2020年9月9日

固定長期適合率とは?計算式や業種別平均値など固定長期適合率の基本

「固定長期適合率」とは、貸借対照表から把握できる長期的な「安全性分析」の指標のひとつです。固定長期適合率と一緒に「固定比率」を見ることで、その会社の長期的な支払い能力について分析することが可能です。

今回は、「固定長期適合率」で何を把握できるか、固定長期適合率の求め方、平均値、業種別平均値などの基礎的な知識について解説していきます。

固定長期適合率とは?

固定長期適合率とは、財務分析の長期的な視点から把握する、会社の安全性を分析する指標のひとつです。会社の安全性とは、負債を支払う能力があるか、という意味を含んでいます。

会社の安全性を分析するときには、「短期の支払い能力」と「長期の支払い能力」、そして、十分な自己資本を持っているかを示す「財務体質の健全性」3つの観点から分析する必要があります。

固定長期適合率のは、その3つの中の長期の支払い能力を分析する際の指標です。固定長期適合率に加え、「固定比率」も一緒にみることで、会社の長期の支払い能力について分析できます。

なお、安全性を分析する指標には、次のようなものがあります。

【安全性を分析する指標】
・短期の支払い能力を分析する指標:安全比率、流動比率
・長期の支払い能力を分析する指標:固定長期適合率、固定比率
・財務体質の健全性を分析する指標:自己資本比率

安全性を分析する指標は、長期の支払い能力を分析する固定長期適合率だけではありません。これらの指標をすべてみるなら、会社の経営状態をしっかり把握することができるでしょう。

固定長期適合率の計算方法

固定長期適合率は、固定資産を取得するときの資金が、自己資金で足りない場合、長期の借入金を合わせれば支払うことができるか、を確認するために使われる指標です。

固定長期適合率は、「固定長期適合率(%)=固定資産÷(自己資本+固定負債)×100」という計算式を当てはめて算出します。固定資産とは、1年を超えて現金化されず、長期間にわたって使われる資産のことです。

自己資本とは、株主などからの出資や利益が蓄積された返済義務のない純資産、そして固定資産とは、返済期限が1年以上の負債のことを指します。

固定長期比率で分かることとは?

計算式をみてのとおり、固定長期適合率は、返済義務のない自己資本と長期の借入金である固定資産の合計金額と、固定資産の金額のバランス指標となります。

したがって、固定長期適合率を見ることで、固定資産を取得するための資金を、自己資本とそれに近い長期の借入金で賄えるかを分析し、負債を支払う能力があるかどうかを判断することができます。

固定比率との違いとは?

固定比率も、固定長期適合率のように長期的な視点から安全性を判断する指標として利用されています。固定比率は、「固定比率=固定資産÷自己資本×100」という計算式を当てはめて求めます。固定比率では、固定資産をどれくらい自己資本で賄えるかを判断することができます。

では、固定長期適合率と固定比率には、どのような違いがあるのでしょうか?固定比率を求める計算式では、分母が自己資本のみです。一方、固定長期適合率を求める算式では、分母に固定負債がプラスされているという違いがあります。

固定長期適合率の理想的な目安は?

固定比率が100%を超えていても、固定長期適合率が100%以下であれば、固定資産への投資は健全と判断できます。しかし、固定長期適合率が100%以上の場合は危険です。

なぜなら、固定資産への投資額を固定負債と自己資本で賄うことができていないことを意味するからです。つまり、長期の支払い能力がない、資金繰りが危うい状況にあると判断できます。

業種別でみる理想的な固定長期適合率の目安

固定長期適合率の理想的な目安は100%ですが、業種によって若干の差があります。では、業種別の理想的な固定長期適合率をみていきましょう。

・建設業:201%
・製造業:160%
・卸売業:173%
・小売業:142%
・運輸業:135%
・不動産業:115%
・技術サービス業:142%
・宿泊業:103%
・飲食業:103%
・娯楽業:106%

このように業種によって、固定長期適合率には差がありますので、比較をする際には他業種ではなく、同業他社と比較するようにしましょう。

まとめ

・固定長期適合率とは、固定資産が固定負債と自己資本でどのくらいカバーできているかを示す指標。

・固定長期適合率を見ることで、その会社に長期の支払い能力があるかどうか会社の安全性を把握できる。

・固定長期適合率は、「固定長期適合率(%)=(固定負債+自己資本)×100」という計算式で求めることができる。

・固定長期適合率の理想的な目安は100%以下であれば安全。一方、100%以上の場合は資金運用がきちんとカバーできていないと判断されるため、資金繰りが危険な状況と考えられる。(ただし、業種によって理想的な目安の比率は異なる)

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