2020年9月11日

財務諸表とは?経営者は知っておくべき財務諸表の役割とチェックポイント!

「財務諸表」とは、企業の業績や経営状況を数字で把握する計算書です。経営者は、毎年決算期に作成し、税務署へ提出することが義務付けられています。

財務諸表の中でも、特に「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」はとても重要なものとして扱われており、「財務三表」と呼ばれています。この記事では、経営者が知っておくべき財務三表の役割や読み方などについて解説していきます。

財務諸表とは?

財務諸表とは、決算までの1年間の自社の業績や財政、経営状況を数字で理解するためにまとめた計算書です。英語では、「financial statements」といい、直訳すると財政上の計画書、貸借表、となります。財務諸表を読み解くことができれば、その企業の収益、費用、利益などの現状を把握することができます。

要するに財務諸表は企業の経営状態を診断する書類、例えるなら学校における通知表や、健康診断の結果のようなものと言えるでしょう。なお、財務諸表は複数の書類で構成されており、それらすべての書類を総括し財務諸表と呼んでいます。

財務諸表の役割・目的

財務諸表は、税務署や銀行、株主、投資家など利害関係のある人に対して、企業の財務状況を知らせることを目的としています。財務諸表は決算期に作成されます。財務諸表を読み解くなら、企業がどのくらい儲けたか、どのくらい借金があるか、どのくらい資産があるのか、などを把握することができます。

財務諸表に含まれるもの

財務諸表は、次の書類で成り立っています。

・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
・利益金処分計算書
・附属明細書

そして、これらの計算書の中で、最も重要なのが、財務状態が分析できる「貸借対照表」、経営成績を分析できる「損益計算書」、資金状況を分析できる「キャッシュフロー計算書」の3つです。これらの計算書は合わせて「財務三表」といいます。

財務三表を読むことができれば、企業の財産の状況、収支の状況、お金の流れを把握できます。経営者はもちろん、ビジネスパーソンなら絶対に読めるようにしておくことは大切です。では、財務諸表の中でも最も重要な財務三表について詳しくみていきましょう。

財務状態を分析する財務諸表「貸借対照表」

貸借対照表の概要

貸借対照表は、企業のある時点における財務状態を見るための書類です。英語では、「Balance sheet(バランスシート)」と呼ばれており、略して「B/S(ビーエス)」とも呼ばれています。

その名前の通り、大きく左右に分かれており、右側が「資産」、左側が「負債」と「純資産」で区分されています。そして、左側の数値の合計値と、右側の数値の合計値は、常に同じでなければいけません。

貸借対照表の読み方

貸借対照表は、企業が保有している「資産」、支払う義務のある「負債」、資産から負債を差し引いて残る「純資産(資本)」の3つの部で構成されています。

【資産】
資産は、「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3つで成り立っています。

・流動資産
流動資産とは、現金や預金、売掛金、定期預金、有価証券など、1年以内に現金に換金できる資産が該当します。

・固定資産
固定資産とは、時の経過とともに少しずつ価値が下がっていく、減価償却の対象となるものが該当します。これには不動産、保証金、特許権、車両、ソフトウェアなどが挙げられます。

・繰延資産
繰延資産とは、開業費や開発費など、すでに支払い済みとなるものが該当します。

【負債】
負債は、「流動負債」と「固定負債」の2つで成り立っています。

・流動負債
流動負債とは、1年以内に支払い期限がくる負債のことです。これには買掛金や1年以内が返済期日の手形、未払いの法人税などが該当します。

・固定負債
固定負債とは、長期間にわたって金融機関から借り入れをしている長期借入金や社債などが該当します。

【純資産(資本)】
純資産(資本)は、「株主資本」と「株主資本以外」の2つで成り立ちます。

・株主資本
株主資本とは、資本金・資本準備金・利益剰余金のうち、会社法によって積み立てることが義務付けられているものが該当します。具体的には利益準備金、自己株式などが該当します。

・株主資本以外のもの
株主資本に該当しないものが当てはまります。これには繰延ヘッジ損益や土地再評価差額金などが挙げられます。

貸借対照表で分析できること

貸借対照表では、経営の健全性を分析できる「自己資本比率」と、企業の支払い能力を分析できる「流動比率」を求めることができます。

【経営の健全性を分析する「自己資本比率」】
自己資本比率では、経営の健全性を把握できます。自己資本比率は、「自己資本比率(%)=純資産÷総資産×100」という計算式で算出できます。

純資産の比率が高ければ高いほど、企業の財務体質は良好と言えます。通常、自己資本比率は50%を上回って入れば財政状態が良好と判断されます。一方、10%を下回っているなら危険水準と言えます。

【支払い能力を分析する「流動比率」】
貸借対照表の「流動負債」とは、短期間での支払いが求められている負債です。それに対して、短期間で現金化して支払いに対応できる「流動資産」がどれくらいあるかを示す数値が「流動比率」です。

流動資産が流動負債よりも少ないと、1年以内に資金繰りが難しくなることが予想されます。流動比率は、「流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100」という計算式で求めることができます。

流動比率が200%程度あれば、十分な支払い能力はあると判断できます。一方、100%を下回っいるなら、短期の支払い能力に欠乏していると判断されます。

経営成績を分析する財務諸表「損益計算書」

損益計算書の概要

損益計算書は、企業が1年間にどれくらいの収益を生み出したか、どれだけ費用を使ったか、どれくらい利益を生みだしたかをみるための書類です。英語では「Profit&Loss Statement」といい、略して「P/L(ピーエル)」と呼ばれています。「収益」「費用」「利益」の3つの分野で構成されており、収益から費用を差し引いて「利益」を把握することができます。

損益計算書の読み方

損益計算書は、「収益」「費用」「利益」の3つの分野で成り立っています。

【収益】
収益は、「売上高」「営業外収益」「特別利益」の3つの軸で構成されています。

・売上高
売上高とは、企業が本業で得た収益のことです。本業でない事業で得た収益は含まれません。

・営業外収益
営業外収益とは、企業が本業以外でえた収益のことです。これには預貯金や貸付金の受取利息、配当金、不動産賃貸収入などが該当します。

・特別利益
特別利益とは、企業の本業とは直接関係のない、そのときだけ発生した特別な利益のことです。これには不動産などの固定資産を売却した際に発生する利益や、有価証券の評価利益などが挙げられます。

【費用】
費用には、「売上原価」「販管費(販売費・一般管理費)」「営業外費用」「特別損失」「税金類」が挙げられます。

・売上原価
売上原価とは、商品の仕入や製造、原材料などにかかった費用のことです。業種によって使用する勘定科目が異なります。

・販管費(販売費・一般管理)
販管費とは、販売費と一般管理費のことです。販売費には商品や製品、サービスを提供するためにかかった費用が該当します。一般管理費は、事業の運営や管理にかかる費用のことです。これには役員の報酬や従業員の給与などが該当します。

・営業外費用
営業外費用とは、本業以外にかかる費用のことです。これには借入の際に発生する利息、社債発行時に必要な費用などが該当します。

・特別損失
特別損失とは、臨時的もしくは偶発的に発生した損失のことです。これには固定資産売却損、災害損失などが該当します。

・税金類
費用には、法人税や事業税、住民税などの税金類も計上できます。

【利益】
利益は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益があります。

・売上総利益
売上総利益は、企業の本業の事業で、どれだけ利益がでたか、つまり企業の儲け、が分かる数値です。本業である営業活動を通じて得られた収益である「売上高」から、販売する商品を仕入れるためにかかった原価を差し引いたものが売上総利益になります。

つまり、売上総利益は、「売上=売上高-売上原価」という計算式で算出できます。売上総利益は、「粗利」とも呼ばれています。

・営業利益
営業利益とは、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた、企業が本業で稼いだ利益のことです。販売費と一般管理費は、会計期間に発生するものであり、商品や製品、サービスの一つひとつには対応していない費用です。営業利益は、「営業利益=売上総利益-販売費・一般管理費」という計算式で算出できます。

・経常利益
経常利益とは、企業が本業で稼いだ営業利益に営業外収益を加えた利益のことです。営業利益と営業外収益の合計から、営業外費用を差し引いて求めことができます。つまり、「経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用」という計算式で求めることができます。

経常利益と営業利益の差から、本業以外でどれだけ儲けがあるのかを把握することができます。それにより、本業と副業のバランスを読み取れます。

・税引前当期純利益
税引前当期純利益とは、経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いたものです。つまり、税金類を支払う前の稼いだ利益と言えます。税引前当期純利益は、「税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失」という計算式で算出できます。

・当期純利益
当期純利益とは、税引前当期利益から、法人税、法人住民税、法人事業税を差し引いたものです。これにより、当期の純粋な利益が分かります。「当期純利益=税引前当期純利益-法人税等」という計算式で求めることができます。

損益計算書で分析できること

損益計算書では、5つの利益を求めることで、企業がどこで、どのように儲けているかを読み解ることができます。

資金状況を分析する「キャッシュフロー計算書」

キャッシュフロー計算書の概要

キャッシュフロー計算書は、企業のお金の収入と支出、つまり「お金の流れ」を把握するための書類です。そのため、土地や建物などの資産は含まず、現金や預金などキャッシュのみの収支を示しています。

つまり、すぐに使える資金をどのくらい持っているか、を示す書類と言えるでしょう。キャッシュフロー計算書は、「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つの分野で区分されています。

キャッシュフロー計算書の読み方

【営業活動によるキャッシュフロー】
営業活動によるキャッシュフローは、企業の本業となる営業活動で、どれくらいのキャッシュが生み出されているかを示します。プラスになることが基本ですが、プラスの数値が高ければ高いほど企業の資金が豊富であることを示します。それとは反対に、マイナスであれば企業は資金が不足していると判断できます。

【投資活動によるキャッシュフロー】
投資活動によるキャッシュフローは、企業の投資資金の流れを示します。設備投資をした場合や、企業が先行投資をした場合はマイナスとなる傾向にあります。一方、プラスの場合は、固定資産などを売却し、キャッシュにしている可能性があります。

【財務活動によるキャッシュフロー】
財務活動によるキャッシュフローは、資金調達や返済などのお金の流れを示します。プラスの場合は融資を受けたり、増資していることが考えられます。一方、マイナスの場合は、借入金を返済していることを意味します。

キャッシュフロー計算書で分析できること

キャッシュフロー計算書では、企業の会計期間において、企業のお金の流れを分析できます。まや、会社の財務状態や前略なども読み解くことが可能です。

財務諸表の開示義務

企業には、財務諸表を開示する義務があります。特に次の3つのシーンにおいては、開示義務があります。

1、税務署への財務諸表を開示義務
2、金融商品取引法による上場企業(大会社)への財務諸表を開示義務
3、特定の株主や債権者から請求があったときの財務諸表を開示義務

なお、上場企業とは、会社法によると「最終事業年度の貸借対照表上の資本金が5億円以上、もしくは負債の合計額が200億円以上の株式会社」が該当します。該当する企業は、財務諸表のうち貸借対照表と損益計算書を公開する必要があります。

まとめ

貸借対照表からは経営の状況、損益計算書からは利益、キャッシュフロー計算書からは企業のお金の流れを読み取ることができます。これらの3つは関連性があり、組み合わせて読み解くことで、企業の状況を総合的に判断することができます。これは自社の経営状況を分析する点でも役立ちます。是非、財務諸表を読み取ることができるようにしましょう。

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