課税所得を正しく理解して納税負担をコントロールしよう! | 税理士コンシェルジュ

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課税所得を正しく理解して納税負担をコントロールしよう!

2020年3月27日
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課税所得

課税所得とは、税金を計算するために欠かせないものです。この金額をベースとして、毎年の所得税などが算出されています。一般的な会社員の場合は、会社側が年末調整をしてくれますが、個人事業主やフリーランスの方や会計担当者などは、課税所得の計算方法についてしっかり理解しておくことは大切です。今回は、課税所得について徹底解説していきます。

課税所得とは?

課税所得とは、年間の収入(売上)から経費などの控除額を引いた金額のことです。簡単に言うなら、税金がかけられる所得とも言えます。課税所得は、所得税を算出するために必要な金額で、それをもとに所得税の金額が決まります。つまり、所得税を算出するためには、課税所得をまず算出しなければいけません。

収入と所得の違い

収入と所得は、全く異なるものです。確定申告をするためには、「収入」「所得」「課税所得」の3つの違いをしっかり理解しておくことは基本です。

・収入
まず収入とは、実際に稼いだ金額のことです。給与をもらっている場合は、給与や賞与、各種手当金などが該当します。また、個人事業主やフリーランスの方の場合、収入は年間の売上や報酬額の合計が収入となります。

・所得
所得は、収入から経費を差引いた金額のことです。経費には人件費、旅行交通費、通信費、備品費などが該当します。例えばフリーランスのカメラマンが、仕事のために購入したカメラや、クライアントと打ち合わせをした際の接待費などは必要経費として計算し、収入から差引いたものが、所得になります。

・課税所得
課税所得とは、所得からさらに控除を差引いたものです。控除には社会保険控除、生命保険控除、扶養控除、基礎控除などが該当します。

所得から差引かれる所得控除とは?

日本の税法には、「公平」「中立」「簡素」の3大原則があるので、税金を公平に計算するために、個人の事情を反映させています。収入金額から必要な経費を差引いただけでは、個人の事情すべてを反映することはできません。

例えば、障害の有無を考慮しないで税金の金額を算出すれば、健常者と障害者は同じ税金を負担することになります。このように個々の状況を配慮したものが、所得から一定の金額を差し引くことを「所得控除」といいます。つまり、所得を算式にすると、「収入-必要経費=所得」となります。そして、所得から所得控除を差引いたものが課税所得になります。算式にすると、「所得-所得控除=課税所得」と表せます。

したがって、課税所得を算出するためには、所得控除について理解しておく必要があります。そもそも、所得控除は、納税者の負担を軽減することを目的としているので、確定申告をするならだれでも控除を適用することが可能です。

所得控除を増やすことが節税対策!

「どうして税金はこんなに高いのだろう」と、だれもが一度は感じたことがあることでしょう。所得税は課税所得によって税率が決まります。そのため、所得が高い人ほど税金が高くなり、所得が低ければ支払う税金も低くなります。しかし、高所得者でも税金を軽減させることが可能です。それは、課税所得を低くし、税率を下げることです。つまり、控除額を多くすればするほど、税金を安くすることができます。

所得税は、課税所得によって税率が決まるので、所得控除を増やすことが節税対策になるのです。所得控除には全部で14種類あり、適用条件を満たしているなら、だれでも受けることが可能です。では、14種類の所得控除をひとつづつみていきましょう。

14種類の所得控除

所得控除は、個人の事情が加味され、所得税から一定の金額が差し引かれることで税金の負担を軽減する制度です。個人的な事情が考慮される様々な所得控除が設けられており、一定の要件に当てはまる場合に適用することができます。同じ年収だとしても、利用できる所得控除が多ければ課税所得に差が出るため、所得税を納める金額を軽減することができます。ですから、利用できる控除を最大限に活用し、納税の負担を軽くしましょう。

基礎控除

基礎控除は、すべての納税者が所得税から一律38万円控除です。しかし、2020年の改正後からは10万円増え、48万円になります。ただし、合計所得税が2,400万円を超える場合は、合計所得金額に応じて控除額が減少されます。

合計所得金額 基礎控除額
2,400万円以下 48万円
2,400~2,450万円 32万円
2,450~2,500万円 16万円
2,500万円以上 基礎控除額0円(適用なし)

配偶者控除

納税者本人に配偶者がいる場合、配偶者控除を受けることができます。ただし、控除対象者の配偶者は、納税者本人と生計を同一し、合計所得金額が38万円以下(令和2年度以降からは48万円以下)である必要があります。なお、次の点が当てはまる方は、配偶者控除の対象外となるので注意が必要です。

・他の納税者の扶養家族とされている配偶者
・青色事業専従者に該当する配偶者で、専従者給与の支払いを受けている配偶者
・白色事業専従者に該当している配偶者
・民法で規定されている配偶者でない人
・合計所得金額が1,000万円を超えている配偶者

なお、控除額は最大38万円ですが、控除対象配偶者が70歳以上の場合は、老人控除対象配偶者の対象となるため、最大48万円の控除を受けることができます。

納税者本人の合計所得金額 控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900~950万円 25万円 32万円
950~1,000万円 13万円 16万円
1,000万円以上 0万円

配偶者特別控除

配偶者特別控除とは、納税者本人の配偶者で同一生計をしており、合計所得金額が38万円以下(令和2年度以降からは48万円以下)を超える場合に適用される控除です。

なお、前述の配偶者控除と配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下の場合のみ受けることができます。

扶養控除

扶養控除とは、納税者本人に控除対象の扶養家族がいる場合に適用される控除です。控除額は、次のように区分されています。

扶養家族 控除額
一般の控除対象扶養親族(16歳以上) 38万円
特定扶養親族(19~22歳) 63万円
老人扶養親族(70歳以上)で同居老親等 58万円(その他48万円)

障害者控除

障害者控除とは、納税者本人、もしくは配偶者控除、扶養控除の対象となる人が障害者の場合に適用される控除です。障害者控除額は1人あたり27万円となっています。しかし、特別障害者の場合は1人あたり40万円、同居特別障害者の場合は1人あたり75万円の控除額が適用されます。

寡婦(寡夫)控除

寡婦(寡夫)控除とは、納税者本人が所得税法上の寡婦、もしくは寡夫の場合に適用される控除です。寡婦と寡夫には、それぞれ次のような要件があります。

・寡婦の場合
1、夫と死別、もしくは離婚をしており、離婚後に婚姻をしておらず、夫の生死が明らかになっていない人
2、総所得金額の合計額が基礎控除38万円(48万円以下)で、扶養親族か生計を同一にする子どもがいる人
3、総所得金額の合計金額が、500万円以下の人

・寡夫の場合
1、妻と死別、もしくは離婚をしており、離婚後に婚姻をしておらず、妻の生死が明らかになっていない人
2、総所得金額の合計額が基礎控除38万円(48万円以下)で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっておらず。生計を同一している子どもがいる人
3、総所得金額の合計金額が、500万円以下の人

なお、控除額は27万円となっています。ただし、寡婦で上記3つの条件をすべて満たしている場合は35万円の控除額が適用されます。

勤労学生控除

勤労学生控除とは、納税者本人が勤労学生の場合に適用される控除です。ただし、特定の学校の生徒や学生で、勤労による所得を得ていることが適用要件となっています。なお、控除額は27万円となっています。給与所得控除や基礎控除と合わせるなら、最大130万円まで控除が適用されます。

雑損控除

雑損控除とは、納税者本人、もしくは納税者本人と同一生計の配偶者や親族で、1年間の総所得金額の基礎控除額が38万円以下(令和2年度以降からは48万円以下)の人が、損害を受けたときに適用される控除です。損害とは、所有している家屋や家具、現金などの生活に必要不可欠な資産が、自然災害や盗難、横領などで損害を被ることです。損害額が一定の金額を超えた場合に雑損控除の対象となります。控除額は、次の2つのうち、金額の大きいほうが適用されます。

1、「(損失額-保険金などで補てんされる金額)-総所得金額の合計×10%」の計算式で算出される金額
2、損失金額のうち、災害関連支出の金額-5万円

医療費控除

医療費控除とは、納税者本人とその家族が、ケガや病気、入院などで一定の金額以上支払った場合に適用される控除です。ただし、支払った金額すべてが医療費控除の対象となるわけではありません。次のものは医療費控除の対象外となります。

・人間ドックの費用
・病気予防や健康促進など医薬品や健康食品
・親族に支払う介護や世話代などの費用
・メガネや補聴器などの費用
・美容のために歯科矯正など歯の治療
・通院のためのガソリン代や駐車料金など
・介護予防福祉用具のレンタル料や購入費

医療費控除額は、次の2つのうち、少ない金額が適用されます。
1「(支払った医療費-保険金など)-10万円」
2、「総所得金額の合計額×5%」

社会保険料控除

社会保険料控除とは、納税者本人、もしくは同一生計の親族の健康保険料、国民年金、厚生年金保険料、公務員共済組合掛金などの社会保険料を支払った場合に適用される控除です。支払った金額すべて、つまり全額を控除することができます。未払いの保険料は控除することは不可能ですが、前納保険料(1年以内のもの)は控除することができます。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、小規模企業共済掛金、心身障害者扶養共済組合掛金、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金を支払っている場合に適用される控除です。支払った掛金の全額を所得金額から控除することができますが、未払いの保険料は対象外となります。なお、小規模企業共済等掛金控除を受けるためには、確定申告をする際に、掛金を支払ったことを証明する書類を添付する必要があります。

生命保険料控除

生命保険料控除とは、納税者本人や親族が受取りとなっている生命保険の契約保険料を支払った場合に適用される控除です。生命保険料控除の対象となる保険料は、次の3種類となっています。

・一般の生命保険契約などで支払いをした保険料
・介護医療保険契約などで支払いをした保険料
・個人年金保険契約などで支払いをした保険料

なお、控除額は、平成23年12月31日までに締結した「旧契約」と、平成24年1月1日以降に締結した「新契約」の2つの大きく区分されています。旧契約の場合は、3種類の保険の控除額は、それぞれ最高限度額が5万円で、合計最大10万円まで控除が適用されます。新契約の場合は、それぞれ最高限度額が4万円までで、合計最大12万円まで控除が適用されます。

生命保険料控除を受けるためには、確定申告をする際に各保険会社が発行する「払込保険料証明書」もしくは「支払保険料証明書」を添付する必要があります。しかし、一般的な給与所得者の場合は、事業主が年末調整をするので確定申告は不要ですが、事業主に書類を提出する必要があります。

地震保険料控除

地震保険料控除とは、納税者本人や同一生計をしている親族が所有している家屋などが、地震や地震が要因となっている火災などの保険や共済を目的とした地震保険契約で保険料金を支払っている場合に適用される控除です。控除額は、支払った金額によって異なりますが、最大5万円までとなっています。

なお、控除額は、「控除の対象となる地震保険料控除=支払った保険料額×(居住用床面積÷家屋の総床面積)」という計算式で算出することができます。

寄付金控除

寄付金控除とは、納税者本人が国や地方公共団体などに対して「特定寄附金」を支出したときに適用される控除です。これには「ふるさと納税」も含まれます。

まとめ

課税所得に所得税率をかけて算出した所得税から、様々な控除が差し引かれます。つまり、課税所得によって税率と控除額が変わってくるということです。そのため、同じ収入だとしても納める税金が異なってきます。これから起業を検討している方や個人事業主として事業をはじめたばかりの方などは、これから毎年、確定申告をする必要があります。その際、必ず課税所得や経費は必要になってきます。

所得税を抑えるためには、必要経費をいかに収入から差引きできるかにかかっています。ですから、必要経費をはじめとし、自分に適用できる控除は上手に活用し、確定申告をすることで上手に税金をコントロールしていきましょう。


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