2020年2月29日

総勘定元帳の基礎知識とエクセルで作成する方法

「総勘定元帳」は、仕訳帳と並ぶ決算書の作成に欠かすことができない「主要簿」のひとつです。仕訳帳の内容を転記し、すべての取引を勘定科目ごとに記録する必要があります。(この記事では、総勘定元帳の基礎知識とエクセルで作成する方法について解説していきます。

総勘定元帳とは?

複式簿記をするうえでの主要簿は、「仕訳帳」と「総勘定元帳」です。仕訳帳は、すべての取引を日付順に記録していく帳簿です。一方、総勘定元帳は、仕訳帳をもとにすべての取引を勘定ごと、また日付順に記録していく帳簿です。

その流れは、取引が発生すると、まず仕訳帳に日付ごとに内容を記入します。続いて、総勘定元帳に、勘定科目ごとに勘定口座を作り、仕訳帳に記入した仕訳を転記します。そして、期末には、総勘定元帳をもとに「貸借対照表」や「損益計算書」などの計算書類の作成に使われます。

ただし、総勘定元帳の勘定口座だけでは、取引の全容を把握することが難しときがあります。そのような場合は、仕訳帳と照らし合わせながら、取引内容を確認していきます。

また、総勘定元帳は仕訳帳同様、税法上では、7年間保存しておくことが義務付けられています。税務調査が入ったときには、原則として、総勘定元帳を提出することになっています。

勘定科目ごとに記帳する理由とは?

複式簿記の場合、日々の取引を記録するだけでなく、会社の財務状態を把握することも用途のひとつです。日々の取引内容が記録されている仕訳帳では会社の財務状態を把握することは容易なことではありません。

例えば、現時点で「会社に残っている現金がどれくらいあるか」「借入金はどのくらいあるか」「売上金はどのくらいあるか」などを知りたい場合、仕訳帳だけでは簡単に知ることはできません。日付順に記録してある取引内容の中から、現金、借入金、売上金という勘定科目だけを見つけ出し、一から集計する必要があるので、膨大な時間と多大な労力がかかってしまいます。

しかし、勘定科目ごとに記録されている総勘定元帳があれば、そのような手間をかけずに、勘定科目をみれば、一目で残高を確認することが可能です。このような理由から、事業を運営していくためには、仕訳帳だけでなく、総勘定元帳も欠かすことができない重要な書類のひとつとなっています。

総勘定元帳の作り方とは?

総勘定元帳は、勘定科目ごとのページを作ります。総勘定元帳の様式には、借方と貸方に分けて記入していく「標準式」と、毎回記帳するたびに残高を計算する「残高式」の2つの様式があります。この記事では、多くの企業で採用されている記帳が簡単な残高式を使った方法で解説していきます。

総勘定元帳を書類で作成するにせよ、エクセルで作成するにせよ、総勘定元帳の記入欄にはどのようなものがあるのかを覚えておくことは大切です。そして、記入欄の内容は、仕訳帳から正確に転記することが基本です。総勘定元帳の記載項目には、次のようなものがあります。

総勘定元帳の主な記載項目

・日付:取引が行われた日付を記入する。
・概要:相手側の勘定科目を記入する。相手の勘定科目が複数あるときは、「諸口」と記入する。
・仕丁:その仕訳が記入されている仕訳帳のページを記入する。
・借方:仕訳帳の借方欄に従って金額を転記する。
・貸方:仕訳帳の貸方欄に従って金額を転記する。
・残高:標準式の場合は、借方と貸方に分けて記入する。残高式の場合は、その時点での残高を記入する。

総勘定元帳の項目は、上記のもので構成されていますが、その残高の計算は、勘定科目によって金額を足したり差し引いたりすることで方向が変わってきますので注意してください。また、分類によっては、借方(左側)の金額がプラスで貸方(右側)の金額がマイナスを意味するもの、それが逆になることもあるので注意が必要です。

総勘定元帳の借方と貸方

総勘定元帳の借方(左側)はプラスになる勘定科目が分類されます。それには現金、売掛金、仕入、器具部品、地代家賃、水道光熱費などの資産や費用に分類される勘定科目が該当します。借方の残高は、「残高=直前の残高+借方(左側)の金額-貸方(右側)の金額」という計算式で算出します。

一方、総勘定元帳の貸方(右側)でプラスになる勘定科目には、買掛金、借入金、売上などの負債や資本(純資産)が分類されます。貸方の残高は、「残高=直前の残高-借方(左側)の金額+貸方(右側)の金額」という計算式で算出します。どちらの場合も、残高はプラスで計上されることが基本となっています。

仕訳帳から総勘定元帳への転記

総勘定元帳は、すべての取引が日付順に記録されている仕訳帳を転記、つまり、書き写したものです。仕訳帳から総勘定元帳の各勘定科目へ個別に転記していきます。したがって、後述しますが、総勘定元帳には、仕訳帳の該当ページを記入し、両者がリンクするようになっています。では、これらの点を踏まえて、総勘定元帳をエクセルで作成する方法についてみてみましょう。

総勘定元帳をエクセルで作成する方法とは?

現金勘定の帳簿を残高式で記帳する場合、エクセルでは次のように作成します。

ステップ1:レイアウトの作成
まずエクセルフォーマットの一番上の行のセルを7つ分つなげます。そして、勘定科目名である「現金」と入力します。その際、右上の勘定口座の口座番号も転記します。続いて、下の行のセルに、左から「日付」「概要」「仕丁」「借方」「貸方」「借・貸」「残高」と入力し、最後に「罫線」をクリックして、格子状に線を引けば、総勘定元帳の基本的なレイアウトの完成です。

ステップ2:仕訳帳から転記
仕訳帳をみながら、作成した総勘定元帳へ正確に転記していきます。現金元帳への転記は、次のように行います。

・日付欄
総勘定元帳の日付欄には、仕訳帳の日付欄と同じ内容を記入します。

・相手科目欄
総勘定元帳の相手科目欄は、現金とセットになっている勘定科目を記入します。例えば、仕訳帳の借方科目が現金の場合は貸方科目が表示され、借方科目が現金以外の場合は借方科目の勘定科目が表示されるように入力していきます。

・概要欄
総勘定元帳の概要欄には、仕訳帳の概要欄と同じものを転記します。

・借方金額欄
仕訳帳の借方科目が現金の場合は、元帳の借方金額欄に仕訳帳の金額を入力します。そして、貸方金額欄は空白になります。また、仕訳帳の貸方科目が現金の場合は、元帳の貸方金額欄に仕訳帳の金額を入力します。そして、借方金額欄は空白になります。

・貸方金額欄
仕訳帳の貸方科目が現金の場合は、元帳の貸方金額欄に仕訳帳の金額を入力します。そして、借方金額欄は空白になります。また、仕訳帳の借方科目が現金の場合は、元帳の借方金額欄に仕訳帳の金額を入力します。そして、貸方金額欄は空白になります。

・残高金額欄
貸借対照表や損益計算書の借方(左側)に位置する「資産」と「運用」は、増えると借方金額に記録します。一方、減る場合は貸方(右側)金額へ記録していきます。したがって、残高は、借方金額から貸方金額を引いた金額の合計を残高金額欄に記入します。

それとは反対に、貸借対照表や損益計算書の貸方(右側)に位置する「負債」と「収益」は、増えると貸方金額に記録します。一方、減る場合は借方(左側)へ金額を記録します。したがって、残高は、貸方金額から借方金額を引いた金額の合計を残高金額欄に記入します。

ステップ3:他の勘定科目の元帳作成
他の勘定科目も元帳も作成し、仕入元帳から転記していきます。

総勘定元帳をエクセル作成する際の注意点

仕訳帳と総勘定元帳のデータベースは、現金出納帳、現金出納帳、売掛金、経費帳の4つの簡易帳簿と内容がリンクしています。そのため、修正したい箇所が出た場合は、元になっている帳簿のデータを修正する必要があります。元となっている記録を修正すれば、仕訳帳や総勘定元帳などもすべて、データ修正後のものが反映されます。

また、仕訳帳に取引内容の記録を忘れてしまい、後から加える必要がでた場合は、仕訳帳の行がずれてしまいます。そのため、仕訳帳から各元帳シートの仕訳帳へのコピーとリンク貼り付けをやり直す必要が出てきますので、行を間違えないように注意しながら作業をしましょう。

総勘定元帳をエクセルで作成するメリットとデメリットとは?

総勘定元帳をエクセルを作成することには、次のようなメリットとデメリットがあります。

メリット:容易に作成することができる
経理や事務担当者であれば、業務パソコンに入っているエクセルを普段から利用していることでしょう。エクセルを起動するだけで、仕訳帳や総勘定元帳の型を簡単に作成することができます。

デメリット:ミスをしやすい
総勘定元帳は、仕訳帳から情報を転記するだけでの作業で完成させることができます。簡単にできる作業ですが、転記作業は1桁ずれてしまったり、数字を別の行にコピーしてしまったり、など人為的ミスが発生しやすいデメリットがあります。特に経理初心者の場合、日付違いで勘定科目を別のものに記帳してしまう、といった初歩的なミスもよくあります。

総勘定元帳は7年間の保存が義務付けられている重要な書類ですので、細心の注意を払って転記することが必要です。

まとめ

主要簿でもある総勘定元帳は、日々の取引の記録だけではなく、会社の財務状況を把握したり、決算書のひとつとして利用されるとても重要な書類のひとつです。もし総勘定元帳に1円でも間違いがあると、決算の際、すべての取引をもう一度見直す必要がでてしまいます。総勘定元帳をエクセルで作成することにはメリットもありますが、桁間違いなどの初歩的な人為的なミスも多いので、細心の注意を払いながら仕訳帳から転記していくようにしましょう。

エクセルでの作成に難しさを感じるなら、会計ソフトの利用を検討してみることができるかもしれません。また、総勘定元帳を作成する上で分からないことや、不安なこと、質問などがあれば、近くの信頼できる税理士に相談することもひとつの方法です。プロの観点から適切なアドバイスをしてくれることでしょう。

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