クリーニング店を開業するには?必要な資格や費用など開業までの手引き | 税理士コンシェルジュ

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クリーニング店を開業するには?必要な資格や費用など開業までの手引き

2020年6月14日
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街のあらゆる場所に存在しているクリーニング店は、私たちの生活に欠かせません。季節の変わり目をはじめとし、家庭用の洗剤ではどうしても落ちにくい汚れをおとしてくれたり、衣類の補修、カバンや靴のクリーニングなど、クリーニング店を利用する機会は多々あります。

そんなクリーニング屋は、取次店であれば低資本で開業できることから、開業を検討している方も少なくありません。今回は、クリーニング店開業で独立したい!という方向けに、クリーニング店を開業する方法について解説していきます。

クリーニング店の種類

クリーニング店を開業することを検討しているなら、まずクリーニング店の種類についてしっかり理解し、自分に合った種類のクリーニング店を選ぶ必要があります。クリーニング店の種類には、「一般クリーニング店」「取次店」「無店舗取次店」の3種類に大きく分類されています。では、それぞれの特徴についてみていきましょう

・一般クリーニング店
一般クリーニング店とは、お店の中でクリーニング処理を行っているお店のことです。自宅と店舗、店舗と工場など設備投資をして、クリーニング業すべてを行っています。それには洗濯やしみ抜き、処理などクリーニング処理すべてが含まれます。開業者にとっては、多額の機材や薬品などへの投資が必要となります。

・取次店
取次店とは、店舗内で衣類の受渡しのみを行うお店のことです。クリーニング処理は、別の工場で行います。このタイプのクリーニング店の多くは、フランチャイズチェーンなどチェーン店に加入する形態になります。

・無店舗取次店
無店舗取次店とは、クリーニング店としてお店を構えずにサービスを提供するお店のことです。主にネット宅配サービスなどをし、車両を店舗化して衣類の受渡しを行い、工場へ取次という流れになっています。

クリーニング店を開業するために資格は必要?

クリーニング店を開業するためには、何か特別な資格は必要なのでしょうか?クリーニング店には、「クリーニング師」という国家資格があります。そして、クリーニング店を開業するためには、クリーニング師を1人以上置くことが法律で義務付けられています。しかし、開業する店舗が取次店の場合は、クリーニング師資格は不要とされています。

クリーニング師とは?

クリーニング業には、「クリーニング業法」と呼ばれる、公衆衛生の向上と利用者利益の擁護を図るための衛生法規が設けられています。このクリーニング業法に基づいて定められた国家試験をクリアした人だけが、クリーニング師になれます。クリーニング処理を行うクリーニング所には、業務用の洗濯機と脱水機を1台以上設置することと、クリーニング師を1名以上置くことが義務付けられています。

しかし、前述したように、洗濯物を受渡しのみをする取次店には、クリーニング師の置くことは不要とされています。なお、実際にクリーニング業務をしているクリーニング師は、クリーニングや繊維、関係法令などに関する最新の知識やスキルを磨くために、3年に1度、クリーニング師研修を受講することがクリーニング業法で定められています。

クリーニング師資格を取得するには?

クリーニング師の国家資格を取得するためにはどうすればよいのでしょうか?クリーニング師になるためには、各都道県知事が年に1度開催しているクリーニング師試験に合格する必要があります。そして合格後、クリーニング師の免許を申請し、クリーニング師原簿に登録してはじめて、クリーニング師資格が与えられます。

では、クリーニング師試験には、受験資格はあるのでしょうか?クリーニング師試験は、中学校卒業以上であれば、どなたでも自由に受験に挑戦することができます。試験内容は、各都道府県によって内容が異なっています。試験内容は、学科と実技の2つで構成されています。

学科試験については、クリーニング教本と呼ばれる教科書から出題されます。実技試験については、繊維や薬品の鑑別、ワイシャツの仕上げなどが行われます。試験の内容だけでなく、受験料も各都道府県によって異なりますので、受験される場合は、前もって確認されることをおすすめします。

保健所への届出は必須!

クリーニング店を開業する際には、クリーニング師をおくことに加え、保健所に届け出を行うことが必要です。必要な設備が整っているか、店舗の構造は衛生的かなど、いくるかの検査を受けた後でなければ、クリーニング店を開業することはできません。

クリーニング所を開業する場合は開業予定地を管轄している保健所、無店舗取次店の場合は営業区域を管轄する地区の保健所へ届出を提出する必要があります。なお、保健所への届出は、15,000~25,000円が相場となっています。

クリーニング店を開業する立地条件とは?

開業した自分のお店を成功させるためには、開業前にリサーチをしっかりしておくことはとても大切です。そのひとつにお店を開く場所は、事業に大きな影響を与えます。特にクリーニング店のような接客業の場合、まずはお店の売り込みから始めなければいけません。また、近くにライバル店がどのくらいあるのか、をリサーチすることも大切です。

値段があまり変わらず、サービス内容も大きな差がなければ、おそらくほとんどの方が、今までお世話になっていたクリーニング店に通い続けることでしょう。また、ライバル店がないとしても、駅から遠いなど立地条件がよくないなら、わざわざ足を運ぶことはしないかもしれません。つまり、お客様が足を運びやすい場所を選び、「また利用したい」と思われるようなサービスを提供するなら、リピーター客がつき、事業が軌道に乗ることでしょう。

クリーニング店の開業に必要な設備とは?

クリーニング店を開業するにあたり、どのような設備が必要となるのでしょうか?必要とされる機械や備品には、次のようなものが挙げられます。

・クリーニング機械
水洗機、乾燥機、水洗乾燥機、ドライ機、プレス機、ワイシャツプレス機、汚物除去機、染み抜き機、包装機、アイロン仕上台、搬送コンベアーなど

・洗剤
各種洗剤

・備品
カウンター、レジ、整理カウンター、商品棚、ポール、ハンガー、タグ、ネット、伝票、ホチキス、ユニホーム、持ち帰り袋など

上記に挙げたものは、クリーニング店で必要な設備の一部です。その他にも必要となるものが出てくることでしょう。一般クリーニング店を開業する場合は、これらをすべて用意しなければいけません。高額な機械が多く、機械1基あたり100~200万円、または200万円を超えるものもあります。これらの機械設備を購入するだけでなく、取付費用などの内装工事、物件取得費などを含めるなら、1,000~2,000万円以上の開業資金が必要となります。

このように一般クリーニング店を開業するには多額の資金がかかるため、開業者の多くは取次店から始める方がほとんどです。つまり、クリーニング師資格が不要である、衣類の受渡しや保管のみを扱う取次店の開業がしやすいということです。一般クリーニング店を開業する場合は、コストを抑えるために、中古設備を調達するなどの資金調達面で何かしらの工夫が必要となることでしょう。また、クリーニング師の資格を持つ職人も必要となります。

クリーニング店を開業するための資金目安は?

では、クリーニング店を開業するには、実際のところどのくらいの開業資金が必要なのでしょうか?取次店を開業するにしても、加盟するフランチャイズチェーンなどチェーン店によって開業資金は異なります。フランチャイズのクリーニング店の場合、コンビニや飲食店などと比較すると、大規模な設備投資をする必要がないので、比較的低予算で開業することができます。

ここではフランチャイズを例に、開業資金の目安についてみてみましょう。クリーニング店のフランチャイズを開業する場合、開業資金の目安は200~600万円程度と言われています。これには開業資金となる初期費用と運営資金3ヶ月分を合算したあくまでも目安です。

フランチャイズ本部によって、加盟金や保証金、ロイヤルティの金額などが異なります。また、クリーニング店を運営するために店舗を借りる場合は賃貸料がかかりますし、アルバイトやパートを雇用する場合は人件費も発生します。つまり、クリーニング店を開業するためには、事業を運営していくために出費も検討する必要があります。

ではここで、初期費用にかかる目安をみてみましょう。初期費用には次のようなものがあります。

・加盟金:0~30万円程度
加盟金とは、フランチャイズに加盟する際に発生する費用のことです。加盟金を支払うことで、フランチャイズ本部からクリーニング店を運営する上でのサポートを受けることができるようになります。加盟金は本部によって差があるため、費用が少ないフランチャイズを選ぶなら、初期費用を抑えることができるでしょう。

最近は、加盟金ゼロ、というフランチャイズ本部も多くあります。加盟金が不要だとしてもサポートは受けることはできるので、上手に活用するなら資金を他の分野に回すことができるでしょう。

・店舗関連費:180~200万円程度
店舗関連費には、物件取得費や内装工事費、設備費などクリーニング店を始めるにあたりかかる費用が該当します。例えば、自宅の一部を店舗にするなど、すでに物件を所有している場合は、これから物件を借りたり購入したりするよりも、費用を抑えることができるでしょう。

物件を用意した後は、内装工事費用や設備費用などもかかります。フランチャイズによって、費用の分担比率も異なりますので、自分の予算に合ったフランチャイズ本部を選ぶようにしましょう。

・保証金:20~30万円程度
保証金もフランチャイズ本部によって金額が異なります。この保証金は、ロイヤルティや仕入金などの支払いが滞ったときに相殺される費用です。多くの場合、加盟契約をする際に支払うことが一般的となっています。

・研修費:10万円程度
クリーニング店を経営する上でのノウハウや接客業について学ぶために研修費を支払う必要があります。研修期間や研修内容もフランチャイズ本部によって異なりますが、期間は短くて数日間、長くても数週間が一般的です。また費用も0円から10万円前後と大きな差があります。

クリーニング店でのアルバイトやパートの経験や接客業などの経験がある方もいれば、すべてが初めての経験という方もいることでしょう。研修内容をよく確認し、自分に合った研修が受けられるフランチャイズ本部を選択することもひとつの方法と言えるでしょう。

初期費用に続き、運営資金にかかる目安をみてみましょう。運営資金には次のようなものがあります。

・人件費
人権費は、どのように事業を運営していくかによって異なります。1人、もしくは夫婦2人でお店を営むのであれば、人権費は掛からないので運営費を大幅に抑えることができるでしょう。実際、多くの方は1人もしくは夫婦で事業を始め、事業が軌道に乗り、人手が足りなくなってきたらアルバイトやパートを雇っています。また、忙しい時間帯だけ、人を雇っているお店もあります。いずれにせよ、人を雇用することには人件費が伴いますので、慎重に検討するようにしましょう。

・賃貸料
クリーニング店を開業するために、新たに物件を借りる必要がある方もいることでしょう。フランチャイズのクリーニング店の店内は、受付カウンターと衣類の保管場所があるだけのスペースがあれば事業を営むことが可能です。そのため、コンビニや飲食店など他の業種と比較するなら、契約金や家賃などを抑えられます。また、すでに所有している物件や自宅の一部を店舗とする場合は、賃貸料が発生しないので運営費の大幅な削減につながります。

・消耗品
取次店の場合は、衣類の受け渡しが主な業務となるため、洗剤や染み抜きの薬品などを購入する必要はありません。業務をする上で必要となる消耗品や備品は、それほどないでしょう。

・ロイヤルティ
フランチャイズクリーニング店の多くは、売上歩合方式、もしくは定額方式を採用しています。フランチャイズ本部によって異なりますので、しっかり確認するようにしましょう。

これらは、事業の運営スタイルによって費用に大きな差があります。

個人開業とフランチャイズ加入の比較

では、自分自身でクリーニング店を開業する場合と、フランチャイズチェーン店に加入する場合を比較してみましょう。

初期費用

フランチャイズチェーン店に加入した場合にかかる費用は、上記でみたとおりです。一方、個人で開業する場合は、加盟金や保証金、研修費、ロイヤルティなどはかかりませんが、業務用の洗濯機や乾燥機、クリーニングするための薬剤などクリーニングに必要な一式をすべて揃えなければいけません。機械ひとつひとつが高額なので、たとえ中古で揃えたとしても多額の費用が必要となります。また、これらを購入するためには資金調達をする必要があるでしょう。個人で多額の資金を調達することは容易ではありません。

お店の宣伝

フランチャイズチェーン店に加入した場合は、お店が実際に使用するチラシをはじめとしたメディアを使い、本部が効果的にお店をアピールし、お客様を呼び込みしてくれます。そのため、開業者自身がマーケティングの心配をする必要はありません。これらはすべて費用として支払っているわけですから、特に心配する必要はないでしょう。

一方、個人で開業する場合は、マーケティングも自分で行わなければいけません。お店をアピールすることから始める必要があるでしょう。お客様に喜ばれるサービスを提供するなら、口コミが広がり、お店の繁盛につながる可能性もあります。どのような方法でアピールするかによって、顧客数も変わってくることでしょう。

経営の自由や制限

フランチャイズチェーンに加入すると、営業時間や価格設定は、本部で決められている指示に従わなければいけません。同じ名前を掲げて営業しているため、どのお店も同じサービスで展開する必要があります。ですから、個人事業とは言え、経営の自由はあまりありません。一方、個人で開業する場合は、お店を自分の好きなように経営することができます。営業時間や価格設定もすべて自分で決めることができます。自分が取り組みたいアイデアも自由に取り入れることができるでしょう。

開業後

フランチャイズチェーンに加入しているなら、開業後も開業前同様、サポートを受けることができます。そのために加入金や手数料も支払っているので、困ったことがあればずぐにサポートを受けるべきと言えるでしょう。一方、個人で開業する場合は、誰もサポートしてくれません。開業者自身が経営者としてマネジメントもしっかり行わなければいけません。クリーニングとしての技術だけでなく、経営者としての知識も必要となります。

クリーニング店の現状

厚生労働省によると、現在の日本のクリーニング店は、20年前と比較すると約4割近く減少しているというデータが公表されています。なぜクリーニング店は減少してしまったのでしょうか?

時代と共に変化したファッションに対する考え方

クリーニング店が減少したことには、時代と共に日本人のファッションに対する考え方の変化が大きく関係していると言われています。そもそもクリーニングの需要とアパレル業界は、密接な結びつきがあります。つまり、アパレル業界の需要が伸びると、それに比例してクリーニングの需要も伸びます。それとは反対に、アパレル業界の需要が低下すると、クリーニングの需要も低下します。

では、現在、アパレル業界とクリーニングの需要はどうでしょうか?少し前までは、百貨店やデパートなどで販売されているような高価格の洋服を購入し、クリーニングに出し、大事に着続けるというスタイルが一般的でした。しかし、時代は変化し、現在はファストファッションなどの安価な洋服を使い捨てのように、またはワンシーズンだけ着回すスタイルが増えています。つまり、クリーニングに出す必要のある洋服を着る人が減ったということです。このようにアパレル業界とクリーニングの需要は密接に関係しているのです。

コインランドリーの増加

また、コインランドリーの店舗数の増加も影響しています。特に最近のコインランドリーは、布団が選択できる大型機械や除菌効果のある機械などが設置するなど、消費者のニーズに応えたサービスを展開しています。

このような理由から、クリーニング店の数は一昔前と比較すると減少していますが、クリーニング店は私たちの生活で必要不可欠なものです。どうしても頼まなければならない衣類をだれもが持っているはずです。また、家庭用の洗濯機やコインランドリーではできないことが、クリーニング店はできます。

ですから、クリーニング業界が衰退していると決めつけるではなく、既存しているお店が減少してきているので、新規の顧客を掴みチャンスと考えるのはどうでしょうか?これからクリーニング店を開業することを検討している方は、どのようなお店にすればリピーター客が増えるかをしっかり考えてから開業するようにしましょう。

まとめ

クリーニング店の開業についてみてきました。クリーニング店のニーズは一昔前よりも減少していますが、今でも必要不可欠な業種のひとつです。立地条件やサービス内容がよければ、顧客を獲得することは可能です。クリーニング店の開業を検討している方は、時代のニーズに合ったアイデアをとりいれたサービスを展開することもできるでしょう。


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