラス項目には、「減価償却費」「貸倒引当金の増加額」「棚卸資産の減少額」「売上債権の減少額」「仕入債務の増加額」「利子利息の支払額」が挙げられます。マイナス項目には、「貸倒引当の減少額」「棚卸資産の増加額」「仕入債務(買掛金・支払手形)の減少額」「利子利息の受取額」「法人税等の支払額」が挙げられます。

・投資活動によるキャッシュフローの場合
投資活動によるキャッシュフローのプラス項目には、「固定資産の減少額」「有価証券の減少額」「固定資産の売却損」「有価証券の売却損」などが挙げられます。マイナス項目には、「固定資産の増加額」「有価証券の増加額」「固定資産の売却益」「有価証券の売却益」などが挙げられます。

・財務活動によるキャッシュフローの場合
財務活動によるキャッシュフローのプラス項目には、「短期借入の増加額」「長期借入の増加額」「株式発行の収入」「利子利息の受取額」があります。マイナス項目には、「短期借入金の返済支出」「長期借入金の返済支出」「自社株式の購入」「配当金の支払額」「利子利息の支払額」が挙げられます。

ステップ3:キャッシュフロー計算書のフォーマットに記載していく。

各構成要素の計算をし、フォーマットに金額を入力し、完成です。

営業活動によるキャッシュフローの「直接法」と「間接法」の違いとそのメリットとデメリット

上記でも少し触れましたが、営業活動によるキャッシュフロー計算書には、「直接法」と「間接法」の2種類が存在しています。間接法は、現金の動きだけを計算する方法です。そのため、損益計算書の情報をベースに、簡単に作成することが可能です。税引前当期純利益の金額から、各費用や収益を増減して記載するだけです。

それに対して直接法の場合は、主要な取引ごとの総額を記載する必要があります。そのため、現金の流れの詳細を細かく把握することができます。間接法と比較するととても分かりやすいですが、資料集めにかなりの時間がかかるため、多くの手間や時間を必要とします。売上金額から仕入、給与支払いなどにかかった経費などを増減するという流れで作成していきます。

いずれにしても、直接法でも間接法でも、どちらを採用しても、営業活動によるキャッシュフローの金額は同じになります。ただし、直接法は必要とされる資料が多いので、取引が多ければ多いほど労力と時間が必要となります。そのため、多くの企業では、間接法を採用したキャッシュフロー計算書を作成するところがほとんどです。

しかし、直接法の方が、会社の現金の流れをしっかり把握することができます。そのため、社内資料として、直接法を採用している会社も中にはあります。社内資料としての作成であれば、決算書類のひとつとして提出する資料とは別のものになるので、数円の誤差があっても特に問題はありません。

そのため、決算書類の提出用としては間接法でキャッシュフロー計算書を作成し、それとは別に、社内資料として直接法でキャッシュフロー計算書を作成している会社もあります。

キャッシュフロー計算書の活用方法とは?

キャッシュフロー計算書は、会社の経営者はもちろん、投資が投資をするかどうか、銀行が融資をするかどうか、など公に開示できる書類なので、多くの場面で活用されます。

(経営者の場合)
キャッシュフロー計算書は、現金にスポットを充てた事実のみを知ることができる書類です。そのため、企業が営業活動でどのように資金を獲得し、どれくらいの額を投資活動に振り分けたか、が分かります。また、株主への配当や運用したお金の流れも知ることができます。

事実のみが記載されているので、自社業績を把握することはもちろん、同業他社などと業績を比較することも可能です。さらに買収や提携を検討しているときには、設備投資などの経理戦略をアピールする際にも役立ちます。

(融資を受ける場合)
キャッシュフロー計算書をみると、会社に返済能力があるかどうかを判断することができます。そのため、銀行などで融資を受ける際、キャッシュフロー計算書を提出するよう求められることがあります。

まとめ

キャッシュフロー計算書は、上場企業の場合は財務3表のひとつとして作成することが義務付けられています。キャッシュフロー計算書に初めて触れる方にとっては、必要とされる知識が多いため、難しく感じるかもしれません。しかし、マスターしてしまえば、自社はもちろん、他社の経営状況を把握することもできるようになります。

もし経理担当者でキャッシュフロー計算書の作成が負担になっているようなら、税理士や会計士などのプロに作成を依頼することもひとつの方法です。でも、経理担当者はもちろん、経営者も企業の経営状態を見極めるためにキャッシュフロー計算書について理解しておくことはとても大切です。営業、投資、財務のそれぞれの書類が示す数値や意味を理解し、健全な会社運営や戦略として活用していきましょう。

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Excel

Excelのショートカットキーを使いこなすポイントと役立つショートカットキーを厳選紹介

経理業務をする上で、ほとんどの会社がExcelを利用していることでしょう。「Excelによる業務の効率を向上したい!」と日頃から感じていても、あまり使いこなせていない方も少なくないのではないでしょうか?実際、Excelスキルを向上させれば、業務時間が大幅に短縮され、生産性や利益アップへとつながります。

この記事では、Excelの基本から応用までエクセルショートカットについて詳しく解説していきます。是非、エクセルショートカットを上手に使いこなし、Excelの作業効率をアップさせましょう。

エクセルショートカットキーとは?

エクセルショートカットキーとは、キーボードのみを使ってパソコンの操作を簡単に行う機能のことです。つまり、マウスを使用しません。しかし、ショートカットキーは数多くあるので、すべてを覚えることはとても大変ですので、まずは頻繁に使用するショートカットキーから覚えることができるでしょう。

今までショートカットキーを使用したことがない方にとっては、慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、ショートカットキーを意識して使えば、使った分だけ指が操作を覚えますので、早く指が動くようになります。つまり、使いこなすことで業務処理をスピードアップさせることへとつながります。

エクセルショートカットキーを効率よく覚えるには?

エクセルショートカットキーを覚えるためには、次の4つのポイントを意識することが大切です。

ポイント①使用頻度の高いショートカットキーから覚えていく。

使用頻度の高いショートカットキーから覚えていくなら、作業の効率化につながります。もし普段あまり使用しないショートカットキーを覚えようとするなら、使用頻度も少ないので大きな効果にはつながらないでしょう。Excelを利用している目的によって、頻繁に使用するショートカットも異なります。

ですから、自分が頻繁に使用するショートカットキーは何なのかを把握し、頻繁に使用する機能から覚えていくようにしましょう。ショートカットキーをいくつ覚えるだけでも、作業の効率アップにつながるでしょう。その際、デスクや壁などすぐ目に入る部分に、頻繁に使用するショートカットをメモしておくと記憶に残るのでおすすめです。

ポイント②一連の作業を連続して操作することでショートカットキー操作を覚えられる。

ショートカットキーを効率よく覚えるコツは、一連の作業をまとめてショートカットキー操作できるよう習得することです。

例えば、コピーして貼り付けるという一連の作業は、5つのショートカットキー操作で行うことができます。それは、

1、エクセルファイルのコピー
2、Outlookへタスクを切り替える
3、新しいメールの作成
4、メール本文のテキストフォームの選択
5、コピーしたエクセルファイルをメールへ貼りつける

このように作業を一連してショートカットキーで操作することができるようになると、作業の効率化につながります。

ポイント③ショートカットの規則を意識して覚えてみる。

ショートカットを使用していると、頻繁に使用するキーがあることに気づくようになるはずです。例えば[Ctrl]や[Shift]などが挙げられます。「選択したセルをコピー」というショートカットは、「Copy」の「C」とコントロールキーを組み合わせたものです。

また、「上書きして保存をする」というショートカットは、「Save」の「S」とコントロールキーを組み合わせています。このように、組み合わせているキーを見ると、規則があることに気づくことでしょう。自分で考えるなら脳にインプットされますので、ショートカットの規則を意識してみることも覚えるためのひとつの方法です。

ポイント④タイピングのスキルを向上させる。

パソコンで仕事をする上で、基礎となるのはショートカットキーよりも、まずはタイピングです。なぜなら、パソコンの仕事は、ほぼキーボードで操作する必要があるからです。ですから、ショートカットキーを習得する前に、まずはタイピングをマスターするようにしましょう。

つまり、タイピングができることが、ショートカットキーを習得するためのカギとなります。ショートカットを使いこなしたいのであれば、それと同時にタイピングの腕も向上させましょう。

ファンクションキーのみを使ったショートカット

ファンクションキーとは、キーボードの上の方にある[F1]、[F2]、[F3]・・など[F]と[数字]を組み合わせたキーのことです。ファンクションキーのみのショートカットは、覚えやすく、活用しやすいのでマスターしましょう。

・F1:Excelのヘルプを作業ウインドウ内へ表示させる。

・F2:選択しているセルを編集するために、入力している内容の末尾にカーソルを移動する。

・F3:「名前の貼り付け」のダイアログを表示する。(事前に「名前の定義」で定義してある名前であれば、セルの範囲を指定して貼り付けることが可能)

・F4:直前のコマンドや操作を繰り返しておこなう。(数式内のセル名を選択しているなら、絶対・相対参照の組み合わせに切り替えることが可能)

・F5:「ジャンプ」のダイアログを表示する。(ジャンプ機能は、指定したセルに移動することが可能)

・F6:ワークシート、リボン、作業ウインドウ、ズームコントロール間で切り替えることができる。

・F7:ダイアログを表示させてスペルチェックができる。

・F8:拡張選択モードへ切り替えができる。(拡張選択モードに切り替えるなら、ドラッグ不要で範囲の選択が可能)

・F9:開いているブックのすべてのシートを計算する。

・F10:キーヒントのオンとオフの切り替えができる。

・F11:現在選択している範囲から、グラフを作成できる。(グラフは「グラフ1」「グラフ2」・・と名前が付けられ、新しいシートへ作成される)

・F12:ダイアログを表示し「名前を付けて保存」できる。

[Ctrl]+ファンクションキーを組み合わせたショートカットキー

[Ctrl]とファンクションキーを組み合わせると、主にブックに関する操作を効率よく行えるようになります。ちなみに、Macの場合は、[command]キーが[Ctrl]キーとなります。

・Ctrl + F4:現在選択しているブックを閉じる。

・Ctrl + F6:複数ブックが開いている場合、次のブックへと移動する。

・Ctrl + F9:ブックを最小化できる。

・Ctrl + F10:選択しているブックを最大化、もしくは元に戻せる。

[Alt]+ファンクションキーを組み合わせたショートカットキー

[Alt]とファンクションキーを組み合わせると、グラフや図表などを効率よく作成することができます。ちなみに、Macの場合は、[option]キーが[Ctrl]キーとなります。

・Alt + F1:現在の範囲からグラフを作成できる。(グラフは表示されているシートに作成される)

・Alt + F8:ダイアログで「マクロ」を表示できる。

・Alt + F11:VBE(Visual Basic Editor)を起動できる。

[Shift]+ファンクションキーを組み合わせたショートカットキー

[Shift]とファンクションキーを組み合わせると、普段の作業で頻繁に使用する操作が効率よく行えるようになります。

・Shift+F2:セルのコメントを追加したり、編集することができる。

・Shift F10:選択アイテムのショートカットメニューを表示できる。

・Shift+F11:ワークシートを挿入できる。

Excelでよく使用するショートカットキー

まずは利用頻度の高いショートカットキーをマスターしましょう。その前に、「ホーム」タブの「リボン」に表示されている「貼り付け」コマンドにマウスを当ててみると、「貼り付け(Ctrl+V)」という表示があらわれます。つまり、「Ctrl+V」が貼り付けのショートカットキーです。

ショートカットキーの表示は、すべてのコマンドに表示されるものではなく、比較的利用頻度が高いものに表示されるものとなっています。実際に表示される代表的なコマンドには、コピー、切り取り、貼り付け、検索、置き換え、フィルター、Sum関数などが挙げられます。

では、上記でみたショートカットキーもいくつか含まれていますが、利用頻度の高いショートカットキーをみていきましょう。

・F2:選択中のアクティブセルを編集状態にする/数式の参照先セルを強調して表示
・F12:名前を付けて保存

・Ctrl + F1:リボンの表示/非表示
・Ctrl + C:コピー
・Ctrl + X:切り取り
・Ctrl + V:貼り付け
・Ctrl + Z:元に戻す
・Ctrl + Y:直前の操作の繰り返し
・Ctrl + S:上書き保存
・Ctrl + F:検索
・Ctrl + H:置き換え
・Ctrl + A:全選択
・Ctrl + D:上のセルをコピー
・Ctrl + R:左のセルをコピー
・Ctrl + P:印刷ダイアログボックスの表示
・Ctrl + 1:セルの書式設定ダイアログボックスの表示
・Ctrl + (矢印):データの最後まで移動
・Ctrl + Shift+(矢印):データの最後まで一括選択
・Ctrl + Page Up:左のシートへ移動
・Ctrl + Page Down:右のシートへ移動
・Ctrl + Shift + +(プラス):セル、行、列の挿入
・Ctrl + -(マイナス):セル、行、列の削除
・Ctrl + [Space(スペース)]:列を全選択
・Ctrl + N:新しいブックを開く
・Ctrl + ;(セミコロン):現在の日付を入力
・Ctrl + :(コロン):現在の時刻を入力

・Shift + [Space(スペース)]:行を全選択
・Shift + F11:新規シートの追加
・Shift + Alt + =(イコール):Sum関数
・Shift + Ctrl + L:フィルター
・Shift + F9:シートの再計算
・Shift + Ctrl + `(リバースシングルクォート):数式の表示
・列 or 行 を選択した状態でShiftを押した状態でマウス移動:選択中の列もしくは行を挿入する
・アプリケーションキー or Shift + F10:ショートカットキコマンド開く

・Alt + F4:アプリケーションの終了
・Alt + ↓:リストで列方向の既存データをプルダウンで表示する
・Alt + Enter:セル内で改行

[Alt]キーを使いこなそう!

Excelでショートカットキーを効率よく使いこなすためには、[Alt]キーを役割をしっかり理解しておくことが大切です。Excelを操作している状態で[Alt]キーを押すと、「タブ」メニューに英字、つまり、ファイルには[F]、「ホーム」には[H]、「挿入」には[N]、「ページレイアウト」には[P]などの英字が表示されます。[Alt] + [F]をクリックすると、「ファイル」タブが選択されます。

さらに「リボン」に表示された英字をクリックすると、コマンドを実行することができます。「タブ」や「リボン」の操作だけでなく、「セルの書式設定」のダイアログボックスに「分類」に表示されている[C]と、[Alt]を使って操作することも可能です。[Alt]キーで順番にコマンドを操作する方法を覚えるなら、作業の効率がグッとアップするでしょう。

クイックアクセスツールバーに追加すると便利!

頻繁に利用するコマンドは、「クイックアクセスツールバー」に追加しておくと便利です。クイックアクセスツールバーは、ファイルやホームなどの上段にあります。ここにコマンドを追加すると、[Alt] + [数字キー]で利用することが可能となります。

「リボン」に表示されているコマンドをキーボードで操作する場合は、最低でも2回操作が必要となります。しかし、「クイックアクセスツールバー」にコマンドを登録するなら、1回の操作のみで利用できるので作業の効率アップにつながります。

クイックアクセスツールバーにコマンドを追加する方法について

クイックアクセスツールバーにコマンドを追加する方法は、2通りあります。

方法その①

1、追加したいコマンドにマウスを合わせた状態のまま、「右クリック」する。
2、表示されたコマンドに「クイックアクセスツールバー追加」を選択する。

方法その②

リボンにないコマンドは、この方法で追加することができます。

1、まずExcelのオプションを開く。
2、クイックアクセスツールバーにの右端にある▼をクリックする。
3、「その他のコマンド(M)」を選択する。
4、コマンドの選択から「すべてのコマンド」を選択する。
5、コマンドを選択する。
6、コマンドを追加(コマンドを選択した状態で、「追加」をクリック)する。

追加したコマンドの削除の方法

追加したコマンドを削除した場合は、次のような手順で行います。
1、追加したコマンドにマウスを合わせた状態のまま右クリックする。
2、「クイックアクセスツールバーから削除」を選択する。

まとめ

ショートカットキーを上手に活用することができれば、作業のスピードがアップし、効率よく業務をこなすことにつながります。慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、操作をこなせばこなすほど慣れてきますので、是非、ショートカットキーをマスターできるよう心がけてみましょう。

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確定申告

確定申告の還付金はいつ・どのように戻ってくる?その仕組みを詳しく解説

毎月の給与から天引きされていた源泉徴収が、年末調整や確定申告をすることで「還付金」として払いすぎた税金が戻ってきます。では、還付金を受け取ることになった場合、いつ、どのように戻ってくるのでしょうか?この記事では還付金のしくみや、還付金が戻ってくるまでの流れについて解説していきます。

還付金とは?

一般的な会社員の場合は、毎月の給与からすでに税金が自動的に天引き、つまり源泉徴収されているため、確定申告をする必要はほとんどありません。しかし、源泉徴収された所得税や予定納税額が多かった場合などは、確定申告をすることで納め過ぎた税金を戻してもらえます。このように納税者へ払い過ぎた税金が戻ることを「還付金」と言います。

この還付を受けるためには、「還付申告」をする必要があります。還付申告は、給与所得者だとしても申告することが可能です。

年末調整で還付金がもらえる理由とは?

年末調整で還付金がもらえるケースがあるのはなぜでしょうか?その理由を知る前に、まず年末調整のしくみを理解する必要があります。

年末調整のしくみについて

年末調整とは、1年間に支払った税金を調整する作業です。給与所得者の場合は、毎月の給与や賞与が支払われる際に、事業主側が源泉徴収により税金を差し引いています。しかし、源泉徴収では、個々の事情に応じた税金の控除を把握することはできません。

その結果、税金が自動的に余分に差し引かれてしまうことがあります。そのため、年末にその年に支払った税金をまとめて計算をしなおし、余分に支払った税金を納税者に払い戻すことが「年末調整」です。

ちなみに、年末調整と似たようなしくみをしている「確定申告」もありますが、年末調整は所属している企業や会社など事業主側が申告するのに対し、確定申告は個人で申告する、という違いがあります。

還付金の計算方法について

年末調整では、年間給与所得から様々な所得控除の対象となる金額が差し引かれます。そして、本来の年間所得を計算します。その本来の所得金額から算出した所得税額が、本来支払うべき所得税額になります。毎月概算で支払っていた源泉所得税額の合計よりも少ない場合は、税金の払いすぎになるため、還付金として払い過ぎた税金が戻ってきます。

一方、本来の所得税額が、毎月概算で支払っていた源泉所得税額よりも多い場合は、追加して税金を納めなければいけません。

確定申告で還付金を受けるには?

確定申告は、確定申告の期間とは別に行うことが可能です。確定申告書を提出できる期間は、還付の該当する年の翌年1月1日から5年間と決められています。つまり、確定申告をする必要がないと思っていた人でも、後日、控除することができると分かった場合、該当する年の翌年から5年以内であれば、申告書を提出することができ、還付金を受け取ることができるのです。

還付金を受け取ることができる人とは?

還付金を受け取ることができるのは、勤務先で把握できなかった所得控除の対象者となっている人です。例えば、生命保険料などの支払い額に応じた控除、住宅ローンの控除、配偶者や扶養家族に対する控除、本人や家族などの障害控除などが挙げられます。

それとは反対に、扶養家族の人数が減った方や、解約や満了などの理由で保険料や住宅ローンの支払いがなくなった方などは、控除額が減るので還付金額も少なくなる、もしくは追加徴収になることもあります。

確定申告で還付金を受け取れるケースとは?

「収入源は給与だけ」という理由から、確定申告をする必要はないと思っている方がいるかもしれません。しかし、そのような方でも、還付金を受け取ることができる可能性があります。なぜなら、給与から差し引かれている源泉徴収税の計算方法では、個人の事情に応じた控除を適用していないからです。

通常は、年末調整で控除内容を事業主側に申請すると、過不足額の精算が行われます。確定申告で還付金を受け取れるケースは、年末調整で事業主側に控除書類の提出しなかった場合や、年末調整では受けることができない控除をうけたい場合、が該当します。

では、年末調整で受けることのできない控除には、どのような控除があるのでしょうか?還付金を受け取れる可能性があるので、それを把握しておくことは大切です。

年末調整の適用漏れは確定申告で還付金を受け取ること

事業主側は、従業員一人ひとりの諸事情を把握することができないため、年末調整で対象となっている控除金額が差し引かれていないことがあります。例えば、年末調整の際に、「生命保険料控除証明書」の提出を忘れたり、「扶養控除等(異動)申告書」の提出した後に配偶者を控除の対象とした場合など、控除が適用されていません。

また、初めて住宅ローン控除を受ける年度は、年末調整でローン控除を受けることはできないので、確定申告をする必要があります。年末調整で適用漏れで受けることができなかった控除は、翌年の確定申告で申告するなら、還付金を受けることができます。

医療費控除は確定申告で還付金申請をすること

確定申告の際の還付金で、最も申請が多いのは「医療費控除」だと思われます。医療費控除は、年末調整で行うことができないため、その年に医療費や治療費などと思われる支出があった場合は、控除の対象となる可能性があります。

医療費控除の計算方法について

医療費控除は、ケガや病気などの治療費や入院費、薬代、交通機関による病院までの交通費などが対象となります。予防接種や美容・健康目的の医療行為は適用外となります。そのことを踏まえた上で、その年の医療費のレシートなど証明するものが必要となります。

医療費控除は、「医療費控除=医療費控除の対象となる医療費-保険金など補てんされた金額-10万円、もしくは総所得金額×5%(総所得200万円未満の場合)」という算式で算出します。算出された金額がゼロ、もしくはマイナスの場合は、医療費控除を受けることはできません。

還付申告に必要な書類とは?

還付申告をするための専用の申請書は特別に用意されていません。還付申告をする際には、一般的な確定申告をする際に使用する「確定申告書A・B」に内包されています。還付申告を記入する際には、「確定申告書」「源泉徴収票」「領収書・証明書等控除関係書類」「印鑑(シャチハタは不可)」などが必要です。

還付金額の申告書記入方法について

「確定申告書A・B」の書類には、「還付される税金の受取場所」という欄があります。その欄には納税者本人の「銀行名」「支店名」「口座番号」を記入する欄が設けられています。銀行・信用金庫等の口座への振り込みと、ゆうちょ銀行の貯金口座への振り込み、のいずれかを選択します。振込口座は、本人名義と限られており、家族などの名義は指定することはできませんので注意してください。

これらをもれなく記入し、確定申告書の必要な箇所すべて記入が済んだら、管轄地区の税務署へ提出します。あとは、国税庁の処理が完了したら、払い過ぎた税金が確定申告書に記入した銀行口座へ、税務署という振込人の名前で還付されます。

確定申告から還付金を受け取るまでに流れについて

還付金は、いつ振り込まれるのか、その期日は決まっていません。それは、確定申告した時期や、確定申告の提出方法が人それぞれ異なるからです。確定申告をしてから還付金を受け取るまでは、およそ1~2ヶ月ほどかかります。

税務署の混雑状況にもよりますが、一般的には早く申請すればおよそ1ヶ月ほど、確定申告の期限ギリギリに提出すると2ヶ月ほどかかると言われています。しかし、e-taxで確定申告をした場合は、3週間ほどで還付金を受け取ることができます。

確定申告書を税務署に持参した場合

確定申告書を税務署に持参し、還付金手続きをした場合は、還付金を受け取るまでに、およそ1~2ヶ月かかります。申告書類を税務署が確認し、書類に不備や記載ミスがなければ還付が確定します。その後、還付金額と振込日が記載されたはがきが届きます。

確定申告書を郵送で提出した場合

確定申告書は、郵送を通して税務署に提出することも可能です。郵送で提出した場合も、税務署に持参して提出するのと同様、還付金の振込までにはおよそ1~2ヶ月かかります。なお、郵送で提出する場合は、消印の日付が提出日となります。ポストの回収時間によっては、日付が翌日になってしまう可能性もありますので、期限ギリギリに投函することは控えるようにしましょう。

e-taxで確定申告をした場合

e-taxを利用した電子申告をした場合は、税務署に持参したり、郵送で提出するよりも早い、およそ3週間程度で還付金を受け取るができます。e-taxのログインすれば、還付金の支払い予定日や金額など、還付金の処理状況についてもすぐに確認できるというメリットがあります。

間違って申告してしまったときの対処法について

確定申告の期限を過ぎてから、確定申告の計算間違いに気づく方がいるかもしれません。もし税金を多く支払い過ぎてしまった場合は、払いすぎた税金を取り戻すことが可能です。このように、再計算をして税金の還付を請求する手続きのことを「更正の請求」といいます。

なお、確定申告の期間内に間違いに気付いたのであれば、「訂正申告書」を提出することで、払いすぎた税金が戻ってきます。

まとめ

確定申告をすることで、還付金が戻ってくることがありますので、還付がもらえるかどうか、自分の状況を確認することは大切です。もし還付がもらえるようであれば、確定申告で還付申告をしましょう。確定申告について分からないことがある方は、確定申告について詳しい税理士に相談することもおすすめです。

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会計知識

現金出納帳とは?具体的な書き方とポイントを解説

現金出納帳は、現金取引の収入と支出の金額とその内容を記録する重要な帳簿です。会社の大きさや規模に関係なく、各事業所は必ず作成しなければいけません。この記事では現金出納帳の基礎知識をはじめとし、具体的な書き方とそのポイントについて解説していきます。

現金出納帳とは?

現金出納帳とは、お金の収入と支出の金額を記録した帳簿です。帳簿の中では、補助簿に分類されています。補助簿とは、仕訳帳や総勘定元帳などの主要簿を補助する帳簿のことです。補助簿は、補助記入帳と補助元帳に分類されており、現金出納帳は仕訳帳を補助する補助記入帳に該当します。

現金出納帳は、帳簿の残高と現金残高が一致しているかどうかを確認することができます。現金出納帳はとても重要な会計帳簿のひとつになるので、個人事業主やフリーランスだとしても、作成して保存しておく必要があります。

現金出納帳の重要性とは?

現金の管理は、事業を運営していく上で欠かせません。原則として毎日記帳をし、現金出納帳の現金残高と現物の現金が一致しているかどうかを確かめる必要があります。また、現金出納帳を作成するなら、お金の取引を可視化することにつながります。どこでどのように入金や出金があったかを記録することで、企業全体としてどのようにお金が流れているかを把握することができます。

さらに不正なお金の使い込みを防止することも可能です。会社という組織の中で、従業員による不正行為が起こりえない、という保証はありません。例えば経理担当者がプライベートの領収を会社の経費として計上したり、現金を持ち出したり、などの不正は起きることがあります。従業員を疑いたくないものですが、現金出納帳を作成していれば不正防止につながります。

現金出納帳の様式について

現金出納帳は、特別な様式が決まってるわけではありません。ですから、使いやすいものを選ぶことができるでしょう。現金出納帳を作成する上で最低限必要な項目は、「日付」「勘定科目」「摘要(取引の内容)」「入金(収入)」「出金(支出)」「現金残高」です。複式簿記を採用する場合は、これらに加えて、何に対して現金の取引が発生したかを記載する、「相手勘定科目」の項目も必要となります。

現金出納帳の書き方について

では、現金出納帳の書き方について項目ごとにみていきましょう。

「日付」

日付の項目は、お金の入金、もしくは支払いがあった日付を記入します。基本、日付準に記入していきます。同じ日に収入と支出があった場合は、それぞれ別の欄に記載しなければいけません。また、領収書の立替精算の振込みや受領した領収書の日付が空欄の場合などは、領収書の日付ではなく、清算日の出金として記載します。その際、摘要や備考欄に日付が異なることを記載しておくなら、後ほど混乱しないでしょう。

「勘定科目」

勘定科目の欄には、収入や支出などのお金がどこから入ってきて、どのような費用になったのかを記載します。例えば、現金で文房具を購入したときは、相手勘定科目欄に「事務用品費」もしくは「消耗品費」のどちらかを記載し、摘要に「筆記用具を購入」、出金欄に現金の金額を記入します。

例えば、勘定科目には、一時的に立て替えた「立替金」、電話代や郵便料金、インターネット利用料などの「通信費」、業務のための出張旅費や交通費などは「旅費交通費」、税金の支払いは「租税公課」、電気代・水道代・ガス代などは「水道光熱費」、事務所や店舗などの賃借料は「地代家賃」、会議や打ち合わせのための会場費や飲食代などは「会議費」など、様々な勘定科目があります。

「摘要(取引の内容)」

摘要には、収入や支出など取引先との間に起きた取引内容や、何のためにお金の出入りがあったのかを具体的に記入する項目です。例えば、「○○銀行から引き出し」などと、具体的に記入します。個人事業主が個人のお金を事業のために使用した場合は、「事業主、電気料金」などと記入します。

「収入・支出金額」

入金、もしくは出金した金額を記入します。消費税は、税込金額で記載します。

「残高」

残高欄は、入金があった場合は前の残高に加算します。一方、出金があった場合は前の残高から差し引きます。手元現金と保管している現金を数え、残高と一致しているかを確認します。日次で行う差引残高は、「差引残高=前日の差引残高+当日の収入金額-当日の支出金額」、という計算式で算出します。

月次や年次で差引残高を算出する際も、日次同様行います。つまり、「差引残高(月もしくは年度)=前月(前年)の繰越金+(月もしくは年度)収入合計-(月もしくは年度)収入合計」で算出します。月次や年次の場合は、差引残高は月(年)の収入と支出金額、月(年)の繰り越し金額を計算する必要があります。

万が一、金額が合わないときは、不一致の原因をその日のうちに調査しなければいけません。調査は、記帳した際に桁違いをしていないか、転記ミスをしていないか、誤って過大もしくは過少に入出していないか、などを再確認することができます。それでも原因が分からないようであれば、「現金過不足」という勘定項目を使い、不一致になっている金額を処理します。

その際、ポケットマネーを使って金額を合わせるなど、補填をすることはNGです。複式簿記を採用し、決算期まで「現金過不足」が勘定科目として残っている場合は、「雑損失」や「雑収入」などへ振り替えることができます。

現金出納帳を書く際に注意したいこと

現金出納帳は、基本、毎日記帳します。上記で解説した点と重なる点もありますが、以下の点に気を付けて作成しましょう。

・手書きの帳簿、つまり、ペンやボールペンを使用することが一般的となっています。鉛筆や消せるペンなどは使用不可です。

・数字など間違いを訂正するときには、二重線で消し、余白に正しい数字を記入します。修正テープや修正液の使用は不可となっています。

・一日の入出金を締めたら差引残高を記入します。そして、現金出納帳の残高と実際の現金残高が一致しているかどうかを必ず確認しましょう。

・月末の入出金を締めたら仕切り線を引き、次月へと繰り越しをしましょう。

・不一致があることに気付いたら、その原因を調べ、訂正をしましょう。もし原因が不明の場合は、勘定科目「現金過不足」を使って処理しましょう。

・入出金がなかった日も、現金の残高を確認してください。

・入金伝票を毎回忘れずに書くようにしましょう。

・出勤の場合は、出金伝票を作成し、領収書を添付してもらうようにしましょう。

・支払いには基本、領収書が必要です。しかし、香典や祝金など領収書が発行されない出金の場合は、挨拶状やパンフレットなども他の領収書と一緒に保管しておくことをおすすめします。

まとめ

現金出納帳の作成は、難しいものではありません。実際に作成してみると、現金出納帳の残高と実際の残高が合わないこともよくあります。しかし、必ず原因がありますので、慌てずに原因を突きとめるために調査をしましょう。そして、たとえ現金の入出金がなかったとしても、現金の残高を確認することを忘れずに行うことを毎日の日課としましょう。

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確定申告

「続柄」の正しい書き方とは?書き方の基礎知識

年末調整や確定申告など公的な書類を作成する際に設けられている「続柄」という項目。この言葉の意味をご存知ですか?書類によっては「あなたとの続柄」と書いてあることもあります。

この記事では、意外と勘違いしやすい「続柄」の意味や正しい書き方など、基礎知識について解説していきます。

「続柄」とは?その読み方と意味について

税金や社会保険などの公的な手続きの書類を作成する際、「続柄」という欄があります。現代では多くの方が「ぞくがら」と読むため、ぞくがらと読むのが一般的となっていますが、本来「つづきがら」と読みます。

では、続柄には、どのような意味があるのでしょうか?続柄は、親族との関係を明示するものです。一般的には「父」に対して「子」など、親族間の関係性を記入することが多いですが、親族でない人が同一世帯になり、住民票などに一緒に記載されることもあります。そのため、親族以外の続柄を記入するケースもあります。

いずれにせよ、続柄を見るなら、親子関係や婚姻関係などの間柄を知ることができます。続柄が使われる書類には、戸籍や住民票などが代表的な書類として挙げられます。また公的な手続きをする大切な書類にも、続柄を記載しなければいけません。ですから、続柄についての基礎知識や正しい書き方を知っておくことは、社会人としてとても大切です。

続柄は自分からみた「続く間柄」

続柄は、基本的に、世帯の中心人物から見てどのような間柄であるかを明示しています。特に日本では、戸籍の最初に記載されている戸籍筆頭者や世帯主などの特定の人を中心として、親族との関係性をとらえる慣習が現在でも続いています。

そのため、親族関係が記載される戸籍や、世帯の状況が記載されている住民票などの続柄の欄は、その中心人物から見てどのような間柄なのか、が分かるように記入します。つまり、親族の中心人物から「続く間柄」を表す言葉が「続柄」になるのです。

戸籍筆頭者とは?

戸籍筆頭者とは、戸籍の一番最初に記載されている人のことです。婚姻する夫婦が夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻、が戸籍筆頭者になります。戸籍筆頭者が亡くなり、その戸籍から取り除かれたとしても、戸籍筆頭者は変わることはありません。

世帯主とは?

世帯主とは、年齢や所得に関係なく、世帯の中心となって物事を取り計らう人、と定義されています。また、世帯とは、住居もしくは生計を共にするものが集まり独立して住居を維持することと定義されています。

「続柄」と「あなたとの続柄」の違いは何?

「続柄」と「あなたとの続柄」は、一見すると同じ意味のように見えますが、実は「あなたの」という言葉が入っているだけで、意味が大きく異なってきます。これらの違いをよく理解していないと、大事な書類で記載ミスしてしまうことになりかねません。

では、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?「あなたの続柄」とは、その名の通り、「あなた」からみて「対象となる人物」との関係、つまり、あなたから見てどのような関係の人なのかを記載します。

例えば、会社員の方は年末調整の時期になると、「給与所得者の扶養控除申告書」を提出しなければいけません。この書類には、扶養家族について記入する欄があります。この場合、扶養家族に対して「あなたとの続柄」を書きます。そのため、妻を扶養しているのであれば「妻」、子どもを扶養しているのであれば「子」、母親を扶養しているのであれば「母」と続柄を記載します。

「あなたとの続柄」は、戸籍上の筆頭者や住民票の世帯主が誰であったとしても、変わることはありません。

税金関係の種類にある「あなたとの続柄」とは?

「あなたとの続柄」という項目は、主に税金関係の書類に多くある傾向にあります。上記でみたように、「あなたとの続柄」は、あなたから見て相手がどのような関係なのか、を記載します。「あなたとの続柄」を記載する公的書類には、「給与所得者の扶養控除等申請書」や「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」などの書類も該当します。

住民票の続柄は書き方にルールがある

住民票は、生活の拠点が変わるタイミングで移さなければいけません。一人暮らしを始めるときや結婚したとき、転勤したときなど、住民票を移す度に続柄を記載します。実は、住民票には、住民基本台帳事務処理要領で定められている続柄の書き方があります。それは次のようなルールです。

・世帯を構成する人が世帯主の場合:続柄は本人・世帯主
・世帯を構成する人が配偶者の場合:妻・夫
・世帯を構成する人が夫婦と血縁関係のある子ども/夫婦と血縁関係のない子ども(養子)の場合:子
・世帯を構成する人が世帯主の父母の場合:父・母
・世帯を構成する人が配偶者の父母の場合:妻の父・妻の母・夫の父・夫の母
・世帯を構成する人が兄弟姉妹の場合:兄・弟・姉・妹
・世帯を構成する人が内縁の夫もしくは妻の場合:夫(見届)・妻(見届)
・配偶者の連れ子の場合:夫の子・妻の子

このように、住民票の続柄の場合は、「世帯主からみた場合の関係」を記載するよう決められています。そのため、世帯主については、続柄が「世帯主」もしくは「本人」となります。また、世帯主と生計と同一している人の場合、それぞれの続柄を記載します。子どもについては、長男や次男、長女や次女など生まれた順番を記載は不要で、「子」と記載するだけです。

住民票は世帯主を起点として考えるので、配偶者の兄弟姉妹と一緒に生活をしているなら、「妻の弟」や「夫の姉」などと書くのが適しています。住民票の続柄には、書き方に規定が設けられていますが、書類によっては書き方が異なることもあるので注意してください。

年末調整での続柄の書き方とは?

年末調整の際に提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」は、どのように記載すればよいのでしょうか?「給与所得者の扶養控除等申告書」の場合、上記で触れましたが、「続柄」ではなく、「あなたとの続柄」を記入する欄がいくつか設けられています。住民票のように世帯主を起点とするのではなく、申告者本人である「あなた」を起点とした続柄、つまり、あなたとの関係を記入します。

扶養控除申告書には、大きく2ヵ所「あなたとの続柄」を記入する欄が設けられています。1つ目は、1番上の記入枠に「世帯主の氏名」の欄の下に「あなたとの続柄」の欄があります。ここに世帯主であるあなたにとってどのような関係なのか、を記入します。

2つ目は、その下の記入枠に不控除対象扶養親族の氏名欄の横に「あなたとの続柄」の欄があります。ここには、控除対象となる扶養親族が、あなたにとってどのような関係なのか、を記載します。

なお、この欄に記載できるのは16歳以上の控除対象者のみです。16歳未満の扶養家族がいる場合は、書類の一番下の「住民税に関する事項」欄に情報を記載する必要があります。

確定申告での続柄の書き方とは?

確定申告では「所得税及び復興特別所得税の申告書A・B」に続柄を記入する欄がありますが、どのように記載すればよいのでしょうか?確定申告書の続柄の場合、住民票同様、世帯主を起点とした続柄、つまり関係を記載します。書類には「世帯主の氏名」を書く欄があり、その横に「世帯主との続柄」という欄があります。申告者本人が世帯主であれば、「本人」と記載します。

続柄の書き方まとめ

続柄には、次のようなものがあります。すべてをみてみましょう。

本人や配偶者(夫・妻)の続柄の場合

・本人の続柄:「本人」
・配偶者の続柄:「夫」「妻」
・事実婚の続柄:「夫(未届)」「妻(未届)」

事実婚とは、夫婦として一緒に暮らして生計を共にしていても、婚姻届を提出していない関係のことです。法律上では「内縁関係」と呼ばれています。そのため、「夫(未届)」「妻(未届)」となりますが、戸籍上ではこのように記載されません。

なお、すでに一緒に暮らし、同一世帯の住人として住民登録をしている場合は、住民票の続柄が「同居人」となります。また、同居をして生計を一緒にしている「彼氏」や「彼女」などの恋人の場合も続柄が「同居人」となります。

しかし、続柄を「同居人」ではなく、「事実婚」とするためには、「世帯変更届(住民異動届)」を提出しなければいけません。世帯変更届の続柄を「夫(未届)」または「妻(未届)」と変更することで「事実婚」であることを証明することができます。

娘や息子・孫との続柄の場合

・娘や息子など自分の子どもの続柄:「子」
・再婚相手の子どもの続柄:「夫の子」「妻の子」
・事実婚で再婚した相手の子どもの続柄:「夫(未届)の子」「妻(未届)の子」
・届出が出せない事実上の子どもの続柄:「縁故者」
・孫の続柄:「子の子」

このように養子縁組した子どもは、すべて続柄が「子」になります。つまり、再婚相手の子どもと養子縁組をしていれば、続柄が「子」になります。しかし、養子縁組をしていないなら「夫の子」や「妻の子」になります。

また、届出が出せない事実上の子とは、何かしらの理由により、養子縁組をすることができない子どものことです。例えば、結婚しているのに別の人と事実婚をしていて、その事実婚の人との子どもなどが、養子縁組を組めない子どもに該当します。結婚している人は事実婚の届け出を提出することができないので、続柄に「縁故者」と表記します。

両親・義理の両親との続柄の場合

・両親の続柄:「父」「母」
・妻(夫)の両親の続柄:「妻(夫)の父」「妻(夫)の母」

姑や姑などと呼ばれる義理の両親は、「夫の父」や「夫の母」など具体的な表記で続柄を記載します。

兄弟と義理の兄弟の続柄の場合

・兄弟の続柄:「兄」「弟」「姉」「妹」
・妻(夫の兄弟の続柄:「妻(夫)の兄」「妻(夫)の弟」「妻(夫)の姉」「妻(夫)の妹」

義理の兄弟の続柄を記入する際には、「夫の兄」「夫の弟」など具体的に示します。兄弟が何人いたとしても、書き方は同じです。例えば、兄が2人いる場合は、どちらも「夫の兄」と記載します。「長男」や「次男」などと記載する必要はありません。

祖父母との続柄の場合

・父方の祖父母の続柄:「父の父」「父の母」
・母方の祖父母の続柄:「母の父」「母の母」

通常、「祖父母」と呼んでいる関係でも、戸籍や住民票などでは「父の父」や「父の母」などの表記で記載します。これにより、父方の祖父母なのか、母方の祖父母なのかを、すぐに知ることができます。

叔父や叔母との続柄の場合

・父方の叔父や叔母の続柄:「父の兄」「父の弟」「父の姉」「父の妹」
・母方の叔父や叔母の続柄:「母の兄」「母の弟」「母の姉」「母の妹」

祖父母同様、叔父や叔母との関係も、父方の叔父や叔母なのか、母方の祖父や叔母なのかが一目で分かる表記で記載します。

その他の続柄について

・子どもの夫や妻の続柄:「子の夫」「子の妻」
・いとこの子どもやはとこの続柄:「縁故者」
・他人の続柄:「同居人」

まとめ

「続柄」の正しい読み方は「つづきがら」ですが、現代では「ぞくがら」と読むのが一般的となっています。続柄は本来、戸籍筆頭者や世帯主などの親族の中心となる人物からみた間柄を示すものです。それにより、その人との関係性が一目で分かり、誰と一緒に生活を共にしているかを明らかにすることができます。

住民標に記載される続柄は、住民基本台帳事務処理要領で書き方のルールが設けられていますので、その規定に従って記載するようにしましょう。ただし、続柄の書き方は、「続柄」もしくは「あなたとの続柄」など、書類によって書き方が異なりますので注意してください。

ちなみに確定申告書の場合は、住民票のように「世帯主からみた間柄」を記載しますが、年末調整に作成する扶養控除申告書は「申告書からみた間柄」記載する必要があります。どのように書いたらよいのか迷ってしまった場合は、「誰から見て」の続柄なのかを冷静になって考えるなら、正しい続柄を記載できるでしょう。

続柄を記載する年末調整や確定申告書などは大事な公的書類ですので、間違えないように気を付けて書くようにしましょう。

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【2020年版】給与所得控除とは?税制改正内容と計算方法を解説

年末調整を行う際に、社員の給与に応じで控除される給与所得控除は、年度によって給与収入に対する比率が若干変更することがあります。しかし、2020年1月から源泉所得税の改正が行われるため、2020年度の年末調整においては、給与所得控除も大幅に変更されます。この記事では、給与所得控除について解説していきます。

2020年度税制改正の改正内容とは?

2020年1月から税制改正が施行されます。年末調整に影響を与えるものには、①給与所得控除の引き下げ、②基礎控除の引き上げ、③所得金額調整控除の創設、④配偶者・扶養親族等の合計所得金額要件等の見直し、の4点が挙げられます。

この記事では、給与所得控除の引き下げにスポットをあてていきます。給与所得控除は、2020年から引き下げになる、と税改正されましたが、まず所得控除とは何なのか、という点からみていきましょう。

給与所得とは?

給与所得控除について解説する前に、まず給与所得には何が含まれるのかを理解しておくことは大切です。給与所得控除は、職種や雇用形態、勤務形態を問わず、1年間の給与収入の額に応じて算出します。給与所得控除の対象となる給与収入には、毎月支給される給与に加え、ボーナスなどの賞与も含まれます。

また、給与所得を算出するためには、基本給だけでなく、通勤手当の非課税分、宿直手当の一部、残業手当、出張などの旅費を除いた職務手当、家族手当、住宅手当など各種手当も該当します。さらに、給与所得の収入には、現金の支給だけでなく、一部を除いた現物支給も含まれます。

例えば、土地や家屋を会社から借りていることなどが現物支給の対象となります。つまり、給与所得は、現金支給と現物支給の両方を合わせた総計が給与所得となります。ただし、制服などの貸与、社内規定に基づいて支給される祝い金やお見舞金、出張旅費などの精算などは含まれません。

給与所得控除とは?

給与所得の収入には、会社から支給される現金や現物が該当しますが、これらがすべて給与所得になるのではありません。給与収入から給与所得控除を差し引いた額が、給与所得になります。つまり、「給与所得=給与収入(現金や現物)-給与所得控除」という算式で、給与所得を算出できます。

給与所得控除の引き下げとは?

給与所得控除は、被雇用者に対して適用されるものです。所得税を計算する際に、収入金額(年収)から差し引く、給与所得控除の額が、2020年度から一律10万円引き下がることになります。

また、控除の要件のひとつである「給与等の収入金額」の上限が、年収1,000万円から年収850万円へと改正されます。それと同時に、給与所得控除の上限額も220万円から195万円へと改正されます。そのため、年収850万円を超えるなら、10万円以上の引き下げとなります。

給与等の収入金額(年収)による給与所得控除は、次のように変更になります。(2017~2019年度分まで→2020年度分以降)

・給与等の収入金額162.5万円以下:給与所得控除額 65万円(2017~2019年分まで)→ 55万円(2020年分以降)

・給与等の収入金額162.5万円越180万円以下:給与所得控除額 収入金額×40% → 収入金額×40%-10万円

・給与等の収入金額180万円超360万円以下:給与所得控除額 収入金額×30%+18万円 → 収入金額×30%+8万円

・給与等の収入金額360万円超660万円以下:給与所得控除額 収入金額×20%+54万円 → 収入金額×20%+44万円

・給与等の収入金額660万円超850万円以下:給与所得控除額 収入金額×10%+120万円 → 収入金額×10%+110万円

・給与等の収入金額850万円超1,000万円以下:給与所得控除額 収入金額×10%+120万円 → 195万円(上限額)

・給与等の収入金額1,000万円超:給与所得控除額 220万円(上限額) → 195万円(上限額)

給与所得控除と「特定支出控除」の関係性とは?

給与所得控除は、従業員の経費のようなものです。そのため、一律で計算されるので、個人が実際に支出した経費が給与所得控除を上回ることがあります。そのようなとき、特定の経費を対象とした支出総額を、給与所得控除ではなく、「特定支出控除」として扱います。特定支出控除は、給与所得者に認められている控除です。

特定支出控除には、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、職務に必要な衣服費、接待交際費などの経費が特定支出控除として扱われます。これらの特定支出の合計金額が、特定支出控除額の適用判定の基準を超える場合は、確定申告の際に、超過した分を特定支出控除として控除申請することができます。適用判定の基準は、2016年度分から、その年中の給与所得控除額の1/2、つまり半分が基準となっています。

給与所得控除と「所得控除」の関係性とは?

給与所得控除と所得控除は、全く異なるものです。給与所得控除はすでに見てきたとおり、正規雇用や非正規雇用など雇用形態を問わず、すべての給与所得者に無条件で控除されます。一方、所得控除は、一定の基準を満たすことで各種所得の総額から控除されます。所得控除には全部で14種類あり、控除を受けるためには申請する必要があります。

一般的な会社員の場合は、事業者側が年末調整で給与所得控除と所得控除を差し引き計算してくれますが、場合によっては所得控除は自分で申請しなければ控除されないことがあります。確定申告が必要なケースもありますので、自分の状況や手続き方法を把握しておくことは大切です。

ちなみに14種類の所得控除には、基礎控除、医療費控除、雑損控除、社会保険料控除、生命保険料控除、寄附金控除、地震保険料控除、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、小規模企業共済掛金控除が挙げられます。

給与所得控除の目的とは?

給与所得者の場合、業務をしている際に自己負担で移動したり、会社の制服や筆記用具をしたり等することがあります。給与所得控除は、このような事情を考慮して設けられました。経費の代わりに給与所得控除を設けることで、給与所得者も経費として給与収入に応じた一定の額を差し引くことができるので、事業者側とも公平な関係を維持することにつながります。

近年、給与所得者は増加している傾向にありますので、一人ひとりの経費を確認することは税務署にとって難しいことです。しかし、給与所得控除を設けることで、すべての給与所得者に一律の基準が適用され、公平さを実現することが可能となっています。

まとめ

給与所得控除は、給与所得者にとって経費のようなものです。1年間の給与所得に応じて一律に計算されるので公平性につながっています。2020年度分からは税制改正され、給与所得控除は引き下げられます。計算をする際には、間違いのないよう気を付けましょう。

最近は、年末調整申告書の配布から回収まで、インターネット上で完結させることも可能となっています。自分のパソコンやスマートフォンなどから効率よく行えると好評です。今まで紙で申告をしていた方も、オンラインで管理をはじめてみるのはどうでしょうか?