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【年金受給者必見】年金確定申告が必要なケースと不要なケースを徹底解説!

2020年3月26日
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年金確定申告

今までは会社が年末調整をしてくれていたので確定申告が不要だった方も、公的年金等を受け取るようになると、どのような場合に確定申告が必要になるのかを知りたい方も多いことでしょう。この記事では、公的年金等を受け取る場合、確定申告が必要なケースと不要なケースをはじめとし、「年金受給者の確定申告不要制度」について分かりやすく解説していきます。

年金は所得税の対象

60歳以上に支給される「老齢年金」は、税法上では「雑所得」になるため、税金が徴収されています。しかし、年金支給時にはすでに所得税が天引きされているので、所得税が差し引かれていることを意識していない方は少なくありません。

では、すでに所得税が徴収されているなら、確定申告は不要なのでしょうか?いいえ、年金受給者でも確定申告が必要な方はいます。では、どのような場合に必要になるのかみてみましょう。

年金確定申告が必要なケース

年金受給者で年金確定申告が必要になるのは、次のようなケースに該当する方です。年金確定申告をすることで、税金が戻ってくる可能性があります。

ケース1:公的年金などの収入の合計金額が、400万円以上ある場合
公的年金や個人年金など、2ヵ所以上からの収入の合計金額が400万円以上あるなら、確定申告が必要となります。

ケース2:公的年金を含む雑所得以外の所得が、20万円以上ある場合
公的年金以外の雑所得が20万超えをしているなら、確定申告が必要となります。

ケース3:年間一定額以上の医療費を支払った場合
医療費控除は、確定申告をしなければ控除を受けることができません。医療費控除は一般的に、年間の一定額以上の医療費とは、10万円以上の支払いをしたときに対象となります。

しかし、所得金額が少ない年間所得が200万円以下の場合は、所得5%以上、つまり、「(所得金額+申告分離課税の所得)×0.05」よりも金額が多ければ、10万円以上の支払いをしていなくても、医療費控除の対象となります。

ケース4:マイホームを住宅ローンなどで購入やリフォームした場合
住宅ローン控除は、新築の購入だけでなく、バリアフリー改修工事や耐震工事などのリフォーム工事にも適用されます。また、住宅ローンの借り換えや、離婚に伴う財産分与なども対象になるケースがあります。

控除額は、年末の住宅ローンの残高の1%分(特定増改築などの場合は残高の2%分)となっています。また、控除期間は10年、特定増改築などの場合は5年間と期間が決まっています。

ケース5:社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除などの控除を受ける場合
年金から特別徴収されている保険料は、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の3種類です。これらの保険料以外の社会保険料を支払っている場合は、社会保険料控除を受けることができます。

ケース6:ふるさと納税などの寄附金控除などを受ける場合
ふるさと納税(都道府県や市区町村への寄付金)や公的社団法人、公益財団法人、認定NPO法人等に対して寄付をした場合は、寄付金控除の対象になります。確定申告をすることで寄付金控除が適用されます。

ケース7:災害や盗難に遭い、雑損控除を受ける場合
災害や盗難、横領などの損害を被ったときは、雑損控除が適用されます。損失額が大きく、その年にすべて控除することができない場合は、翌年以降に繰り越すことが可能です。なお、詐欺は雑損控除の対象外となります。また、雑損控除を受ける場合が、確定申告をする際に「罹災証明」や「盗難届」などの書類を提出する必要があります。

ケース8:家族構成が変わった場合
例えば、子どもが独立などした場合、扶養する家族の人数が変わるので「扶養控除」に影響が出ます。また、夫婦の死別や離婚などの場合は、一定要件を満たしているなら「寡婦控除」や「寡夫控除」の対象になることがあります。

年金確定申告が不必要なケース

年金受給者で年金確定申告が不必要になるのは、次のようなケースに該当する方です。

ケース1:公的年金等の収入の合計金額が、400万円以下の場合
ケース2:公的年金を含む雑所得以外の所得が、20万円以下の場合

つまり、年金だけで生活している方のほとんどは、年金確定申告をする必要がありません。

年金受給額で確定申告の有無を判断する

老齢年金、老齢厚生年金、企業年金などの公的な老齢年金は、雑所得に該当します。そのため、公的年金の収入金額が、「公的年金等控除+基礎控除」の合計額を上回っている場合は、確定申告の対象となります。

なお、公的年金等控除とは、公的年金の金額に応じて決まっている控除額のことです。公的年金等の控除額と公的年金等に係る雑所得の計算方法は、次のようになっています。

公的年金等の控除額と公的年金等に係る雑所得の計算方法

公的年金等の収入 65歳未満 65歳以上
控除額 計算式 控除額 計算式
130万円未満 700,000円 収入金額-700,000円(マイナスの場合は0円) 1,200,000円 収入金額-1,200,000円(マイナスの場合は0)
130万~410万円 収入金額×0.25+375,000円 収入金額×0.75-375,000円 収入金額×0.25+375,000円 収入金額×0.75-375,000円
410万~770万円 収入金額×0.15+785,000円 収入金額×0.85-785,000円 収入金額×0.15+785,000円 収入金額×0.85-785,000円
770万円以上 収入金額×0.05+1,555,000円 収入金額×0.95-1,555,000円 収入金額×0.05+1,555,000円 収入金額×0.95-1,555,000円

確定申告有無の境界線

公的年金の場合は、「公的年金等控除の最小額+基礎控除38万円」で算出した額が、課税と非課税の境界線、つまり、確定申告の有無の境界線になります。これは給与所得控除と同じ条件となっています。65歳未満の場合は公的年金の収入が108万円(70万円+38万円)、65歳以上の場合は公的年金の収入が158万円(120万円+38万円)が、確定申告が必要、もしくは不要を判断する境界線となります。

年金取得者の「確定申告不要制度」とは?

すでにみてきたように、年金には「公的年金等」と「公的年金等に係る雑所得以外の所得」の2種類に大きく分類することができます。具体的には次のように分類されています。

・公的年金等
国民年金、厚生年金、確定給付企業年金、確定拠出企業年金(確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金)、老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金、恩給など

・公的年金等以外
個人年金保険契約、生命共済契約等に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など

この2種類の年金のうち、「公的年金等」は「年金所得者の確定申告不要制度」の対象になることがあります。では、年金所得者の確定申告不要制度とは、どのような制度なのでしょうか?これは、公的年金等の収入金額が400万円以下で、公的年金等以外の所得金額が20万円以下の2つ該当する場合に、確定申告書の提出が不要になる制度のことです。

条件1:公的年金等の収入金額が400万円以下であること
公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下で、すべてが源泉徴収の対象になっている必要があります。

条件2:公的年金等以外の所得金額が20万円以下であること
公的年金等以外の所得金額の合計額が、20万円以下でなければいけません。年金を受給しながらアルバイトをしている人、株などの投資で収益を得ている人、家賃収入などの不動産収益を得ている人、生命保険の個人年金を受け取っている人などは注意が必要です。

年金所得者の確定申告不要制度が適用できるか判断する方法

では、自分の確定申告書は、年金所得者の確定申告不要制度に適用できるかどうかを確認する方法をみていきましょう。

ステップ1:公的年金等の源泉徴収票に記載されている「収入金額」を「支払金額」で確認する。

毎年1~2月になると、日本年金機構や企業年金などから年金受給者あてに、「令和○○年分公的年金等の源泉徴収票」という書類が送付されます。公的年金等の源泉徴収票の支払い金額が、400万円以下かどうか確認しましょう。

企業年金など公的年金等の源泉徴収票が複数ある場合は、すべての源泉徴収票の支払い金額欄の金額を合計し、その合計金額が400万円以下かどうかを確認します。

ステップ2:公的年金等以外に所得がある場合は、「収入金額」から経費などを差し引いた「所得金額」が20万円以下かどうかを確認する。

続いて、公的年金等以外の収入を確認します。公的年金等以外の所得とは、給与所得、個人年金などの雑所得、株の配当金などの配当所得、不動産所得、株や不動産などの譲渡所得、生命保険の満期金などの一時所得などが該当します。所得の種類ごとに所得金額を計算し、合計金額を算出します。

ステップ3:公的年金等の源泉徴収票やそれ以外の所得で源泉徴収税額がない場合は、確定申告は不要。

ステップ1とステップ2の両方が該当すれば、年金所得者の確定申告不要制度の対象者に該当するので確定申告は不要となります。

年金受給者の確定申告

対象者

年金取得者の確定申告不要制度が適用される公的年金等の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下の方でも、還付を受ける場合は、確定申告をする必要があります。また、受給している年金がすべて個人年金の方も、年金所得を含めたすべての所得を合算した確定申告をすることが求められています。

さらに、源泉徴収があり、社会保険料控除、生命保険料控除、住宅ローン控除、医療費控除などの各種控除を受ける方も、還付を受けるためには確定申告をする必要があります。

必要な書類

年金受給者の確定申告で必要となる書類は、次のようなものです。

・確定申告書様式A、もしくはB(第一表・第二表)
・公的年金等の源泉徴収票
・個人年金の支払い通知(年金支払い証明書など)
・受けたい控除の証明書や明細書

確定申告の期間

確定申告の時期は、毎年2月16日~3月15日(休日の場合はその翌日)までとなっています。しかし、令和元年分の確定申告は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止から申告期限と納付期限が延長され、4月16日(木)までとなっています。

提出期限以内に確定申告をしない場合は、期限後申告とみなされ、無申告加算や延滞税の対象となりますので注意してください。

年金受給者の方は、まず自分が「年金所得者の確定申告不要制度」の対象かどうかを判断し、もし対象外であるなら、早めに確定申告をするようにしましょう。

確定申告書の書き方

確定申告書には申告書Aと申告書Bの2種類あります。申告する所得が公的年金等の場合は申告書A、所得の種類に関係なく誰でも使用できるのが申告書Bとなっています。ここでは、確定申告書Aを使い、個人年金と公的年金を受給しているケースを解説していきます。

ステップ1:第二表の作成

まず、公的年金等の源泉徴収票、個人年金の支払い通知(支払調書)、保険料控除証明書をもとに第二表の記入から始めます。

・住所と名前
住所、氏名、フリガナを記入します。

・所得の内訳
すべての所得の内訳を記入します。つまり、公的年金と個人年金の収入金額を記入していきます。一番左側の「所得の種類」という欄には、雑収入なので「雑」と記入します。そして、その右隣には厚生労働省や保険会社など年金の支払元を記入します。その横の欄には、公的年金等の源泉徴収票や個人年金の支払い通知をもとに、年間に支払った金額を転記します。最後の一番右側の欄は、源泉徴収票額を転記し、合計金額も記入します。

・雑所得
個人年金を受け取っている場合は、雑所得の項目も記入します。一番左側は所得の内訳同様、「雑」と記入します。「種目・所得の生ずる場所」という欄には、保険会社の名前、「収入金額」は「個人年金の支払通知」から転記します。「必要経費等」という欄には、年金の支払金額に対応する保険料、もしくは掛金額を「公的年金の支払通知」をもとに転記します。

・住民税に関する事項
配偶者と16歳未満の扶養家族がいる場合は、個人情報を記入します。

・社会保険料控除
社会保険料として支払った金額とその合計金額を記載します。介護保険料や国民健康保険料なども記入します。

・生命保険料控除
加入している「保険料控除証明書」をもとに、支払った金額を転記します。生命保険は新契約と旧契約に分けて記載してください。

・地震保険料控除
地震保険料に加入している場合は、「保険料控除証明書」をもとに、支払った金額を転記します。

・配偶者控除もしくは配偶者特別控除
配偶者の氏名、生年月日、マイナンバーなどの個人情報を記入します。

・扶養控除
扶養控除がいる場合は、個人情報を記入します。

・扶養控除額の合計
配偶者控除(特別控除)と扶養控除の合計控除額を記入します。

ステップ2:第一表の作成

第二表が完成したら、続いて第一表を記載してします。

・個人情報
上の欄は、住所、氏名、フリガナ、マイナンバー、性別、世帯主の氏名、世帯主との続柄、生年月日、電話番号などの個人情報を記入します。そして、捺印をします。

・収入金額等
緑色をしている収入金額等の欄には、すべての収入金額を記入します。㋑に公的年金の金額、㋒に個人年金の金額を記入します。第二表同様、公的年金の源泉徴収票と個人年金の支払通知をもとに転記します。

・所得金額
水色の欄には、公的年金と個人年金の所得金額を記入します。その後、合計金額を記入します。

・所得から差し引かれる金額
赤の欄には、所得控除の金額を記入していきます。第二表ですでに計算しているので、それを転記します。

・税金の計算
青の欄には、課税所得金額を記入します。

まとめ

年金受給者の方の中には、「確定申告不要制度」に該当する方もいます。その場合、確定申告をする必要はありません。一方、確定申告をすることで還付金を受けることができる年金受給者の方もいます。ですから、「年金収入だけなので、自分は確定申告は関係ない・・」と思われている方も、一度、ご自身の所得金額を見直してみられることをおすすめします。


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