月額変更届とは?目的や月額基礎届の書き方・提出方法などの基礎知識 | 税理士コンシェルジュ

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月額変更届とは?目的や月額基礎届の書き方・提出方法などの基礎知識

2020年5月31日
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「月額変更届」とは、社会保険料を変更するときに提出書類のことです。社会保険料は、毎年定期的に改定されるものですが、昇給や降給などで固定的賃金が変動したときは、保険料を見直すために、年に1回の改定前に「月額変更届」を提出する必要があります。この記事では、月額変更届の目的や書き方、提出方法など月額変更届に関する基礎知識について詳しく解説していきます。

月額変更届とは?

月額変更届とは、社会保険料が変更になる場合に、日本年金機構の各都道府県の事務センター、もしくは管轄地区の年金事務所へ提出する書類のことです。「月額変更届」とは略称であり、正式名称は「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」といいます。

そもそも社会保険料は、毎年7月に提出する「算定基礎届」という書類に基づいて「標準報酬月額」が決まると同時に、保険料額が決定されます。決定した保険料額は、原則として1年間固定されます。しかし、従業員の給与に昇給や降給、雇用契約の変更などで報酬額に大幅な変更があった場合は、年度の途中だとしても「月額変更届」を提出することで、保険料額の見直しが行われます。これを「随時改定」いいます。

では、報酬額の大幅な変更とは、具体的にどのくらいの変更のことなのでしょうか?「随時改定」について詳しくみていきましょう。

標準報酬額の「随時改定」とは?

標準報酬額の「随時改定」とは、先述したように、標準報酬月額が年の途中で変更することです。もし何かしら理由により給与額が大きく変わってしまった場合、標準報酬月額が同じままでは社会保険料額が給与に対して多すぎ、もしくは少なすぎという状況になってしまいます。これを防ぐために「随時改定」が行われます。

なお、通常、年に1度、7月に提出する「算定基礎届」で決定する標準報酬月額は、「定時決定」と呼ばれています。では、「随時改定」をできる条件について確認してみましょう。

随時改定ができる3つの条件

随時改定は、3つの条件すべてに該当してから手続きを行うものと規定されています。随時改定の3つの条件とは次の3つです。

条件①昇給もしくは降給などで固定的賃金に変動があった場合

条件②変動月移行継続した3ヶ月間に従業員に支給された報酬(残業手当などの非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額と、今までの標準報酬月額との間に2等級以上の差が発生した場合

条件③4~6月の3ヶ月において、支払基礎日数が17日以上ある場合

固定給が2等級以上変動するとは?

では、固定給が2等級以上変動する、とはどのような状態のことなのでしょうか?これには基本給の昇給や降給、新しい固定的手当が付き始めたことなどが挙げられます。そのため、残業代や歩合給、臨時的手当など一時的に2等級以上賃金が変動した場合は、月額変更届に該当しません。

ただし、注意したいのは、「基本給の昇給だけでは2等級以上の変動はなくても、残業代や歩合給も含めたときに2等級以上変動した」というケースです。このような場合は、基本給が1円でも昇給したなら、月額変更届の対象になります。

随時改定の対象となる固定賃金が変動する具体的なケース

固定賃金とは、あらかじめ支給率や支給額が設定されている賃金のことです。固定賃金が2等級以上変動する具体的なケースには、次のようなケースが挙げられます。

・昇給や降給があったとき

・時給制や日給制などから月給制に変わるなど給与形態の変更があったとき

・時間給や日給などの単価が変わり、基礎賃金が変動したとき

・請負給や歩合給制の単価、またその歩合率の変更があったとき

・資格手当や役付手当、住宅手当、家族手当、通勤手当などの固定的な手当が新たに追加された、もしくは支払手当額の変更があったとき

・一時帰休による通常の賃金よりも低額な休業手当が支給されたとき

随時改定の対象にならない人

上記でも触れましたが、固定的賃金に変動はなく、残業や臨時的手当など一時的に2等級以上の賃金変動の差が生じた場合は、随時改定の対象にはなりません。また、固定賃金が下がっても残業手当など非固定的賃金が増加して全体の報酬が増えたり、それとは反対に固定賃金が上がっても非固定的賃金が下がって全体の報酬が減ったりなどした場合、標準報酬月額に2等級以上の差が生じたとしても随時改定は行いません。

随時改定の対象に関しての注意点

随時改定の対象に関して、次の3つの点に注意するようにしましょう。

①随時改定の対象は、昇給や降給以外など固定給の変動だけでなく、通勤手当や家族手当など固定的に支給される各種手当の変更や、勤務形態の変更なども関係しており、標準報酬月額を決定する際の対象になります。ですから、日頃から注意しておくことは大切です。

②法改正により、週所定労働時間、また月の所定労働日数が正社員の4分の3未満の短時間労働者だとしても、常時501人以上の従業員がいる特定適用事業所に勤務している場合は、一定の条件を満たしていると社会保険に加入することが義務付けられています。したがって、条件を満たして被保険者となった人は、支払基礎日数が11日以上で随時改定が適用されます。

③標準報酬月額等級表の上限、もしくは下限により等級変更がある場合、2等級以上の差が生じなくても随時改定の対象となることもあるので、該当する従業員がいたら速やかに月額変更届を提出することを忘れないようにしましょう。

月額変更届の記入方法

月額変更届を提出する際、記載しなければならない必要事項とは、以下の項目項目です。

1、資格取得時に取得した被保険者証の番号
被保険者番号は、社会保険の資格を取得したときに日本年金機構から送付される「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」に記載されている番号のことです。

2、被保険者の生年月日

3、標準報酬月額が改定される年月
標準報酬月額が改定される年月とは、標準報酬月額が改定される年月のことです。変動後の給与を支払った月から数えて、4ヶ月目を記入します。

4、標準報酬月額
標準報酬月額は、この書類を作成している時点での金額を記入します。

5、従前の標準報酬月額が適用された年月
現在の標準報酬月額を千円単位で記載します。

6、昇給や降給が生じた月の支払月と区分
昇給もしくは降給のあった月の支払月を記入し、該当する区分を「○」で囲みます。

7、遡及分の支払いがあった月と支払われた遡及差額
遡及分の支払があった月と支払われた遡及の差額分を記載します。

8、給与支給月
固定的賃金の変動が発生した月から3ヶ月分の給与支払月について記載します。

9、給与計算の基礎日数
給与支払いの基礎となった日数を記載します。月給者の場合は暦日数、日給・時給者の場合は出勤日数等報酬(給与)支払の基礎となった日数を記載します。

10、通貨によるもの
通貨によるものとは、給料や手当などの名称を問わず、労働の対価として金銭で支払われるすべての合計額を記載します。

11、現物によるもの
現物によるものとは、食事や住宅、衣服、定期券など金銭以外で支払われる報酬のことです。

なお、短時間労働者である場合は、備考欄にその旨を記載してください。また、従業員が70歳上の場合は、備考欄に「70歳以上被用者月額変更」と記載してください。

短時間労働者の随時決定とは?

短時間労働者とは、正規雇用従業員の所定労働時間や所定労働日数が4分の3未満であることに加え、以下の5つの条件のすべてを満たす人のことを指します。

・週の所定労働時間が20時間以上あること

・今後雇用される期間が、1年以上見込まれること

・月額の給与が88,000円以上であること

・学生でないこと

・厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の法人、もしくは個人の適用事業所、国や地方公共団体に属するすべての適用事業所で働いていること

月額変更届の提出方法とは?

随時改定が必要になった場合は、速やかに「月額変更届」の提出が必要となります。次の定時決定まで待つ必要はありません。月額変更届を提出することで、本来支払うべき社会保険料額へと正式に変更されますので、該当者は速やかに提出するようにしましょう。

月額変更届を提出するタイミング

月額変更届は、固定給が2等級変動したとしても、直ちに提出するものではありません。固定給が2等級以上変動した状態が「3ヶ月」続いた後に、提出することができます。例えば、4月に支払われた賃金で固定給が2等級以上変動した場合は、「4月」「5月」「6月」の3ヶ月間の賃金が支払われた後のタイミングで、月額変更届を提出するということです。そして、新しい保険料金は、7月分(8月末日納付分)から反映されていきます。では、月額変更届はどこへ提出すればよいのでしょうか?

月額変更届の提出先

月額変更届の提出先は、「日本年金機構の都道府県ごとの事務センター」、もしくは「管轄地区の年金事務所」です。また、厚生年金基金や企業年金基金、健康保険組合に加入している事業所の場合は、それぞれで決められた様式に沿って提出するよう求められています。なお、提出方法は、窓口持参、郵送、電子申請、電子媒体(CDもしくはDVD)から選択することができます。

なお、電子申請で提出する場合は、政府のポータルサイト「e-Gov(イーガブ)」を利用して提出することになります。2020年4月からは、一定の条件に該当している大企業や法人は、月額変更届や算定基礎届など一部の社会保険・労働保険に関する手続きを行う場合には、電子申請で行うことが義務化されています。

当面の間は大企業や法人のみが電子申請の義務化の対象となっていますが、今後、その対象範囲は拡大することが予想されています。ですから、まだ電子申請に対応していない事業所は、電子化に向けて準備を進めておくことができるでしょう。

添付書類が必要なケース

原則的に、添付書類は不要とされていますが、固定的賃金の変動があった月の前月から改定月の前月までの賃金台帳の写しや、出勤簿の写しなどの提出が求められている例外ケースもあります。それは「標準報酬月額の等級が5等級以上下がるとき」と、「標準報酬月額の改定月の初日から起算して60日以上届け出が遅延したとき」の2つのケースです。この2つのケースに該当する場合は、添付書類も一緒に揃えて提出しましょう。

月額変更届に関しての注意点

被保険者への通知は速やかに!

日本年金機構から、下記のような決定通知を受けた場合、事業主はその内容を速やかに被保険者や以前被保険者であった従業員に伝える必要があります。

・被保険者の資格取得や喪失をしたとき
・標準報酬月額の決定や改定をしたとき
・標準賞与額の決定をしたとき
・適用事業所以外の事業所が適用事業所となったとき
・適用事業所が認可を受けて適用事業所以外の事業所となったとき

提出忘れに要注意!

月額変更届は、定期的に決められたときに提出するものではありません。従業員の給与額に変更があった場合に、日本年金機構に提出しなければならない不定期なものです。そのため、日々の忙しい業務に追われていると、ついつい提出することを忘れてしまうことも珍しくありません。

しかし、月額変更届は、住所変更届や被扶養者異動届など各社会保険の手続きとも関連している書類のひとつです。ですから、必要なときに提出を忘れてしまうことがないよう、日頃からの意識を高めておくことはとても重要です。

では、どうすれば提出忘れを防ぐことができるでしょうか?部署内で変更要件を確認し、定期的に情報を共有することができるかもしれません。また、給与計算ソフトを導入し、自動で判定する機能を上手に活用することもひとつの方法です。是非、自社に合った方法で、提出を忘れてしまわないよう対策を打つことができるでしょう。

まとめ

月額変更届は、従業員の報酬に2等級以上の変動があったときに行える随時改定で必要となる提出書類です。それぞれ従業員ごとにパターンが異なるため、随時改定は難しい作業と言えるでしょう。また、決められているタイミングで月額変更届を年金事務所に提出しないと、社会保険料の差額精算が生じてしまう可能性があります。ですから、日ごとから随時改定の対象となる従業員がいないかどうかを意識しておくようにしましょう。


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