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純資産とは?純資産の内訳や総資産との違いなど会計の基礎知識

2020年7月7日
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企業のお金の状態を把握できる簿記の勘定科目のひとつに「純資産」があります。純資産とは、会社が保有する資産のことです。そのため、「自己資本」と呼ばれることもあります。純資産は簿記の中で、会社の価値を客観的に判断できる重要な指標として使われています。この記事では、経理担当者であれば理解しておくべき純資産の基礎について分かりやすく解説していきます。

純資産とは?

純資産とは、会社が保有する純粋な資産のことです。会社法が改正するまでは、資本の部で自己資本と呼ばれていました。改正後は、資産から負債を引いた差額が純資産とみなされています。

純資産は主に、①株主が企業に払った資本金(出資金)②事業活動で生み出した利益の蓄積、の2つで構成されています。なお、純資産は次の4つに分類されています。

・株主資本
・評価・換算差額等
・新株予約権
・少数株主持分

純資産は上記4つに分類されていますが、資本金と剰余金が含まれる株主資本でほぼ成り立っています。

純資産と総資産の違いとは?

純資産と総資産の違いは、「負債」が含まれているかどうか、という点です。つまり、総資産には負債が含まれていますが、純資産には含まれていません。総資産には、返済が必要なお金や担保となっている不動産なども含まれます。

一方、純資産は、総資産から抱えている負債を差し引いたものなので、会社が保有している純粋な自分の資産となります。

貸借対照表では、左側に「総資産」、右側には「負債」と「純資産」が並び、左右の金額は一致します。つまり「総資産=負債+純資産」というバランスを維持していなければいけません。

純資産の内訳

では、株主資本、評価・換算差額等、新株予約権、少数株主持分に分類されている純資産の内訳について詳しくみていきましょう。

「株主資本」に含まれるもの

株主資本には、資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式などが該当します。

・資本金
資本金とは、株主によって出資された資金のうち、資本金として計上したもののことです。そもそも出資とは、株主が事業の成功や成長を期待して、会社にお金を投資することです。会社にお金を投資することで、配当金を要求したり、経営に関与することができます。

そのため、会社は株主が出資してくれたお金を返済する必要はありません。一方、企業が銀行から融資を受けることは、お金を借りるという行為になるため、必ず返済する必要がある負債となります。

・資本剰余金
資本剰余金は、「資本準備金」と「その他資本剰余金」で構成されています。資本準備金とは、株主が出資した資金のうち、会社が資本金として処理しなかったお金ことです。その他資本剰余金とは、資本取引から発生した余りのお金で、資本金と資本準備金を同じ性質をしています。

会社法上では、株主から出資を受けた金額の2分の1以下は、資本金に計上しなくてもよいと認められています。この資本金に計上しなかったお金が、資本剰余金になります。資本剰余金は、積立ることができるため、業績が悪化したときなどに取り崩すことができます。

・利益剰余金
利益剰余金は、「利益準備金」と「その他利益剰余金」で構成されています。利益剰余金とは、利益剰余金のうち、会社法によって会社が得た利益のうち、積み立てが義務付けられているお金のことです。会社法では、配当した剰余金の10分の1を利益準備金として積み立てなければならない、と定められています。

・自己株式
自己株式とは、会社が株発行後、株を買い戻して保有している自社株のことです。会社法では、資産の部の「株主資本」の控除項目で処理します。

「評価・換算差額等」に含まれるもの

評価・換算差額等には、その他有価証券評価差額金・繰延ヘッジ損益等・土地再評価差額金が該当します。

・その他有価証券評価差額金
その他有価証券評価差額金とは、売買目的有価証券・満期保有目的債権・子会社株式や関連会社株式以外の有価証券などの有価証券の時価評価した際の差額のことです。簿記上では、有価証券は投資活動の成果と考えることが基本となっています。

・繰延ヘッジ損益
繰延ヘッジ損益とは、ヘッジ会計適用した際に、次期以降に繰り延べた損益のことです。

「新株予約券」に含まれるもの

新株予約権とは、その会社の株式の購入ができる権利のことです。経営者や従業員が自社株を一定の価格で購入できる権利「ストックオプション」も、新株予約権のひとつとしてみなされています。

「少数株主持分」に含まれるもの

少数株主持分とは、親会社が所有していない少数株主の持分のことです。

純資産率を上げるために

純資産率の計算方法

「純資産率」とは、企業における純資産の割合のことです。「自己資本比率」と呼ばれることもあります。純資産率は、「純資産÷総資産(自己資本+他人資本(負債))×100=純資産率」という計算式で求めます。なお、他人資本とは、借入金や社債など返済する必要のある負債すべてを指します。

純資産比率では、自己資本を増やすことが重要とされています。純資産率を低下させないためには、自己資本を増やし、他人資本を減らすことがポイントとなります。

純資産率が低下する3つの原因と改善点

原因①利益の減少
純資産率が低下する原因のひとつに、営業利益の減少が挙げられます。

【改善策】利益を上げるなら、それに比例して自己資本も増えます。その結果、自己資本率も上がります。株主や第三者に出資してもらい、資本を増やすこともひとつの方法です。

原因②役員報酬や配当金が多い
事業で得た利益を、役員報酬や配当金に回し過ぎてしまうと自己資本は減ってしまいます。そのため、自己資本率も低下します。

【改善策事】業で得た利益を自己資本に回して増やすなら、純資産率のアップにつながります。

原因③投資金額が大きい
企業としての投資金額が大きいと、純資産率は減少します。

【改善策】必要以上に資産を抱えないことがポイントです。土地やモノなどの資産を売却し、そのお金で負債を減少させるなら自己資本が増え、自己資産率アップにつながります。

まとめ

この記事の要点をまとめると、

・純資産とは、会社が保有している純粋な資産、つまり自己資本のこと。

・純資産は、①株主が企業に払った資本金(出資金)②事業活動で生み出した利益の蓄積、の2つで構成されている。

・貸借対照表では、左側に「総資産」、右側には「負債」と「純資産」が並び、左右の金額は一致する。つまり「総資産=負債+純資産」という等式でバランスを維持する必要がある。

・純資産率は、「純資産÷総資産(自己資本+他人資本(負債))×100=純資産率」という計算式で求める。


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