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【領収書の書き方】役割・記載事項・収入印紙の有無など徹底解説

2021年5月26日
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領収書の書き方

ビジネス上の取引をした際に発行する「領収書」は、とても身近な大切な書類のひとつです。しかし、いざ自分で作成することになると、正しい書き方が分からない・・という方も少なくありません。今回は領収書の基礎知識と正しい書き方について解説していきます。

領収書とは?

領収書とは、商品の代金やサービスに対して、「受取人が支払者に対して金銭を受け取った」ことを証明するときに発行する書類です。会社員であれば、出張の旅費や接待での飲食費などを精算するために経理担当者に領収書を提出したり、個人事業主であれば、確定申告をする際に必要となります。

また、お金を受け取った側は、商品やサービスの対価として、お金を受け取ったことを証明するために領収書を使います。このように領収書には、商品やサービスの代金を支払ったことを証明します。

さらに領収書は、支払った側から自分で支払ったことを証明できるので、支払った代金を再度請求されることを防いだり、二重払いすることを防ぐ役割もあり、支払い側にも受取側にも重要な書類となります。ですから、どんな商品やサービスを購入したとしても、領収書は受け取っておく必要があります。

そうすれば、税務調査などが入ったときには、売上額の証明や経費の証拠として領収書で確認することができます。もし経費として計上している額を証明できる領収書がないと、その額に対して税金が課されることになります。

領収書は会社のお金の流れや動きを証明する大事な書類なので、書き方にはルールが設けられています。記載に不備があると領収書として認められないので、ルールに沿って正確に記載する必要があります。

領収書の役割とは?

上記でみたことと重なるところもありますが、領収書には発行した側と、それを受け取った側には次のような役割があります。

領収書を発行した側

領収書を発行した側の場合、領収書は現金などの受取があった相手に渡すだけでなく、手元に領収書のコピーが残ります。それは売上金や売掛金の回収がなされたことの証拠となるので、確定申告や決算などの重要な書類となります。

領収書を受け取った側

領収書を受け取った側の場合、代金の支払いの証明となります。そのため、経費として認められる大事な書類となります。また、支払いの事実となる証拠文書なので、二重請求などの不正を防止する役割もあります。

領収書の正しい書き方とそのポイント!

消費税法では、「支払者から代金を受け取った日付」「買い手の氏名(名称」「金額」「提供した商品やサービス名(但し書き)」「領収書の書類作成者(発行者)」が記載されているものが、領収書と認められると定められています。では、この点を踏まえて、領収書を書く際に気を付けたいポイントは7つをみてみましょう。

①タイトルと領収書の通し番号

まず一目で領収書だと分かるように「領収書」というタイトルが表記されていることが大切です。そして、絶対に記載する必要があるわけではありませんが、領収書の通し番号が記載されているなら、透明性を税務署にアピールすることにつながります。

②日付

日付は、実際に代金を受け取った取引をした日付を記載します。和暦、西暦どちらでも問題ありませんが、省略して記載してはいけません。「令和元年」「2020年」など、年号や西暦のすべての桁まで正確に記入する必要があります。

③宛名(会社の名称)

宛名は支払者に確認し、支払者の氏名や企業名を正式名称で記載する必要があります。誤字があると無効になってしまうことがあるので注意が必要です。

特に会社名を正確に記入することはとても大切です。(株)と省略しないで、株式会社と正確に記入することはもちろん、前株(会社名の前にある株式会社)と後株(会社名の後ろにある株式会社)にも十分な注意が必要です。

社名を口頭で聞き取ることが難しい方は、名刺をお借りして転記するなら、間違いを避けることができるでしょう。また、すぐに領収書に社名を記入せず、一度領収書以外の紙に書いてから、領収書へ記入することも間違いを避けるひとつの方法です。

さらに、お客様から「上様」と記入するように言われることもあります。その通りに記載しても構いませんが、調査が入った場合に経費として認められないことがあります。

④金額

金額の記載は、改正や改ざんができないようルールが設けられています。次の3つのパターンのいずれかを用いるようにしましょう。

・¥○○○,○○○※
・¥○○○,○○○ー
・金○○○,○○○也

このように実際に受け取った代金を税込金額で記載し、3桁ごとに「, 」と桁区切りを打ちます。そして、数字の頭に「¥」や「金」の表記を入れ、末尾には「※」「-」「也」なども文字や記号を記載します。

⑤但し書き

但し書きは、どんな商品やサービスに対する支払いなのかが分かるように内容を具体的に記載します。例えば、「飲食代として」「飲食代◯名様分」「書籍代として」など具体的な品名を記載したり、「(主要な品目名)+他など」、支払者が何を購入したのかが一目で分かるように記載しましょう。

一般的には「お品代」と表記することがよくあります。しかし、何のサービスに対して取引したものなのかが分からないため、本来は認められず、証明するには不足とみなされることがあります。

また、当たり前のことですが、嘘の内容を記載することはNGです。嘘の内容を記載した場合は、それを書いた本人はもちろん、発行したお店側も罰せられることもあります。ですから、発行する側は、但し書きを未記入のまま発行しないようにしましょう。

このように領収書の正当性が認められないと、経費として認められないだけでなく、脱税行為とみなされ、逮捕されることもありますので注意しましょう。

⑥収入印紙

金額が5万円以上の場合は、課税の対象となるため、収入印紙を貼り付ける必要があります。印紙税法第20条で規定されており、もし印紙を貼らないと収入印紙税の脱税になります。

なお、5万円以上100万円以下の場合は200円、100万円以上200万円以下の場合は400円、と収入印紙額が定められています。また、収入印紙は再利用を防ぐために、割印を押すことになっており、割印がないと無効になりますので忘れずに押すようにしましょう。

⑦領収書を発行する側の住所と氏名

最後に、領収書を発行する側の個人名や屋号、会社名などを正式に記載します。さらに住所、電話番号、FAX番号なども書きましょう。また、法的に規定されているわけではありませんが、認め印を押します。

5万円以上の領収書には収入印紙が必要!

上記でもみたように、取引金額が5万円以上の場合は、収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙は、売上代金を受け取った文章に貼らなくてはいけない、と印紙税で規定されています。

そのため、印紙税を貼るべき課税文書(領収書)に、納付すべき収入印紙を貼らなかった場合は、課税文書の作成者に対してペナルティが課せられます。印紙の額面の3倍に相当する金額と、過怠税が罰金として課せられますので、5万円以上の領収書を発行する際には、忘れずに収入印紙を貼るようにしましょう。

領収書とレシートの違いとは?

税法上では、レシートも領収書同様、商品の代金やサービスの対価を受け取ったことを証明する書類として認められています。レシートには、「発行日」「金額」「内容」「発行元」が記載されている上、領収書よりも商品やサービスの内容が詳細に記載されているため、経理担当者や税務署の職員もどのような経費なのかを判断しやすい、と言われています。

また、レシートはレジなどで印字されているため、手書きの領収書と比較すると、取引内容や金額を修正が難しくなっています。このようにレシートには多くのメリットがありますが、信頼できる金銭の受理を証明する書類には、「宛名」が必要とされています。

レシートには宛名が記載されていないので、宛名の記載されている領収書の方が信頼できる有効性のある書類として認められています。

領収書は訂正することは可能?

領収書は、確定申告など税務上、大切な書類のひとつです。そのため、金額の訂正をすることは、法的に認められていません。しかし、金額以外の日付、相手先名、発行者名などは、受け取る側と発行した側の双方が納得しているなら、訂正することが可能です。

ですが、万が一のトラブルに備えて、訂正印や修正テープなどで訂正した領収書を渡すよりも、再発行した領収書を渡すほうがいいでしょう。

通し番号のある領収書の場合

領収書綴りや通し番号のある領収書を利用している場合は、書き間違えた領収書を捨てずに×印などを書き、そのまま保存します。なぜなら、税務調査などのチェックを受ける場合、紛失や破り捨てるなどで領収書がないと、マイナス印象を与えるからです。つまり、間違いや訂正した、という証拠を残すためにもそのまま保存しておきましょう。

間違えた領収書を渡してしまった場合

お客様に領収書を渡した後に間違いに気づいた場合は、先方に連絡をし、訂正した領収書を渡したい、という旨を伝えます。その際、間違えた領収書を回収することを忘れないようにしてください。そして、回収した領収書は、×印などを付けて保存しておきましょう。

領収書の再発行を依頼された場合

お客様から何らかの理由で領収書の再発行を依頼された場合は、領収書を再発行することができます。その際には、領収書に「再発行」と記載してください。また、再発行であっても収入印紙が必要な場合は、収入印紙を貼付し、割印が必要となります。

法人の領収書の保存期間について

法人の場合、領収書は法人税法で「帳簿書類」に属し、保存期間は7年間と規定されています。この帳簿書類には、現金出納帳や売上帳などの帳簿類、契約書、注文書などの重要な書類のひとつに、領収書も該当しています。

領収書を7年間保存することが義務付けられているのは、税金の時効が7年間となっているからです。つまり、7年過ぎると、税務調査は原則てきなくなります。そのため、領収書も7年間保存しておくよう決められています。

注意したいのは、7年の始まりです。領収書が発行されてから7年ではなく、法人申告期限日から7年が始まります。法人税の申告期限日は、法人に決算日の2ヶ月後になります。

例えば、決算日が2020年3月31日の場合、法人税申告期限日は2020年5月31日になります。領収書の保存期間は、2020年5月31日から始まる7年間となりますので、2027年5月31日までとなります。

個人事業主の領収書の保存期間について

個人事業主の場合も、領収書の保存期間は所得税で規定されています。しかし、保存期間は青色申告と白色申告では異なっています。ただ、青色申告にせよ白色申告にせよ、保存期間の起算点は、確定申告の期限日からとなっています。

青色申告の場合

青色申告で申請している個人事業主の場合は、領収書の保存期間は7年間です。青色申告では、領収書は「現金預金等関係書類」に属しています。帳簿や決算関係書類も7年間保存することが義務付けられています。ただし、前々年の所得が300万円以下の場合は、保存期間は5年間となります。

白色申告の場合

白色申告で申請している個人事業主の場合は、領収書の保存期間は5年間です。ただし、収入や経費などが記載してある帳簿は、7年間保存することが規定されていますが、可能であれば、帳簿と一緒に領収書も保存しておくことができるでしょう。

赤字の場合

青色申告の法人が赤字決算で申告をした場合は、領収書の保存期間が10年となります。なぜなら、法人の赤字を繰り越せる期間に合わせるためです。例えば、2020年5月31日に法人税申告期限で法人税を申告した場合は、10年後にあたる2030年5月31日まで保存する必要があります。

仕入控除を受けている場合

仕入控除とは、仕入れや流通の段階で何度も消費税が課税されるのことを防ぐ制度のことです。つまり、仕入れにかかった消費税を、本来支払うべき消費税から控除することが可能となります。

仕入控除を受けている場合は、消費税法で、領収書を7年間保存するよう規定されています。白色申告の所得税法では、保存期間が5年間と規定されていますが、保存期間が長い法律が優先されるので、消費税法に基づく7年間の保存が必要となります。

領収書の保存方法について

領収書などの帳簿書類は、原則的に紙で保存することになっています。そのため、領収書をPDFファイルなどで発行したり、WEB上で確認したりなどの電子取引の場合でも、領収書を紙に印刷して保存する必要があります。プリントアウト後は、専用のファイルに日付順にファイリングしていくことができるでしょう。

しかし、2016年の税法改正により、スキャンや写真、スマートフォンで領収書を撮影して保存するなどの電子データの保存も認められるようになりました。ただし、電子データで保存する場合は、導入の3ヶ月前までに、管轄地区の税務署に申請し、承認を受けなければいけません。

申請を受けていない期間の領収書は、従来通り、紙で保存する必要があります。紙以外での保存を希望するなら、最寄りの税務署で保存方法について確認されることをおすすめします。

印紙税について

金銭又は有価証券の受取書や領収書などは、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当します。よって、印紙税の対象です。前述しましたが、記載金額が5万円以上の場合は、収入印紙を貼ることが義務付けられています。

しかし、領収証をPDFなどの電子データで発行する場合は、印紙税は課税されません。また、クレジットカードによる取引も収入印紙を貼る必要はありません。ただし、領収書に「クレジットカードを利用した」旨を記載する必要があります。

もしも記載がない場合は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭又は有価証券の受取書」に該当しますので注意しましょう。

参照:国税庁 | 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで
参照:国税庁 | 金銭又は有価証券の受取書、領収書

まとめ

領収書には受け取る側はもちろんのこと、発行する側にとっても大きな役割をもつ重要な書類です。正しい金額、正しい税額、正しい宛名、正しい但し書きを記載しなければ、領収書が無効になったり、最悪の場合は脱税行為とみなされることもあります。

普段何気に受け取ったり、作成していた方も、ルールに沿った正しい書き方の領収書を発行するようにしましょう。また、受け取った領収書も発行した領収書のコピーも、法律で規定されている期間内は大切に保管しておくようにしましょう。

領収書の書き方でご不明な点があるなら、専門家の税理士に相談するのもひとつの方法です。税理士コンシェルジュの税理士紹介サービス税理士紹介公式サイト-顧客満足NO.1【税理士コンシェルジュ】では、無料で税理士をご紹介していますので、お気軽にご相談ください。


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