2020年5月23日

「支払い証明書」とは?正しい書き方などビジネスに欠かせない基礎知識

ビジネスを行う際、取引によって支払い義務が確定したときに作成する「支払証明書」は重要な書類のひとつです。支払い証明書の発行は義務づけられてはいませんが、会計処理をする際に必要となることがあります。では、どのようなときに支払証明書の作成が必要になるのでしょうか?どのように書けばよいのでしょうか?

この記事では、経営者や経理担当者がとして知っておくべき支払証明書の正しい書き方やその基礎知識について解説していきます。

支払証明書とは?

支払証明書とは、領収書が発行されないものに対して、お金の支払いが確定した取引に対して発行する重要な書類です。ビジネス上の取引をはじめとし、私たちの生活のさまざまシーンで利用されています。特に法人や個人事業主など事業を運営している場合は、業績を出して経営状況を把握するために、会計処理をしなけれないけません。

その際には、経理担当者がたとえ少額だとしても入出金の状況を把握するために、お金の動きが分かる領収書などの会計証票となる書類を回収、計上、保管をしています。しかし、業務にかかわることで経費として計上したい支払いがあったとしても、領収書が交付されない支払いもあります。それには、次のようなシーンが挙げられます。

・電車やバスに乗ったときに支払った交通費
・会議や打ち合わせなどのときに、自動販売機で取引先に提供した飲み物代
・カフェ店などでの打ち合わせで割り勘で支払うことになった飲み物代
・営業をするにあたり情報収集や確認をするために売店などで購入した新聞や雑誌の費用
・取引先へのご祝儀や香典などの慶弔関係の費用

このような支払いの場合は、領収書が交付されないことがあります。そこで、支払い証明書が必要となります。では、そもそも領収書とは何でしょうか?

領収書と支払証明書との違いとは?

領収書とは、代金を受け取った人が、支払いをした人に対して、商品やサービスなどの対価として金銭を受け取ったことを証明するための書類です。レシートも領収書と同じ役割を果たすことがあります。例えば、自動販売機には、領収書やレシートを交付する機能は付いていません。また、ご祝儀や香典などを渡す際に、領収書を請求することは非常識な行動と言えるでしょう。

しかし、これらを支払ったことを証明できるのが「支払い証明書」の役割です。支払い証明書を作成して活用するなら、領収書と同じように会計処理をすることが可能となります。ちなみに、「出金伝票」も支払い証明書のような役割をもつ証明書のひとつとなっています。

支払証明書の正しい書き方とは?

支払証明書の書式は多種多様で、定められていません。そのため、文房具店などで購入することもできますし、会社によっては独自の書式を発行して使用していることもあります。しかし、仕入税額控除をするための帳簿に記載しなければならない項目は共通しています。ですから、以下の5つの項目は必ず記載する必要があります。

①支払日
代金を支払った年月日を記入します。

②支払先
代金を支払った先の名称を記入します。例えば、自動販売機で購入した場合は、自動販売機と記入します。

③支払った金額
実際に支払った金額の総合計を記載します。その際、小計や消費税(%も含む)を記載します。

④支払った理由(内容)
支払った取引内容を記載します。

⑤作成者
支払い証明書を作成した人は、自分の氏名も記入します。

これら5つの項目は、消費税法第30条で定められている仕入税額控除をするために帳簿に記載しなければならない要件となっています。特に領収書を得ることができなかった場合は、後日、その理由を聞かれる可能性もあるので経緯を記録しておくと安心です。また、勘定科目を交際費として計上する場合は、事業関連性を証明しなければならないときもあるため、作成者に相手の名前や関係性を記録してもらうようにしましょう。

支払い証明書を作成する際に注意したいこと

他の参考資料も一緒に保管すること

支払い証明書は、領収書やレシートが発行されないときは紛失してしまったときの代替方法です。そのため、自己申告で作成することがほとんどです。したがって、外部機関が発行した領収書やレシートなどと比較すると、証拠価値としては低くみなされることもあります。また、支払い証明書の作成数が多いと、税務署から疑いをかけられる可能性も高まります。

このような事態を招かないためにも、支払い証明書を作成するときは、それに関する参考書類も一緒に保管しておくことが大切です。例えば、招待状や会葬御礼など証拠となる資料があるなら、支払いがあったことを客観的に証明することができます。

消費税法の規定で知っておくべきこと

消費税の課税事業者が仕入税額控除を適用する場合は、帳簿に加えて、相手が発行した請求書や領収書などの保管が要件となっています。書類の保管は3万以上の支払いについては義務となっていますが、3万円未満の支払いであれば書類の保管は省略しても問題ありません。しかし、金額に関わらず、帳簿は保管しておく必要があります。

例えば、自動販売機で購入した飲み物代や自動切符販売機で購入した切符などは、領収書などの書類は発行されません。そのため、「やむを得ないケース」として、交付されなかった理由と支払相手に関する情報を帳簿に記録しておくことで、書類の保管義務は免除されます。しかし、書類の紛失は、「やむを得ないケース」とはみなされません。つまり、書類の保管義務は免除されず、支払い証明書を作成したとしても、それでは十分な証拠書類とはなりません。

なぜなら、仕入税額控除のために保管すべき書類とは、取引相手から交付される請求書や納品書、領収書に加え、相手からの確認を受けている自己作成の仕入れ証明書となっているからです。したがって、消費税の課税事業者が3万円以上の支払い書類を紛失した場合は、領収書などを再発行してもらうか、仕入証明書を作成して相手の確認を受ける必要があります。

支払い証明書の保存期間は?

作成した支払い証明書の保存期間は、領収書やレシートなどと同様、帳簿と一緒に原則7年間保存することが義務付けられています。ただし、法人の場合は、欠損金の繰越期間が9年あるため、欠損金が生じた事業年度分に関しては9年間保存しなければいけません。

支払い証明書は税務署調査に必要?

「支払い証明書など社内で作成された書類は、税務署による調査では認められないのでは?」と思われる方も中にはいるかもしれません。確かに、税務署の調査では、社内で作成した支払い証明書よりも、外部機関が発行した書類のほうが有利になる傾向があります。

しかし、税務署の調査では、書類の有無で経費の認否をするのではなく、その支払いが事実だったのかを総合的に判断することを目的としています。そのため、領収書やレシートなどで保管できなかった経費に関して、支払いが発生した状況を知るための証拠を知りたいと思っています。つまり、支払い証明書などの支払った事実を証明できる書類は、税務署の調査で大いに役立ちます。

まとめ

支払い証明書は、領収書やレシートなどを受け取れないときや紛失したときに支出があったことを証明するための書類です。支払日、支払先、支払った金額、支払った内容、作成者の項目が必ず記載された支払い証明書を作成するようにしましょう。そして、支払い証明書は、それを証拠づける参考資料と一緒に大切に保管しておきましょう。

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