【支払猶予も?】社会保険と雇用保険の基本 | 税理士コンシェルジュ

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【支払猶予も?】社会保険と雇用保険の基本

2020年3月28日
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社会保険
企業を支える部門のひとつに、「人事部」「総務部」があります。そこでは「人事労務」が行われていますが、具体的に何をしているかはわからないという方も多いのではないでしょうか?

企業内の従業員の雇用や離職、また働き方の管理まではイメージできても、具体的にはわからないという方も少なくありません。しかし、この「人事労務」を具体的に把握しておくことは、事業を円滑に進めていくために非常に大切です。

なかでも、「社会保険」と「雇用保険」の理解は、企業にとって必須です。これらの保険は会社が負担する部分があり、金額もそれなりのものになります。また、加入しなくてはいけないのに加入していなければ法令違反となります。

「人事労務」の仕事とは? 「社会保険」「雇用保険」って?

人事労務は、「人事」と「労務」に仕事が大きく分かれています。「人事」とは、採用・教育・評価など「社員個人」を対象とした業務のことです。

一方、「労務」とは、採用した人の給与計算・社会保険の手続き・交通費の計算・入社や退職手続きなど「会社全体」を対象とした主に事務的な業務のことです。

このように分かれているため「人事部」「総務部」などと、それぞれに担当部署を分けている会社もあれば、会社の規模があまり大きくない場合は、複数人あるいは一人でこれらの業務をこなすことも珍しくありません。

いずれにしても、人事労務は、会社を運営するうえで欠かすことができない業務です。社員一人ひとりが円滑に働けるように会社のために組織づくりをしています。

特に、経営面においては「社会保険」「雇用保険」の保険料についてが気になるところではないでしょうか。そこで、この記事では、人事労務の仕事のひとつである「社会保険」にスポットをあて、また、社会保険と雇用保険の違いについて解説していきます。

「雇用保険」は「社会保険」に含まれる保険の1つ

「社会保険」には、いくつかの保険の種類が含まれています。具体的には、健康保険・介護保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険が含まれており、その総称が「社会保険」です。

つまり「雇用保険」は社会保険と同様、両者とも従業員の生活の一部を保証する社会保障制度のひとつです。しかし、それぞれには違いや特徴があります。これらをよく把握しておき、加入や受給のとき、また負担額の把握に役立ちます。

「社会保険」とは?

「社会保険」とは、国民が老後まで安心して生活するための社会保障制度です。社会保険は、次の5つの保険をまとめた総称です。

①健康保険
「健康保険」は会社などの事業主が、従業員やその家族が病気やケガ、出産などでかった医療費用を一部負担してくれる保険です。

②介護保険
「介護保険」は、40歳からの加入が国民全員に義務付けられています。介護が必要になったとき、要介護度に応じた医療や福祉サービスの費用の一部を負担してくれる保険です。

③厚生年金保険
高齢(65歳以上を対象)になったときの老齢年金・障害が認められた場合の障害年金・被保険者が亡くなった場合の遺族年金など、条件を満たすことで受けられる保険です。

④労災保険
業務中や通勤中のケガや病気・療養が必要になったときや障害が残ったとき、死亡したときなどに給付される保険です。

⑤雇用保険
従業員が失業したときの生活維持や、再就職のために給付される保険です。

これら5つの保険が、まとめて「社会保険」と呼ばれています。もしくは、健康保険・介護保険・厚生年金保険の3つを「社会保険」・残りの労災保険と雇用保険を「労働保険」と分けて呼ぶ企業もあります。

すべての名称に「保険」とついているためややこしいですが、いずれにせよ、雇用保険は社会保険のひとつであり、異なる保険であることには違いはありません。

「社会保険」と「雇用保険」の違いとは?

社会保険には5つの種類がありますが、そのうち健康保険・介護保険・年金保険はすべての国民に適用されるものです。

一方、労災保険と雇用保険は、原則として会社や企業などに雇われている被雇用者を対象としています。そのため、労働保険とも呼ばれています。

ここでは、健康保険・介護保険・厚生年金保険を「社会保険」として、「雇用保険」との違いについて解説していきます。

社会保険の加入手続きとは?

まず、すべての国民に適用される社会保険は、事業主か被雇用者か、または被扶養者かなど個々の立場によって加入手続きが異なってきます。

従業員や、法人事業主などの場合、すべて勤務先で社会保険の加入手続きが行われます。健康保険や介護保険などは健康保険組合へ、厚生年金は管轄地区の年金事務所へ、労災保険は労働基準監督署へ、雇用保険は管轄地区のハローワークへとその種類に従って加入手続きが行われます。

従業員の被扶養者は、加入時に必要事項を記入すると従業員とともに加入したことになるため、個人で手続きをする必要はありません。

「社会保険」の加入条件とは?

1、事業所に対する社会保険の加入条件
社会保険について考える際には、会社が適用事業所であるか否かの確認が必要です。適用事業所とは、事業主や従業員の意思に関係なく、健康保険・厚生年金保険への加入が定められている事業所のことです。

つまり、適用事業所であれば「保険料の負担が大きいから、うちは社会保険に加入しない」と会社側が考えたとしても、「私は社会保険料を払いたくないから、加入を希望しません」と従業員が要望したとしても、加入義務がある以上、社会保険には入らなければいけません。

法律では、社会保険加入が義務付けられている「強制適用事業所」と、強制適用事業者以外の「任意適用事業所」の2つに大きく分類されています。

まず、法人事業所であれば従業員数や業種などは不問で適用されます。つまり、法人事業所はすべて強制適用事業所に該当します。一方、個人事業の場合は、従業員数や業種などによって強制適用事業所か任意適用事業所に分類されます。

2、社会保険加入者対象の条件
個々の従業員の社会保険の加入条件は、勤務時間・勤務日数・雇用期間・企業規模などによって加入対象者かどうかが変わってきますが、主に2つの条件を満たす必要があります。

それは①雇用の見込みが2ヶ月以上あること、②正社員の4分の3以上の労働時間があることが対象者には求められています。つまり、社会保険に加入できるのは、適用事業者の正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマーでも条件を満たしているなら加入対象となります。

なお、正社員とパートタイマーの違いや、労働時間・労動期間の違いなどによって取扱いが異なるため、各省庁の情報を参考にすることをお薦めします。特に平成28年10月以降からの社会保険加入対象が拡大されていることへの対応は、改めて確認しておくとよいでしょう。

参考:
・厚生労働省 平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)
・政府広報オンライン パート・アルバイトの皆さん社会保険の加入対象が広がっています。

雇用保険の加入手続きとは?

新規に雇用保険に加入する事業所は、まず労働保険の「保険関係成立届」という書類を労働基準監督署に提出し、その後、雇用保険に加入するための手続きをハローワークで行います。

一方、すでに雇用保険に加入している事業所が、事業所の所在地や名称を変更した場合などには、その旨を「雇用保険事業主事業所各種変更届」に記入し、ハローワークに提出する必要があります。

雇用保険の加入条件とは?

1、事業所に対する加入条件
従業員をひとりでも雇っている事業所は、雇用保険法に基づき、雇用保険適用事業所として扱われます。そのため、事業所は、雇用保険加入条件を満たす従業員を必ず雇用保険に加入させることが求められています。

2、雇用保険加入対象者の条件
(正社員の場合)
雇用保険適用事業所で働く正規雇用者(いわゆる正社員)は、雇用保険に加入することが義務付けられています。

(パート・アルバイト・派遣社員の場合)
非正規雇用者(パートやアルバイト、派遣社員など)は、週の所定労働時間が20時間以上で、継続して31日以上雇用される見込みがあるなら雇用保険加入対象者に該当します。

(季節労働者の場合)
季節に左右される季節労働者の場合、1年のうち4か月以上雇用契約を結び、週の所定労働時間が30時間以上の人は「短期雇用特例被保険者」と呼ばれる雇用保険の対象者になります。短期雇用特例被保険者が失業した場合は、基本手当ではなく「特例一時金」と呼ばれる給付金が失業手当のかわりに受け取れます。

(日雇労働者の場合)
1日単位の単発の仕事をしている人や、雇用期間が30日以内の人が、雇用保険適用事業所に雇用された場合は、加入条件が満たされているので手続きを行うだけで「日雇労働被保険者」になります。

こうした定めにしたがい、事業所は雇用保険に対して適切な取扱いをしなくてはなりません。また、従業員としては、自分の雇用主が雇用保険の加入手続を適切に行っているかを確認することもできます。

参考:
厚生労働省 雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!

「社会保険」「雇用保険」の違いの理解は大切

社会保険は、国民が安心して生活していくための、社会保障制度のひとつです。なかでも、健康保険・介護保険・厚生年金保険などは、病気やケガ、入院、高齢化など誰もが生じうることに対する生活を保障した保険で、すべての国民が加入することが義務付けられています。

一方、雇用保険は、雇用される人のための保険です。雇用される側はもちろん、雇用する事業所も負担するシステムとなっています。

社会保険と雇用保険では目的をはじめとし、加入手続きや加入条件も異なっているので、改めてその違いを確認しておくとよいでしょう。また、保険料の負担が少しずつ大きくなっていることにも注目です。

消費税増税による国民生活への負担が話題になっていますが、社会保険料についても同様です。社会保険料は企業と被雇用者双方に負担がかかるものです。特に、近年は社会保険料の負担増大と督促の厳しさが注目されています。

延納すると延滞金の発生はもちろん、金融機関等からの信用問題にも関わります。今後融資を受けたい場合などに判断材料の一つとなるでしょう。また、延納するためにも計画書の提出が求められたり、延納が続くと差し押さえがなされる場合もあります。

支払い免除、猶予などの検討も。社会保険取扱いの動向に注目

なお、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、社会保険料などの免除や、社会保険料率の一時的な引き下げにより保険料負担の軽減、納付期限の延長措置などを講じることを要望する声も大きく、政府としても対応が検討されています。

収入が急減した企業などを対象として、税金と社会保険料の支払いを1年間猶予する特例制度の創設の検討が報道されましたが、事態の進行も報道内容も非常に流動的なので注意が必要です

参考:日本商工会議所新型コロナウイルスの感染症の影響により保険料の納付が困難となった場合の免除および猶予制度等について(日本年金機構・厚生労働省)


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