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営業キャッシュフローで何が分かる?見方のポイントとは?

2020年7月28日
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営業キャッシュフローとは、企業が事業活動をして得たキャッシュの変動、つまり「現金利益」のことです。営業キャッシュフローは、プラスだと経営状況がよいとみられています。この記事では、営業キャッシュフローの意味や計算方法など、営業キャッシュフローの基礎知識について分かりやすく解説していきます。

営業キャッシュフローはキャッシュフローのひとつ

キャッシュフローには種類があり、そのひとつが「営業キャッシュフロー」です。そもそもキャッシュフローとは、お金の「収入」と「支出」の流れのことです。英語では「Cash Flow」といい、「CS」もしくは「CF」などと略されて表記されることもあります。

キャッシュフローには、営業活動による「営業キャッシュフロー」のほかに、投資活動による「投資キャッシュフロー」、財務活動による「財務キャッシュフロー」と全部で3種類あります。今回は、3種類のキャッシュフローの中でも特に営業キャッシュフローについて詳しく解説していきます。

営業キャッシュフローとは?

営業キャッシュフローとは、営業活動から生じるキャッシュの変動、つまりお金の流れを表記することです。主に商品やサービスの売上によって生じる「収入」、商品やサービスの仕入れや人件費、家賃等の「支出」など企業の営業活動で生じるものが関係しています。

営業キャッシュフローがプラスか、もしくはマイナスなのかを見ることで、その企業が新たに設備投資や借入金が可能かどうかを判断することができます。通常、営業キャッシュフローはプラスであると経営状況がよい優良企業だとみなされます。

一方、マイナスの場合は、事業活動をするために必要な売上が達成されていないため、負債を抱えているなど資金繰りが難しい経営状況であると判断できます。マイナスだとプラスになるための設備投資や新規事業を始める余力もないため、事業を継続させるためには、キャッシュフローをしっかり分析して見直す必要があります。

営業キャッシュフローと営業利益の違いとは?

営業キャッシュフローは本業で稼いだキャッシュ、つまり現金の量を示していますが、損益計算書で確認できる営業利益は、本業で稼いだ会計上の利益を示しています。つまり、営業キャッシュフローと営業利益は異なるものです。なぜなら、日本の商取引では、発生主義と呼ばれる会計ルールが存在しているからです。

ビジネス取引では、注文を受けて商品を納品したとき、その場ですぐに代金を受け取るということはほとんどありません。後日請求書を発行し、期日までに支払ってもらいます。そのため、会計上の売上高と支払分を受け取るタイミングには時差が生じます。

つまり、会計上では利益が計上されていても、まだ現金は回収されていない、という状態です。そのため、会社の利益を表す営業利益と、現金の量を表す営業キャッシュフローは、同じではありません。

2種類の営業キャッシュフローの計算方法

営業キャッシュフローの計算方法には、「直接法」と「間接法」の2種類があります。

直接法とは?

直接法とは、商品の販売や仕入れ、人件費や家賃などの支払いなど、取引ごとの総額でキャッシュフローを表わす方法です。したがって、売上や原価、経費などの費用項目を、それぞれ現金収支により計算しなければいけません。

このように取引の度に記載することで、帳簿上のお金の流れをしっかり把握することができます。しかし、項目ごとに現金収支を作成しなければいけないので、時間や手間がかかるというデメリットもあります。

間接法とは?

間接法とは、損益計算書上の税金などで調整されていない税金等調整前当期純利益に、非資金損益項目など調整してキャッシュフローを表わす方法です。税引前当期純利益を軸にしているため、実際に流出していない費用と実際に流入していない収入を加減算する必要があります。

そのため、直接法のように取引ごとのお金の流れを把握することはできませんが、当期純利益と営業キャッシュフローの差を容易に確認することができます。多くのケースでは間接法の方が作成が容易なため、間接法を作成するケースが多い傾向にあります。

営業キャッシュフローがマイナスだと?

営業利益はプラス(黒字)でも、営業キャッシュフローがマイナス(赤字)であるというケースは珍しくありません。このような状況のときは、現金を回収することができていないため、現金収支がマイナスになっている状態になっていると思われます。そのため、営業キャッシュフローが一時的にマイナスだったり、単年度のマイナスの場合は特に心配する必要はありません。

しかし、数期連続でマイナスの状態が続いている場合は、注意が必要です。なぜなら、売上高が思うように伸びず、手元の資金が不足し、資金繰りが難しくなっている状態になっているからです。手元の資金が不足しているため、固定資産を売却したり、外部から資金を調達して現金を確保している状態が続いているのであれば、会社の経営状況は健全なものとは言えません。

税引前当期純利益から利益にかかる法人税などを差し引いた当期純利益と営業キャッシュフローは、多少のズレが発生することもあります。しかし、ほぼ同額であり、大きなズレはありません。当期純利益はすべての支払いが済んだあとの利益なので、事業活動の結果とも言えますが、当期純利益と営業キャッシュフローの差額が大きい場合は、「黒字倒産」の恐れがあるので注意が必要です。

黒字倒産とは?

黒字倒産とは、損益計算書ではプラス、つまり利益がでているのに、営業キャッシュフローとの差が大きいため倒産してしまうことです。企業は赤字が続くと倒産するもとの思われがちですが、利益が黒字だとしても、手元のお金である営業キャッシュフローが赤字であれば、営業活動を続けていくことは難しくなります。つまり、企業の倒産とは、手元の現金が不足することが原因となり倒産するのです。

営業キャッシュフローをチェックする際のポイント!

前述したように、営業キャッシュフローはプラスであれば優良企業と判断されます。しかし、マイナスだと必ずしも営業活動が悪いということではありません。特に一時的なマイナスであれば特にそう言えます。では、具体的にどのようなときに一時的なマイナスが生じるのでしょうか?

例えば、企業が規模を拡大している真っ最中のときは、支出が先行するため、営業キャッシュフローが一時的にマイナスになりやすい傾向にあります。また、大きな売り上げが発生し、後日に代金の支払いがあるときも一時的なマイナスになります。各種経費の支払が先行したときも、マイナスに陥ることでしょう。

このように営業キャッシュフローをみるときは、単にその企業の業績が悪いのか、それとも企業が事業を拡大するために一時的に発生しているマイナスなのか、を判断する必要があります。この判断をサポートするのが、損益計算書です。損益計算書とキャッシュフロー計算書を比較しながら、どのような状況でマイナスが発生しているのかを判断するのがポイントになります。

なお、損益計算書でマイナスが継続して続いている状態で、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローもマイナス状態の場合は、業績が悪化していると判断できるでしょう。一方、損益計算書では売上が増加し、利益が黒字の状態でも、キャッシュフロー計算書の営業キャッシュフローがマイナス状態の場合は、企業が拡大する上で先行の支払が発生している、一時的なマイナスと判断することができるでしょう。

理想的なキャッシュフローとは?

業種や業態、企業の規模、企業の成長段階は、企業によってそれぞれ異なります。そのため、理想的なキャッシュフローも各企業によって異なってきます。しかし、すべての企業は、キャッシュフローを獲得するという同じ目的を掲げ、営業活動をしています。ですから、どの企業も営業キャッシュフローはプラスであることが理想的と言えます。

また、本業でキャッシュを獲得しプラスの状態だとしても、競合他社との競争などで、将来キャッシュが減少することも考えられます。ですから、営業キャッシュフローが安定している間に、将来のためのキャッシュを獲得しておくことはとても重要です。

将来のためにキャッシュを獲得しておくなら、将来の設備投資など事業拡大のために使用することもできます。また、研究開発や人材投資などにも使用できるでしょう。もちろん、事業拡大のために営業キャッシュフローがマイナスになったとしても、将来、収益を獲得できる可能性があるなら問題ありません。

しかし、今の営業キャッシュフローで将来の収益源を獲得のためにキャッシュを獲得しておくなら、資金繰りに苦労することない理想的なキャッシュフローのサイクルを手にすることができるでしょう。このような理想的なサイクルを手にするためには、損益計算書とキャッシュフロ計算書をよく比較し、自社のお金がどのように流れているかをしっかり把握することがポイントとなってきます。

まとめ

金銭の流れの「収入」と「支出」を表わすキャッシュフローの中でも、営業キャッシュフローは企業が事業活動で得たキャッシュの量を表わします。それにより企業の経営状況を判断することができます。利益があるのに黒字倒産しないように、営業キャッシュフローと損益計算書を読み取れるようにしておきましょう。


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