2020年4月16日

「棚卸し」とは?意味や目的、作業方法まで分かりやすく解説

多くの方が「棚卸し」という言葉を見聞きしたことがあることでしょう。では、実際何をしているのか、また、その目的な何なのかをご存知でしょうか?この記事では、棚卸しの意味や目的、作業方法など棚卸しの基本について分かりやすく解説していきます。

棚卸しとは?

棚卸しとは、決算期の末日の時点で残っている商品・製品・材料・仕掛品などの在庫の数量と品質を確認し、会計上の期末棚卸資産の金額を確定させる作業のことです。そもそも棚卸しとは、「棚から商品をおろして数を調査する」という言葉を由来としています。

したがって、棚卸には「材料の数量を調査して、資産を評価する」という意味があります。それに加えて、品質を確認し、その価額を査定する作業も含まれています。また、棚卸しには、在庫を数えて資産を評価するだけでなく、「欠点を数え上げて言い立てる」というニュアンスもあります。

棚卸しの目的

では、棚卸しにはどのような目的があるのでしょうか?

目的①在庫数を確認し、正確な原価や利益を計算するため

棚卸しの目的のひとつは、在庫確認をすることです。在庫を数えることにより、その正確な数と、売上に対する原価を正しく計算することができます。企業は、どのような成果を出して利益を得たかを表示する必要があります。この利益を確定させるために必要なのが、棚卸しなのです。

企業の利益は、売上から原価を差引くことで算出できます。この原価とは、仕入れにかかった費用ではなく、売上た商品の仕入れ額のことです。つまり、「売上-売上原価=売上総利益」になるため、売れ残っている商品は仕入額には含まれません。したがって、どれだけの在庫があるかを正確に数えることは、正しい原価と利益を計算するために欠かすことができない重要な作業となっています。

目的②帳簿上の在庫と実在庫数の数を合わせるため

棚卸には、帳簿上の在庫と実在庫数の差異を確認する、という目的もあります。もし数量に相違がある場合は、帳簿を修正する必要があります。在庫の管理は、担当者が日々、ソフトウェアや手書きの管理表などを使って管理しているはずです。どんなに気を付けていても、人の手で作業をしている以上、記入漏れや入力ミスなどが生じます。そのため、棚卸しをすることで、在庫確認をしつつ、帳簿との差異を確認し、数を合わせることも目的としています。

目的③残っている在庫や品質を把握するため

棚卸しをすることで、どのような商品が残っているかを把握することもできます。例えば、仕入れたものが売れなかったり、使用しなかったりなどの理由で残っている「滞留在庫」や、人気がないなどの理由で残っている「不良在庫」などがあります。残った在庫が、その時点で売れるどうか品質や時期などを確認することも目的のひとつです。

在庫品を把握することで、今後の仕入れに活かすことができ、在庫を最小限にする環境を整えることにもつながります。

棚卸しの作業方法

棚卸しには「実地棚卸し」と「帳簿棚卸し」の2種類の方法があります。実地棚卸しとは、店舗や倉庫にある商品・税量・仕掛け品などの在庫を実際の現場で数え、それと同時に品質の確認もしていく方法です。一方、帳簿棚卸しとは、帳簿や在庫管理システムなどを使い、日々の入庫や出庫を記録して、帳簿上で計算して在庫を確認する方法です。

本来、この2つは結果が同じ、つまり、在庫数が一致していなければいけません。では、現場で実際に行う実地棚卸しの基本的な作業方法をみていきましょう。

棚卸し作業を実施する時期

棚卸し作業は、一般的に年度の「期首」と年度の「期末」に行われています。まず期首の棚卸しでは、現在の在庫状況を明確にします。そして、年度末の棚卸しで、期首の棚卸しとの差異を確認することで、正確な原価と利益の計算へとつながります。

企業によっては、期首と期末だけでなく、「四半期」や「半期」のタイミングで定期的に棚卸しを実施しているところもあります。定期的に棚卸しを行うなら、帳簿上の在庫と実在庫を定期的に照合することができます。その結果、ミスの早期発見にも役立ちます。

棚卸しの対象

棚卸しで確認する在庫の対象には、自社が販売する商品や製品以外だけでなく、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品なども含まれます。つまり、会社が所有している資産で、数えることができるものは基本的に棚卸しの対象となっています。

例えば、製品を製造するために必要な原料や材料、製造中の製品なども棚卸しの対象になるということです。また、未使用の切手や印紙、文房具などは会社の資産となりますので数を数え、「棚卸資産」として処理します。

棚卸し作業は基本チームで行う

棚卸し作業は、複数人のチームで実施するのが一般的です。多くの企業では、2人でペアになり、1人が在庫を数え、もう1人がその数を書きとめるという流れで行っています。複数で行うなら、数え間違いを防ぐことにつながり、効率よく作業を進めることができます。

数だけでなく、状態も確認する

先述したように、棚卸しには数の確認だけでなく、在庫状態を確認することも含まれます。在庫の状態から評価をし、破損や汚損などの異変を見つけたら、必ず担当者に報告する必要があります。棚卸しで在庫を評価し、通常販売することができないと判断された商品は、「損金」として計上することができます。また、型落ち品やトレンドから外れた商品なども、今後販売することが難しいと判断された場合は、「損金」に参入できることもあります。

「タグ方式」と「リスト方式」

実地棚卸しには、タグ方式とリスト方式があります。タグ方式とは、まず担当者が現物の在庫品と数量を確認し、棚札と呼ばれる伝票に記入します。その後、伝票を現物に貼り付け、現物を数えていくという方法です。現物から先に確認していくため、計上漏れが発生しにくいというメリットがある反面、作業に手間がかかるというデメリットがあります。

一方、リスト方式とは、在庫管理表などのリストに記載されている数量をもとに、実際の在庫を確認し、リストの数量と比較するという方法です。比較的短時間で作業が終わるというメリットがありますが、理論上の数値をもとに確認していくため、カウント漏れが発生しやすいというデメリットがあります。

棚卸表は7年間保存すること

棚卸しの結果を記載した「棚卸表」は、最低でも7年間保存することが義務付けられています。担当者は、誤って破棄しないよう大切に保管しておきましょう。なお、平成30年4月1日以降の欠損金の生じた事業年度に関しては、10年間の保存が義務付けられているので注意してください。

実地棚卸と帳簿棚卸の結果が合わなかったら?

実際に現場で在庫を確認した数と、帳簿上の在庫数は、本来一致すべきものです。しかし、一致しないことも珍しくありません。その理由は、記入漏れ、紛失、破損などさまざま理由が考えられます。では、実地棚卸と帳簿棚卸しの結果が合わなかった場合、どうすればよいのでしょうか?

数値が合わない理由

実地棚卸と帳簿棚卸の在庫数が異なる場合、その原因を見つける必要があります。数量や単位を間違えて記入しているかもしれませんし、取引先からの納品書などの書類がまだ届いていないのかもしれません。もしくは、返品処理に時間がかかっていることも考えられます。在庫数が合わない原因はさまざまですが、大きく3つの理由に分類することができるでしょう。

・記録や入力ミス
商品情報の入力ミス、受払時の数量や単位のミス、入力漏れ、処理の遅れなど

・書類の遅延
納品書や返品伝票などがまだ届いていない

・商品の破損や紛失

この3つの観点から絞って考えるなら、在庫数が合わない理由をはっきりさせることができるでしょう。

結果が合わないときは帳簿の修正を!

では、もし結果が合わなかったときは、どのように対処すればよいのでしょうか?実際に存在しているものを変更することは不可能です。ですから、現物の在庫である実地棚卸の数値に基づいて、帳簿を修正する必要があります。それに加え、実際の在庫と帳簿上の在庫の数が少しでも近づくように、在庫管理で生じる誤差を発生を少なくする必要もあります。その際、指標として使われているのが「棚卸誤差率」を利用することができるでしょう。

適切な在庫管理を!

在庫数のズレは、経営に深刻な影響を与えます。では、どのように適切な在庫管理をできるでしょうか?まず業務のルールを見直してみることができるでしょう。入荷・保管・出荷・棚卸・品質管理と各工程の流れごとに、業務手順のルールをマニュアル化することは、適切な在庫管理につながります。

また、ITシステムを活用することもひとつの方法です。在庫にバーコード貼り、スキャナーで読み取るなら、人的ミスの軽減になります。さらに、当日入出庫分の在庫数を確認する「日次棚卸」を実施するなら、在庫数のズレの発生を回避することができ、適切な在庫管理を実現することができるでしょう。

まとめ

棚卸しには、在庫数を確認することだけでなく、その資産を評価する目的もあります。商品を適切に管理することも大切ですが、棚卸しをすることで、会社の利益を正確に計算することができるのです。棚卸しの対象には、商品や製品だけでなく、仕掛品や半製品、会社の数えることができる資産なども含まれます。現物の在庫と帳簿上の在庫数が一致するように、普段から適切な在庫管理を行っていくようにしましょう。

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