2020年6月22日

復興特別所得税はどんな税金?用途や税率、計算方法などの基礎知識

2013年から給与所得に「復興特別所得税」が課せられていることをご存知でしたか?給与明細書などで名前は知っていたとしても、その用途や税率などの詳細について詳しく知らない方も少なくありません。この記事では、復興特別所得税を納めている給与所得者はもちろん、経理担当者も知っておくべき復興特別所得税の基礎知識について詳しく解説していきます。

復興特別所得税とは?

「復興特別所得税」とは、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するために創設された新しい税金です。源泉徴収義務者が、給与所得や退職所得などを対象として課し、復興特別所得税を徴収します。復興特別所得税は個人に係る税金ですが、それに加え、現在ではすでに廃止されていますが、法人に係る「復興特別法人税」も創設されました。

復興特別所得税は、所得税法で規定されている源泉徴収の対象となる所得と同一の種類です。給与所得をはじめとし、退職手当等、利子及び配当等、公的年金等、報酬・料金等を対象に課せられる所得です。また、租税特別措置法に基づき所得に課せられる所得税も、復興特別所得税の対象にふくまれています。

復興特別所得税が導入された理由

復興特別所得税が導入されたのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興のための施策を実施するためです。2011年12月2日に「東日本被災地からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が公布され、2013年1月1日から施行されています。復興特別所得税と復興特別法人税は、特別措置法の第7条で「東日本大震災の復旧と復興事業の財源に充てる・・」よう定められています。

復興特別所得税の用途

では、復興特別法人税は、具体的にどのような用途で使われているのでしょうか?主に4つの分野に大きく分類し充てられています。それは、①被災者の支援、②住宅再建やまちづくりの復興、③産業や生業(なりわい)の再生、④原子力災害からの復興や再生です。

①被災者の支援
被災者の生活再建への支援など

②住宅再建やまちづくりの復興
復興道路などの社会インフラ設備など

③産業や生業の再生、
観光復興や水産業の販路開拓支援など

④原子力災害からの復興や再生
避難指示が解除された区域での生活支援など

納付義務のある人

復興特別所得税は、すべての納税者に支払う義務が課せられています。一般的な会社員などの給与所得者は、源泉所得税に復興特別所得税額も含まれ、毎月の給与から徴収されています。また、個人事業主など個人で所得税を納める義務が課せられている人は、確定申告の時に所得税と復興特別所得税の両方を合わせて申告、また納税する必要があります。

復興特別所得税を源泉徴収している源泉徴収義務者は、給与や賞与を支払う時に所得税と復興所得税を徴収し、それを法定期限までに納付する必要があります。

復興特別所得税の実施期間

復興特別所得税は、「特別」とあるように一定期間存在する期間限定の税金です。実施期間は、2013年から2037年12月31日までの25年間となっています。この期間中は、すべての納税者が各年度の所得税に2.1%乗じた金額を、所得税と一緒に納税する義務が課せられています。

復興特別所得税額の計算方法

基準所得税額

個人の基準所得税額は、居住者と非居住者で区分されており、次のようになっています。

・居住者の場合
非永住者以外の居住者:すべての所得に対する所得税額
非永住者:国内源泉徴収及び国外源泉所得のうち国内払のもの又は国内に送金された金額に対する所得税額

・非居住者の場合
国内源泉所得に対する所得税額

つまり、日本に住所がある方であれが、すべての所得に対する所得税額が「基準所得税額」になるということです。

課税標準

復興特別所得税額の課税標準は、その年分基準所得税額となっています。

復興特別所得税額の税率と計算式

復興特別所得税の税額は、源泉徴収の対象となる所得税金額の2.1%と規定されています。「所得税額」であって「所得」ではありません。したがって、復興特別所得税は「所得税額×2.1%=復興特別所得税」という計算式で求めることができます。しかし、復興特別所得税は、同じく源泉徴収される所得税と合わせて納付するのが一般的です。そのため、「合計税率」として税率を算出する計算式でも復興特別所得税を求めていくことも可能です。

合計税率を用いる場合は、「支払い金額等×合計税率(%)=源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額」という計算式で求めます。この計算式の合計税率は、「所得税率(%)×102.1%=所得税と復興特別所得税の合計税率」という計算式で算出します。

なお、所得税率に応じた合計税率(所得税率(%)×102.1%)は、国税庁の公式サイトによると次のようになっています。

・所得税率5%:合計税率5.105%
・所得税率7%:合計税率7.147%
・所得税率10%:合計税率10.21%
・所得税率15%:合計税率15.315%
・所得税率16%:合計税率16.336%
・所得税率18%:合計税率18.378%
・所得税率20%:合計税率20.42%

復興特別所得税額の納付方法と納付期限

事業所は、従業員の給与から源泉徴収した所得税と復興特別所得税の合計額を、指定された納付期限までに納付する必要があります。管轄地区の税務署の窓口、もしくは最寄りの金融機関の窓口にて納めることができます。なお、納付期限は、給与などを支払った日の翌月10日までとなっています。

ただし、納付期限の特例が適用される事業所の場合は、復興特別所得税を半年分まとめて納付することが認められています。つまり、1月~6月までの半年分は7月10日、7月~12月の半年分は1月20日までに納付することになっています。

復興特別所得税の「予定納税」とは?

復興特別所得税の「予定納税」とは、その年の所得税と復興特別所得税の一部をあらかじめ納付することができる制度です。その年の5月15日時点で確定している前年分の所得金額や税額などをもととした予定納税基準額が15万円以上の場合に、この制度を利用することができます。ただし、この制度は任意で選択できるものではありません。つまり、税務署から予定納税で納めるよう連絡を受けた方のみが、予定納税で納める義務が課せられることになります。

予定納税基準額の計算方法について

予定納税基準額は、前年分の納税額がそのまま予定納税基準額になります。ただし、すべての人に適用するものではなく、以下の要件に該当する人に適用されます。

・前年分の所得金額に、山林所得、退職所得、譲渡所得、一時所得、雑所得、平均課税を受けた臨時所得など各種所得が含まれていないこと。

・前年分の所得税に災害減免法の規定を適用していないこと。(なお、災害減免法とは、災害の被害を受けたときに所得税が軽減される制度のことです)

上記の2つの要件に該当し、予定納税基準額が15万円以上になる場合は、予定納税が適用されます。管轄地区の税務署長からその年の6月15日までに予定納税額の通知が書面にて送付されます。また注意すべきこととして、2037年までの各年分の予定納税基準額は、所得税及び復興特別所得税の合計額で求めることになっています。

予定納税額の納付方法

予定納税額には、3つの納付方法が用意されています。現金での納付、振替納付、電子納税の3つです。それぞれの方法について詳しくみていきましょう。

①現金で納付する場合
予定納税額を現金で納付する場合は、納付書を添えて、金融機関もしくは管轄地区の納税窓口で納付します。なお、納付書は、税務署もしくは管轄地区の税務署管内にある金融機関で入手することができます。

②振替納付する場合
予定納税額は、指定した金融機関の預貯金口座から振替納税することもできます。振替納税は復興特別所得税だけでなく、所得税や地方消費税などの納付も可能です。振替納税を利用するなら、預貯金口座残高を前もって確認しておくだけで、金融機関にわざわざ出向かなくても自動的に振替納付できるので便利です。なお、振替納付を利用する場合は、事前に口座振替依頼書を提出しておく必要があります。

③電子納付する場合
電子納税は、場所や時間を問わず、どこでも国税の納付手続きが可能となる方法です。ダイレクト納付やインターネットバイキングなどを利用して、納税することができます。なお、電子納付をする際には、事前に「開始届出書」を提出する必要があります。ダイレクト納付の場合はそれに加えて、「ダイレクト納付利用届出書」の提出も必要です。

復興特別所得税の確定申告

一般的な会社員などの給与所得者は、会社側で所得税と復興特別所得税などの税金類を毎月の給与から徴収し、年末調整で適性な税額を精算してくれるため、確定申告をする必要はありません。しかし、個人事業主やフリーランスの型などは、確定申告をする必要があります。現在の確定申告書には、復興特別所得税を記入する欄も設けられていますが、旧式の確定申告書には復興特別所得税の欄はありません。ですから、確定申告書を作成する際には、記入忘れのないように気を付けましょう。

また、確定申告で納税する必要がある場合は、確定申告書の提出だけでなく、復興特別所得税の納税も忘れず行いましょう。

復興特別所得税の還付

源泉徴収された復興特別所得税や予定納税をした税金を多く納め過ぎている場合は、払い過ぎた分が還付されます。還付金を受け取るためには、還付申告をする必要があります。

まとめ

復興特別所得税は、2037年までの期間限定の税金です。一定の所得を得ている方であれば、すべての方に納付の義務があります。また、予定納税が適用される方は、予定納税をする必要があります。さらに確定申告書を作成する際には、復興特別所得税の欄も忘れずに記載するようにしましょう。

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