fx取引の確定申告とは?どのような税金が発生し、どんな手続きが必要? | 税理士コンシェルジュ

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fx取引の確定申告とは?どのような税金が発生し、どんな手続きが必要?

2020年10月27日
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FX(外国為替証拠金取引)取引をしている方は、年々増えています。特に2018年の副業解禁の影響を受けて、副業としてFXを始めたという会社員の方も少なくありません。

誰でも簡単に始めることが可能なFX取引ですが、実は、原則的に確定申告をする必要があることをご存知じでしたか?この記事では、主にFX取引きをしている方を対象に、FXの確定申告の方法について詳しく解説していきます。

FXとは?

FXとは、外国為替保証金取引(外国為替証拠金取引)のことで、外貨投資のひとつのことです。外国為替は英語で「Foreign Exchange」といいます。そこから頭文字のFとXを取り、「FX」と呼ばれています。

FXは、FXを取り扱う業者に一定のお金(証拠金)を預け、その何倍もの外貨を取引することです。つまり、簡単に言うと、「お金を買ってお金を売る」「通貨に投資をする」ことと言えるでしょう。

為替レートが交換レート

仮にアメリカ旅行に行く場合、日本の「円」をアメリカで使うことができません。そのため、空港などの両替窓口で「円」から「ドル」へと交換する必要があります。つまり、円を売ってドルを買う、ということです。

では、その際、円はいくらで売れて、ドルをいくらで買うことができるのでしょうか?それを決めるのは、「為替レート」です。テレビのニュースなどでよく見聞きする「今日の東京相場は、1ドルあたり120円50銭で取引されています」などのアナウンスは、為替レート、つまり通貨の価値を意味しています。

この通貨の価値(レート)は、常に変化しています。つまり、FXは、その変化によって生じる差額で利益を得るしくみになっています。

FX取引で得た利益は原則、確定申告が必要

株取引では、特定口座で「源泉あり」を選択していれば、自動的に利益から源泉徴収されるため、確定申告をする必要はありません。しかし、FXで得た利益は、株取引のように特定口座の制度がありません。したがって、原則として確定申告をする必要があります。

FX取引で得た利益は「雑所得」

所得は税制上、全部で10つの所得に分類されています。具体的には①利子所得、②配当所得、③事業所得、④不動産所得、⑤給与所得、⑥退職所得、⑦譲渡所得、⑧一時所得、➈山林所得、⑩雑所得です。

そして、FXで得た利益は、①から➈のいずれにも該当しないため、「雑所得」に区分されます。なお、雑所得の場合、他の9つの所得とは税法上の扱いが異なります。①から➈までに分類される所得とは切り離して税額を計算する「申告分離課税」の対象となっています。

FX取引で得た利益にかかる税額とは?

そもそも所得税は、1月1日から12月31日の1年間の合計所得が課税対象となります。FXで得た利益は「雑所得」なので「申告分離課税」の対象となり、累進税率で課税されます。税金の税率は、分離課税が一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が適用されます。

なお、「復興特別所得税」は、2013年1月1日~2037年12月31日までの25年間のみに課税される税金です。復興特別所得税の課税期間終了後、つまり2038年1月1日以降は20%(所得税15%+住民税5%)が適用されることになります。

また、サラリーマンなどの給与所得者や年金所得者の場合は、FXの利益が20万円以下の場合には確定申告は不要ですが、(後述しますが)損失の繰越控除を利用する場合には、確定申告を行なう必要があります。

FX取引にかかる経費とは?

FX取引の場合、FX取引を行うためにかかった費用は、得た利益から必要経費を差引くことが可能です。必要経費をしっかり差し引くことができれば、節税効果を期待できます。では、どのようなものを必要経費として計上することができるのでしょうか?

・通信費
FX取引をするときに利用したインターネットプロバイダーの利用料金など

・セミナー受講料
FX取引に関するセミナーに参加した際にかかった受講料など

・交通費
セミナー会場までに行くときにかかった費用など

・宿泊費
セミナーを受講するためにかかかった費用など

・手数料
銀行振り込み時にかかる振り込み手数料など

・新聞や書籍費用
FX取引のために購入した新聞や書籍にかかった費用など

また、FX取引のために注文をシステムに任せる「システムトレード」を利用している場合は、システムトレードにかかった費用も必要経費として計上することが可能です。このようにFXで利益を出すために必要だったものは、必要経費として差し引くことができます。

損失は翌年への繰り越しが可能

FX取引では、得た利益や損失をすべて合計、もしくは相殺することが可能です。これを「損益通算」といいます。そして、損益通算をしても損失が残る場合は、翌年以降にその損失を繰り越す「繰越控除」をすることも可能です。

【損益通算】
先述したように、FXで得た利益は、他の所得とは切り離して税額を計算する「申告分離課税」の対象となっています。そのため、FXで得た利益と他の所得で損益通算をすることは認められていません。しかし、複数の会社でFXの取引をしていた場合は、同じ申告分離課税の対象なので、各社の損益を合算し相殺することができます。

例えばA社で80万円の利益、B社で30万円の損失があった場合、損益通算をすれば50万円の利益となります。そして、この利益から必要経費を引いた金額が所得となり課税額が決まります。もし損益通算をしなければ、80万円がそのまま利益となってしまいます。したがって、税額が多くなってしまいます。

つまり、損益通算をすれば納税額を減らせる可能性があります。ですから、損益通算という制度を覚えておくなら、節税効果を期待できるでしょう。

【繰越控除】
通常は利益がなければ確定申告は不要です。しかし、繰越控除を適用することで、今年度に発生した損失を翌年以降3年間にわたって、店頭FXや取引所の先物取引等で発生した利益と相殺させることが可能です。

つまり、利益が出た年の納税額を減らすことにつながるため、節税対策になります。なお、繰越控除を受ける場合は、損失した年に確定申告を行うだけでなく、翌年以降も継続的に確定申告を行う必要があります。

FX取引きで確定申告の有無を判断する条件とは?

FX取引で利益があった場合、確定申告をするかどうかは、以下の条件によって判断することができます。

【給与所得者の場合】
給与所得者だとしても、年間の給与の収入額が2,000万円を超えている場合は、確定申告をすることが義務付けられています。この場合は、FX取引で利益があったかどうかを問わず、確定申告が必要です。

また、年間の給与の収入額が2,000万円以下だとしても、FXによる利益が20万円を超える場合は確定申告が必要となります。たとえ勤務先で年末調整を行っているとしても確定申告をしなければいけません。

【給与所得がない場合】
自営業やフリーランスの方、無職の方、主婦や学生など扶養家族に入っている場合は、FXで得た所得が48万円を超えると確定申告が必要となります。従来は38万円でしたが、法改正により48万円へと金額が変更されました。この金額は、配偶者控除を受けられるかどうかの判断基準となる金額です。

【公的年金などにかかる雑所得がある場合】
公的年金における収入が400万円以下で、公的年金などに係わる雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合は、確定申告不要です。一方、公的年金における収入が400万円以上で、FXでの所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要となります。

FXの確定申告方法

では、FXの確定申告方法をみていきましょう。

FXの確定申告で必要な書類

FXの確定申告では、以下の4つの書類が必要です。
・申告書B(第一表、第二表)
確定申告書にはAとBの2種類ありますが、FXの確定申告では、確定申告書Bを使います。第一表と第二表はセットになっており、それぞれ2枚つづり(提出用・控え用)となっています。第一表には収入や取得、第二表には所得や所得控除の内訳を計算して税額を記入します。

・申告書第三表(分離課税用)
確定申告書Bの第三表(分離課税用)は、FX取引など分離課税の所得があるときに使用する書類です。具体的には、FXにかかる税額、1年間のFX取引の収入金額、収入から手数料などを引いた金額(FX取引で得た所得)を記入します。

・先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
・所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)

このうち「申告書第三表(分離課税用)」と「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の2つの書類は、FXの申告に欠かせない必要書類です。「所得税の確定申告書付表(先物取引に係る繰越損失用)」に関しては、FX損失の繰越控除を使用する場合に必要となります。

FXの申告書提出に必要な添付書類

FXの確定申告書を提出する際には、添付書類の提出も求められています。それは、

・年間取引報告書(年間損益報告書)
・給与所得の源泉徴収票  の2点です。

年間取引報告書(年間損益報告書)は、FX取引で使用しているFX事業所のホームページからダウンロードしたものを入手することができます。給与所得の源泉徴収票は、年末調整時に勤務先で発行されますので、失くさず大切に保管しておきましょう。

確定申告の申請方法

確定申告の申告方法は、①税務署の窓口へ提出、②郵送での提出、③ e-Tax(電子申請)を利用した申請、の3通りから選択することができます。

①税務署の窓口へ直接提出

最も一般的な申告方法は、税務署や確定申告特設会場へ書類一式を持参する方法です。確定申告シーズンは混雑を避けることはできませんが、記載内容や添付書類の不備をチェックしてくれるので、確定申告初心者にはおすすめです。

②郵送での提出

郵送での提出なら、わざわざ赴く必要なく、混雑を回避できます。ただし、書類に不備や不足があると送り返されるため、再提出をしなければいけません。再提出の場合でも、確定申告期限を守る必要があります。ですから、万が一に備えて、時間に余裕をもって提出する必要があるでしょう。

③e-Tax申告

確定申告の手続きは、e-Taxを利用した電子申告もおすすめです。e-Taxを利用すれば、ネット上で作成した確定申告書を、そのまま税務署に送信することができます。

つまり、確定申告書の入手をはじめとし、窓口への提出するためにわざわざ税務署へ赴くことや郵送などは一切不要で、自宅から簡単に手続きを完了させることが可能です。

ただし、事前に個人番号カードに組み込まれている「公的個人認証サービスに基づく電子証明書」の取得(通知カードはNG)と、ICカードリーダーを準備しておく必要があります。

事前準備に面倒を感じる方もいるかもしれませんが、一度準備をしてしまえば、翌年以降は準備不要で手軽に申告することが可能です。まだe-Taxを利用していないなら、この機会に検討してみるのはどうでしょうか?

国税庁のホームページから確定申告書が作成できる!

確定申告書の作成と聞くと、「複雑でめんどくさい作業・・」というイメージを持っている方もおられることでしょう。しかし、今は国税庁のホームページ内に設けられている「確定申告書作成コーナー」を利用することで、確定申告書の作成が初心者の方でも容易に作成することができます。(確定申告書類は、税務署の窓口でも入手可能です)

その利用方法は、ただガイダンスに従って入力し、プリントアウトするだけです。その後、必要添付書類やマイナンバー書類のコピーなどと一緒に窓口へ提出、もしくは郵送すれば確定申告の手続きはすべて完了です。

まとめ

・FX取引で利益が出た場合は、確定申告が必要となる。
・FXで利益が出た場合に課税される税金の税率は、20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が適用される。
・複数の会社でFXの取引をしていた場合は、各社の損益を合算し相殺することが可能。
・発生した損失は、翌年以降3年間にわたって、店頭FXや取引所の先物取引等で発生した利益と相殺させる繰越控除を適用することが可能。
・FXの確定申告には、確定申告書Bと分離課税用の第三表を使用する。


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