2020年6月26日

源泉徴収票とは?発行・再発行方法、内容など源泉徴収票の基礎知識

個人事業主をはじめとし、従業員を雇用している事業所であれば、「源泉徴収票」を発行する必要があります。経営者本人、もしくは経理担当者であれば、年に1度、従業員一人ひとりに源泉徴収票を発行していることでしょう。それとは反対に、給与所得者である一般的な会社員であれば、年末に源泉徴収票を受け取っていることでしょう。

では、源泉徴収票とは何なのでしょうか?どのように発行するのでしょうか?この記事では、源泉徴収票の発行や再発行、記載する内容など源泉徴収票の基礎について詳しく解説していきます。

源泉徴収票とは?

源泉徴収票とは、給与などを支払う事業所が、その年1年間に支払った給与等の金額と、源泉徴収した所得税の合計金額が記載された書類のことです。源泉徴収票は、翌年1月31日までに交付するよう規定されているため、多くの事業所では、当該年度の12月もしくは翌年の1月の給与明細書と一緒に交付しています。

なお、源泉徴収票は、所得税法で「給与所得の源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票」「公的年金等の源泉徴収票」の3種類の様式と定められています。給与、退職手当、公的年金等の支払いをする事業所は、源泉徴収票を2通作成し、そのうち1通は税務署、もう1通は支払いを受ける労働者に交付します。

源泉徴収とは?

では、そもそも源泉徴収とは何なのでしょうか?源泉徴収とは、給与、報酬、利子、配当などの支払いをする事業所が、支払いをする前に所得税などの税金を天引きし、労働者の代わりに国などに納税する制度のことです。

所得税は本来、1年分の収入が確定しないと、正確な税額は分かりません。そのため、年の収入が確定する12月に、今まで徴収してきた源泉徴収税(給与から天引きされてきた税金)と、確定した税額の過不足を精算します。源泉徴収票は、その精算結果を記載した書類のことです。

源泉徴収票の作成義務者とは?

上記で簡単に触れましたが、源泉徴収票は、その年に給与や退職金などを支払った事業者に作成義務があります。つまり、労働者を雇用している個人事業主や企業などが、源泉徴収票の作成義務者になります。これには官公庁や財団、学校などの法人も作成義務者に含まれます。

ただし、個人事業主で、常時2人以下の家事使用人のみに給与や報酬の支払いをしている場合は、給与や報酬、退職金に対して源泉徴収する必要はない、と所得税法で定められています。したがって、源泉徴収票の作成義務も発生しません。

源泉徴収票を発行する時期はいつ?

源泉徴収票の発行時期は、原則として、年末調整を終えたときと、労働者が退職したときのタイミングで発行することになっています。

年末調整を終えたとき

事業所には、その年の最後の給与を支払うときに、年末調整をする必要があります。翌年1月に入ってから年末調整をすることも可能ですが、源泉徴収票は翌年の1月末までに税務署へ提出する必要があります。そのため、多くの事業所では、通常12月の最後の給料日に行われています。

なお、中途採用の労働者がおり、その年に他の会社で給与を受け取っていた場合は、給与を受け取っていた前職の源泉徴収票がないと年末調整をすることができません。企業によっては、退職者に源泉徴収票を発行しないところもあります。源泉徴収票の発行を請求してから、実際に発行されるまでに時間がかかることはよくあります。

ですから、中途採用の労働者を雇用した場合は、時間の余裕をもって前職での源泉徴収票の有無を確認することは大切です。もし受け取っていない場合は、前職へ源泉徴収票の発行の請求をする旨を伝えておくようにしましょう。

なお、所得税法では、すべての事業所に年末調整を行うことを義務付けています。もし年末調整をしなかった場合は、10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金がペナルティとして科せられるので注意してください。

労働者が退職したとき

労働者が退職した場合は、退職日から1ヵ月以内にに源泉徴収票を作成して発行する必要があります。退職する理由は個々の労働者によって異なります。転居など住所が変わる予定であれば、転居先の新しい住所を聞いておく必要が生じます。

源泉徴収票の構成と記載内容

源泉徴収票は、A5サイズの書類です。主に支払金額、給与所得控除後の金額、所得控除の額の合計、源泉徴収税額の4つに大きく区分されています。

支払金額

一番上段の「支払を受ける者」に関する情報を記載した後、2段目の段には「支払金額」の欄があります。ここには1月1日から12月31日までに支払った給与や報酬の額面の合計額を記載します。これは「年収」のことであり、振込額のことではありません。また、給与や報酬の額面から通勤手当は除く必要があります。なぜなら、通勤手当は所得税の課税対象外だからです。

給与所得控除後の金額

「支払金額」の右隣りの欄には、「給与所得控除後の金額」という欄があります。どのように算出することができるのでしょうか?単純に収入に税率をかければよいという分けれはありません。計算をする際、支払い金額から一定額を控除することができます。

控除額は、個々の年収に応じて変わってきます。そして、控除後の金額に税率をかけたものが、給与所得控除後の金額となります。給与所得控除の計算式は、次のようになっています。

・180万円以下の場合:収入×40%(65万円に満たない場合は65万円)
・180万円超~360万円以下:収入×30%+18万円
・360万円超~660万円以下:収入×20%+54万円
・660万円超~1,000万円以下:収入×10%+120万円
・1,000万円超:220万円(上限)

控除額を算出後、「支払金額-控除額=給与所得控除後の金額」の計算式に基づき算出された金額を、「給与所得控除額の金額」として記載します。

所得控除の額の合計

「給与所得控除額」の右隣の欄には、「所得控除の額の合計額」という欄があります。この欄には、給与所得から差し引くことができる所得控除の合計金額を記載します。なお、給与から控除できる所得控除は、家族に関する「人的控除」と、支出に関する「物的控除」の2つに大きく分類されています。どのような控除が該当するのかみていきましょう。

・家族に関する「人的所得控除」
主に家族に関する人的所得控除は、全部で7つの項目あります。まずすべての人に適用される基礎的な所得控除として「基礎控除」と呼ばれるものがあります。今までは、控除額は全員一律で38万円でしたが、令和2年度以降からの控除額は納税者の合計所得金額に応じて変わってきます。合計所得金額が2,400万円以下の場合は48万円となっています。

納税者と同一生計をしている配偶者がいる場合は「配偶者控除」や「配偶者特別控除」、納税者と同一生計をしている扶養親族がいる場合は「扶養控除」が適用されます。その他にも、納税者本人もしくは配偶者・扶養親族が障害者に該当する場合は「障害者控除」、納税者本人が配偶者を死別もしくは離婚後に再婚をしていない場合は「寡婦控除」や「寡夫控除」、納税者本人が勤労学生の場合は「勤労学生控除」が適用されます。

・支出に関する「物的所得控除」
支出に関する物的所得控除には、社会保険料や生命保険料、地震保険料などの支出が該当します。社会保険料などの支出とは、1年間の間に給与から天引きされた健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料のすべての合計金額のことです。

また、年末調整時に自己負担した家族の国民保険料などの社会保険も申告するなら、控除が適用されます。生命保険料の控除額は、生命保険会社から送付される控除証明書を給与支払者に提出することで年末調整で控除されます。地震保険料の控除額は、年間5万円を上限として控除が適用されます。

このほかにも住宅ローン控除を受ける場合は、「住宅借入金等特別控除」を記載することもできます。なお、住宅ローン控除の場合、所得控除とは違い、最終的に確定した所得税額から直接差引くことが認められています。

源泉徴収税額

源泉徴収票の2段目の一番最後、つまり一番右側には、「源泉徴収税額」という欄があります。源泉徴収税額とは、その年の1月から12月までの給与や賞与、所得控除を精算を行った確定した所得税額のことです。

源泉徴収税額という名称から、「給与で天引きされてきた所得税の合計額のことでは?」と勘違いされる方もいますが、この欄には、年末調整の精算が終わった後に確定した所得税額を記載します。

その他の項目と注意事項

源泉徴収票を作成する際、支払い金額や所得控除額の合計、源泉徴収票税額は別途に算出する必要がありますが、人的所得控除や物的所得控除などはすでに金額が確定しているものが多い傾向にあります。ですから、確定している金額を転記するだけと言えるでしょう。

また近年、さまざまな書類にマイナンバーを記載することが多くなりましたが、源泉徴収票には、マイナンバー記載は不要となっています。

源泉徴収票が必要になる場面とは?

源泉徴収票は、どのようなときに必要となるのでしょうか?必要となる具体的な場面には、次のようなときが挙げられます。

確定申告をするとき

一般的な会社員など給与所得者の場合、年末調整をするだけであれば、確定申告は不要です。しかし、確定申告が必要となる給与所得者もいます。例えば、住宅を購入した1年目は「住宅ローン控除」を受けるために確定申告をしなければいけません。

また、2ヵ所以上の事業所から給与を受け取っている人や、副業をしている人、給与所得者でも年収2,000万円以上の人などは個人で確定申告をする必要があり、その際に源泉徴収票が必要となります。

転職するとき

一年の間に退職して転職した場合は、転職先に源泉徴収票を提出する必要があります。なぜなら、新しい勤務先でその1年分の年末調整を行うからです。

さまざまなライフイベント

源泉徴収票は、さまざまなライフイベントで提出を求められることがあります。

・住宅ローンなどの借入をするとき
住宅ローンなど銀行などの金融機関から融資を受ける場合、会社に在籍している事実や年収を証明する証拠として源泉徴収票はの提出を求められることがあります。つまり、融資の審査で源泉徴収票が必要となります。

・賃貸借契約をするとき
入居をする際の審査でも、源泉徴収票の提出を求められることがあります。家主は源泉徴収票を収入の証明として確認します。

・保育園へ入所するとき
保育園へ入所する際にも、源泉徴収票の提出が必要となります。なぜなら、保育料の算定は、所得が基準となるからです。

・休業補償を請求するとき
事故などで入院となり働けなくなってしまった場合、加害者や保険会社に休業補償を請求するときに源泉徴収票の提出を求められることがあります。源泉徴収票は、1日当たりの収入を証明する書類として利用されます。

・家族の扶養になるとき
誰かの扶養親族になる場合、給与収入の上限などの条件を満たしているかどうかを確認するために、源泉徴収票を提出しなければいけません。

源泉徴収票の再発行は可能!

すでに発行された源泉徴収票を紛失してしまうことは、誰にでもあり得ることです。では、源泉徴収票の提出が必要となるとき、源泉徴収票を無くしてしまったことに気づいたならどのように対処すればよいのでしょうか?結論から述べるなら、源泉徴収票を紛失してしまった場合は、再発行をしてもらうことが可能です。

再発行の依頼先はどこ?

では、どこに再発行を依頼することができるのでしょうか?それは無くした源泉徴収票を発行してくれた勤務先、もしくは退職した先です。今勤めている会社の源泉徴収票が必要なのであれば、今の会社に依頼しましょう。つまり、市区町の役所や税務署などの公的機関では再発行を受け付けていませんので注意しましょう。

どのくらいまで遡って再発行ができる?

労働基準法によると、給与に関する書類は、最低3年間保管するようにと規定されています。ですから、3年前まではさかのぼって源泉徴収票の再発行を依頼することができます。

依頼方法は?

源泉徴収票の発行及び再発行は、法的な手続きではありません。ですから、経理担当者に連絡をとることができれば、どのような手段でも問題はありません。電話やメール、郵送などで「○○年度の源泉徴収票を紛失してしまったので、再発行をお願いできますか?」などの旨を伝えることができるでしょう。

再発行の請求は、自分が紛失してしまったことが理由となりますので、返送用の封筒や切手などを送ることができるかもしれません。また、以前勤めていた会社が倒産などで連絡と取ることが難しい場合は、税務署や税理士などに相談されることをおすすめします。

再発行をしてくれないときの対処方法

先述したように、労働基準法では3年間保管することが義務付けられているため、再発行の請求に対応しないのは事業者側の問題となります。さまざまな企業が存在していますが、企業によっては、源泉徴収票の再発行に快く応じてくれないところも実際にあります。しかし、源泉徴収票を発行してもらえなければ、上記のような場面で必要な手続きをすることができません。

では、再発行に応じてくれない場合は、どのように対処できるでしょうか?どうしても源泉徴収票を再発行してくれないのであれば、まずその年度の確定申告書を作成し、その後、税務署に「源泉徴収票の不交付届出書」を提出します。源泉徴収票の再発行に応じない企業は、法律上の「給与明細書交付義務違反」に該当するため、税務署から通達がいきます。

再発行を依頼したい人の中には、円満退職ができなかったなど何かしらの理由で、前職の勤務先に再発行を依頼しづらい・・という方もいることでしょう。そのような方は、現在の職場の経理担当者に連絡してもらうにもひとつ方法です。なお、源泉徴収票は依頼後、すぐに発行してもらえる対応が多いですが、忙しい時期は再発行に時間がかかることもあるので、およそ1~3週間くらいの余裕をもって再発行依頼をするようにしましょう。

なお、源泉徴収票の再発行の手続きは、正社員はもちろん、アルバイトやパートの方でも再発行の請求をすることが可能です。退職後でも請求することができますので、紛失したことに気づいたのであれば、早めに手続きを始めるようにしましょう。

まとめ

源泉徴収票とは、1年間に支払った給与や報酬と徴収した税金の合計額が記載された書類です。労働者を雇用している個人事業主や企業などには、源泉徴収票を発行する義務があります。年末調整業務後や労働者が退職するときをはじめとし、元従業員から再発行を請求されたときなどに発行しなければいけません。発行義務対象者は、是非、念頭に入れておきましょう。

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