償却資産税とは?固定資産税と何が違う?二重課税や無申告に要注意! | 税理士コンシェルジュ

税理士事務所 口コミ 紹介実績

償却資産税とは?固定資産税と何が違う?二重課税や無申告に要注意!

2020年8月13日
-

償却資産税とは、固定資産税のひとつです。固定資産税は土地や建物などに係る税金ですが、経費として計上することが認められています。では、固定資産税のひとつである償却資産税はどうでしょうか?

この記事では、償却資産税とはどのような税金なのか、固定資産税と何が違うのかなど、申告をする際の注意点など償却資産税について徹底解説していきます。

償却資産税とは?

償却資産税は、固定資産税のひとつです。固定資産税は実務上、「固定資産税」と「償却資産税」の2つに分類されて呼ばれています。

・固定資産税
固定資産税とは、主に土地や家屋などに課される税金のことです。

・償却資産税
償却資産税とは、機械や器具備品、建築物の付属設備などの課される税金のことです。

どちらとも固定資産税です。しかし、前者の固定資産税は申告は不要ですが、後者の償却資産税は申告をする必要がある、という違いがあります。また、償却資産税という科目は存在していないため注意が必要です。

償却資産税の課税対象

償却資産税の課税対象は、主に土地や家屋以外で事業に用いる資産です。それには雇用年数が過ぎたものや、改良費なども該当します。では、具体例をみてみましょう。

・構築物
堀、舗装路面、門、看板など

・機械や装置
製造設備、機械式駐車設備等

・工具や器具及び備品
事務机、椅子、パソコン、プリンター、理美容機器など

・車両及び運搬具
大型特殊自動車など

・船舶
ボート、釣船、漁船、遊覧船など

・航空機
飛行機、ヘリコプター、グライダーなど

償却資産税の課税対象外

次の資産は、償却資産税の課税対象外となります。したがって、申告をする必要もありません。

・自動車税、軽自動車税の課税対象となるもの
・無形固定資産(ソフトウェア、特許権、営業権など)
・繰延資産
・取得価額が20万円未満の資産で、3年間かけて一括償却で計上しているもの
・1998年(平成10年)4月1日以降開始の事業年度で取得した償却資産の中で、雇用年数が1年未満、もしくは取得価額が10万円未満で、税務会計上固定資産として計上されていないもの
・2008年(平成20年)4月1日以降に締結したリース契約の中で、所有権移転外リース、もしくは所有権移転リースの資産で、取得価額が20万円未満のもの

固定資産税と償却資産税の計算方法

固定資産税と償却資産税は、計算方法や非課税枠などの違いがあります。そのため、計算方法や課税の仕組みの違いを理解しておくことは大切です。

固定資産税の課税額の求め方

固定資産税の課税額は、「固定資産税評価額×標準税率=固定資産税の課税額」という計算式で算出します。固定資産税評価額は、固定資産評価額に基づき、市町村で決定されます。したがって、市役所などで入手できる「固定資産評価証明書」や、毎年送付される「納税通知書」などで確認することができます。

標準税率に関しては、原則1.4%となっています。なお、自治体の中には、別途0.3%以下の「都市化計画税」は課せられることがあります。

償却資産税の課税額の求め方

償却資産税の課税額は、「償却資産の評価額×標準税率=償却資産税の課税額」という計算式で算出します。償却資産の評価額は、「購入した価格×減価残存率=償却資産の評価額」という計算式で求めます。

償却資産税の申告から納税までの流れ

前述したように、固定資産税の場合は、課税対象となる土地や建物に関しては、所有権を得たときに登記簿に登記をするため、固定資産税の申告をする必要はありません。なぜなら、登記により、自動的に課税対象の不動産を把握しているからです。

一方、償却資産税は、市町村によって課せられる税金のため、納税者が申告する必要があります。では、償却資産税の申告から納税までの流れをみていきましょう。

ステップ①申告書の作成
毎年、各市町村から送付されてくる「償却資産申告書」が送付されます。1月1日現在所有している資産状況を記入します。

ステップ②申告書の提出
申告書を、1月31日までに市町村に提出します。

ステップ③納税通知の送付
申告した資産に課される税金の計算は、各市町村が行います。したがって、納税者が税額を計算する必要がありません。申告書提出後、同年の6月頃、市町村から納税通知書が送られてきます。

ステップ④納税
納付時期は、固定資産税、償却資産税ともに4月、7月、12月、2月の年4回に分割納付となっています。金額が記載されている納付書と一緒に現金で支払うこともできますが、口座振替で自動支払いすることも可能です。

ただし、口座振替の場合は、領収書が発行されないため、口座入出金記録を証拠として残しておくことを忘れないようにしましょう。なお、納期に関しては、各市町村により異なることもあるので、それぞれの自治体で確認されることをおすすめします。

二重課税に要注意!

前述したように、固定資産税は、土地や建物にかかる「固定資産税」と、それ以外の固定資産にかかる「償却資産税」の2つに分類されており、申告が必要なのは「償却資産税」だけです。なぜなら、土地や建物はすでに市町村は把握しているため、申告をしなくても納税通知書が送付されます。

しかし、両者の区分が難しい部分があります。それは、固定資産の「家屋」と償却資産の「建築物」の区分、つまり境目です。固定資産税の対象となる家屋には、いわゆる建物が課税対象となっています。

一方、償却資産税の対象となる構築物には、堀、舗装路面、門、看板などに加え、その他建築設備や内装工事や内部造作等が含まれます。償却資産税の対象となり「その他建築設備や内装工事・内部造作等」には、固定資産として固定資産税が課税されているものも含まれています。

したがって、償却資産税として申告するなら、固定資産税と償却資産税の二重課税をしている可能性があります。またそれとは逆に、課税が課されていないケースも生じる可能性があります。一例として、賃貸物件を借りている借主が、後から内装工事や内部工事などをした場合などが挙げられます。

この場合、固定資産税の家屋には、借主が加えた内装工事や内部工事の評価が含まれていないため、借主には償却資産として申告する義務が発生します。このように固定資産税と償却資産税が二重課税となることもあれば、無申告となることもあります。

ですから、申告すべき償却資産と申告不要の固定資産の区分をしっかり理解することはとても大切です。もし無申告の場合は、申告漏れとしてペナルティが課せられる可能性もあります。判別ができない資産の場合は、市町村に確認されることをおすすめします。

償却資産税の軽減制度

償却資産税は、地方税で定められている軽減制度が適用されます。つまり、軽減制度を上手に活用するなら、節税対策につながります。

一例として、地方税上には、「学校法人等が設置する保育・教育用固定資産などを非課税とする」「公益社団法人などが学術研究に用いる固定資産を非課税とする」「内航船舶に課税標準の特例を認める」などと記載されています。

これらの制度を利用するためには、必要書類を提出する必要がありますが、節税対策になるため、利用する価値があると言えるでしょう。その他にも、2018年の税制改正により、「中小企業を対象とした固定資産税の特例措置」という制度や、「固定資産税等(土地)の負担調整措置」などの制度があります。

さらに「新築住宅に係る固定資産税の減額措置」「認定長期優良住宅に係る特例措置」などの軽減措置もあります。これらの償却資産税の軽減制度を活用するなら、節税効果を得られるでしょう。

固定資産税と償却資産税は経費になる!

固定資産税と償却資産税は、税法上、必要経費として認められています。なぜなら、業務のために必要とされる資産にかかる税金は、必要経費と認められているからです。

つまり、事業を行うために必要な土地、建物、自動車、機械、備品などの固定資産税や償却資産税は、原則、すべてを経費として計上することが可能です。

しかし、当たり前のことですが、プライベートで使用している土地、建物、自動車などは経費として計上することはできません。

仕訳方法

では、固定資産税や償却資産税を支払った場合、どのように仕分ることができるでしょうか?経費として処理する場合は、2つの方法での処理が認められています。それは「賦課決定があった日」と「支払い日」に経費処理する方法です。では、それぞれの方法を確認してみましょう。

【賦課決定があった日に経費処理する方法】
固定資産税や償却資産税の賦課決定(支払う税金の金額が決定)した日に経費処理する場合、次のように仕訳をします。

(借方)租税公課  〇〇円  (貸方)未払金 〇〇円
なお、金額に関しては、1年間に支払う固定資産税や償却資産税の合計額を記入します。

そして、4月、7月、12月、2月のそれぞれの納付日に、次のように仕訳をする必要があります。

(借方)未払金 〇〇円   (貸方)現金 〇〇円
なお、金額に関しては、その納付日に支払った金額を記入します。

【支払い日に経費処理する方法】
固定資産税や償却資産税の支払日に経費処理する場合は、賦課決定のあった日に仕訳は行いません。それぞれの納付日に支払ったときに経費処理をします。つまり、支払いをした分だけを経費として計上します。

(借方)租税公課 〇〇円  (貸方)現金 〇〇円

まとめ

・固定資産税は、土地や建物にかかる「固定資産税」と、それ以外の固定資産にかかる「償却資産税」の2つに分類されている。
・固定資産税は申告不要であるが、償却資産税は毎年1月31日までに申告しなければならない。
・償却資産税の申告するためには、家屋と償却資産の区分をしっかり理解していなければ、二重課税や無申告が起きる可能性がある。
・償却資産税の無申告には、ペナルティが発生する。


税理士コンシェルジュコラム

  • 税理士とは

    税理士にこれから相談をお考えの方のために、税理士という士業を知るための基本的な知識を解説しています。相談する時の注意点や相談料が分かります。

    続きを見る
  • 税理士を探す

    税理士をつけようと思った方のために、税理士を探す時に税理士選びで失敗しないためのポイントや、上手な付き合い方を解説しています。

    続きを見る
  • 税理士の報酬

    税理士の報酬について詳しく知りたい方のために、税理士の料金が決まる仕組みや相場を解説しています。費用の仕組みを把握することで、値下げの交渉や依頼業務の整理ができるようになります。

    続きを見る
  • 税理士の変更

    税理士の紹介や変更をお考えの方のために、税理士への不満や苦情の解決方法を解説しています。スムーズに紹介を受ける方法や変更をすることで無駄な時間とストレスを最小限に抑えることができます。

    続きを見る
コラム記事一覧を読む

新着・税理士無料相談

税理士相談の一覧を見る

新着・口コミ

    税理士口コミ検索

    税理士無料相談室

    親身になってくれる税理士に
    無料で相談できます。

    新規登録(無料)する 過去の相談一覧

    口コミを投稿する

    税理士を探している方の参考になる
    口コミをお寄せください。

    口コミを投稿する

    税理士の方へ

    サイトへの掲載・案件のご紹介に関しては、
    お気軽に問い合わせください。

    税理士の方へ

    厳選税理士紹介

    面談済み税理士1000名の中から、
    あなたにピッタリの厳選税理士を
    無料でご紹介するサービス

    税理士紹介サービスはこちら