2020年6月15日

流動比率とは何?流動比率から企業の経営能力を読みとる!

流動比率とは、財務分析を判断する経営指標のひとつです。流動比率を読み取ることができれば、企業の支払い能力を読み取ることができます。この記事では、流動比率の基礎的知識について、分かりやすく解説していきます。

流動性とは?

流動性比率を理解するためには、まず流動性についてよく理解することが大切です。流動性(liquidity)は、さまざまな分野で使われている表現として、一般的にはモノが流れ動く性質のことを意味していますが、財務会計では企業の支払い能力の際に使われています。企業は、債務を返済することができなければ倒産してしまいます。

流動性が高ければ高いほどそれに比例して返済能力が高いため、倒産の可能性は低いと判断することがでいます。つまり、流動性を読み取ることができれば、倒産の可能性を判断できるということです。なお、財務会計では、流動性を使ったさまざまな表現があります。例えば、財務流動性、財務安全性、支払い能力、健全性などが挙げられますが、どれも同じ意味を持っています。

流動性の短期と長期

流動性は、短期と長期の観点から検討する必要があります。では、短期、また長期の観点とはどのようなことでしょうか?流動性の短期とは、2~3年以内の短期間内に企業が倒産するかどうかを判断することです。判断するためには、債務の返済に充てるべき現金や預金などの資金が十分か、それとも不足していないかを検討することです。

つまり、短期の場合は、流動資産や流動負債などのストックのバランスを、現金預金の流入や流出などのフローの両方から検討する必要があります。一方、流動性の長期とは、現金預金の流入や流出などのフローではなく、財務構造や財務体力などのストックからの観点で検討していきます。

流動比率とは?

では、流動比率とは何でしょうか?流動比率とは、短期的な支払い能力を分析する際に用いる指標のことです。流動比率は、流動負債に対する流動資産の割合を表しています。1年以内に支払うべき負債は、1年以内に現金化する流動資産で支払うべき、という考え方に基づいたものが流動比率です。つまり、安定した資金繰りは、流動負債の額を超える流動資産を持つ方がよい、という考え方をしています。

流動比率の計算式

流動比率は、「流動資産÷流動負債×100=流動比率」という計算式で求めます。流動資産とは1年以内に現金化が見込まれる資産、流動負債は1年以内に支払い期限がある負債のことです。なお、流動資産と流動負債は貸借対象から知ることができます。貸借対照表の左側には流動資産と固定資産、右側には流動負債と固定負債、純資産が記載されています。

具体的な勘定科目として、流動資産には、現金・預金、受取手形、売掛金、棚卸資産、貸倒引当金などの流動資産が挙げられます。流動負債には、支払手形、買掛金、短期借入金などが代表的です。

流動比率から分かることとは?

計算式を見ての通り、流動比率は、流動資産の額を流動負債で割ります。流動資産の額が流動負債の額を超えているなら、流動比率は100%を超えることでしょう。つまり、流動比率は、1年以内に返済すべき金額を流動資産ですべて賄うことができるかを示す指標なので、これを読むことができれば、企業の短期的な支払い能力を判断することができます。なお、流動比率が高ければ高いほど短期安全性が高い、と一般的に言われています。

流動比率と当座比率の違いとは?

流動比率と同じように、企業の短期的な安全性を判断するための指標に「当座比率」と呼ばれるものがあります。当座比率は、「当座資産÷流動負債×100」という計算式で求めます。この計算式からも分かるように、流動資産の中でも換金性が高い当座資産で流動負債を割り、当座比率100%をかけて算出します。当座資産には、現金・預金、売掛金や受取手形などの売上債権、有価証券などが該当します。

流動比率の理想比率とは?

一般的に流動比率は、200%を超えていることが理想的と言われています。つまり、貸借対照表に記載されている流動資産の2倍に相当する金額を所有していることがよいとみなされています。なぜなら、流動資産を換金することにした場合、貸借対照表に計上されている帳簿価額すべてを売却することはほぼ難しく、たいてい半分ほどしか売却することができないからです。

そのため、流動比率は高ければ高いほどよいと言われていますが、流動資産の内容をしっかり確認し、どれが売却できるかどうかを見据えることも大切です。例えば、流動資産の中には、1年以内に資金化することは難しいと思われる商品などの在庫や仮払金、短期貸付金などが含まれています。ですから、このような現金化することが多い流動資産が多いため、流動比率が高くなっているときには、しっかり内容を確認することがとても大切と言えます。

当座比率の理想比率とは?

では、当座比率の理想比率はどのくらいでしょうか?当座比率の場合は、100%を超えていれば安全性があると言われています。しかし、当座比率が高ければよいというものではなく、当座資産に含まれている売上債権が極端に多額の場合は、回収することが難しい売掛金などが含まれていることがあります。そのため、流動比率同様、当座比率が高いとしても、当座資産にはどのようなものが含まれているのか内容をしっかり確認することは大切です。

流動比率が100%を超えていなかったら?

流動比率が100%を超えないことも生じえます。流動比率が100%を越えていないときは、資金繰りが危うい可能性が高いため対策を打つ必要があります。どのようにでしょうか?例えば、短期的に資金を調達できるところを確保することができるでしょう。また、売上債権の回収期間を短くしたり、支払いまでの期間を長くしたりなど決済条件の対策を打ち、資金繰りについて見直すことができます

つまり、流動比率が100%を超えないときは、安全性があるとは言えないため、その内容をしっかり確認するようにしましょう。

流動比率で判断する際に注意したいこと

流動比率で企業の支払い能力を判断する際に、注意したいことがあります。それは次のようなことです。

流動資産に支払いできない資産が含まれていることがある

上記でも少し触れましたが、流動資産の中には、売掛金や棚卸資産、有価証券など支払いに充当できない資産が含まれています。そもそも預金の中には、定期預金が借入担保に差し入れられているために、債務の支払いができなくなることがあります。そのため、多額の現金を保有していても担保の差し入れの影響で倒産してしまう企業もあります。では、売掛金や棚卸資産、有価証券はどのような影響を与えているのでしょうか?

・売掛金
売掛先の企業が倒産してしまったり、回収が難しい売掛金があったり、粉飾による架空の売掛金が存在していたりなど、償却したくても償却することができない不良債権が生じることがあります。このような不良売掛金は、回収して資金化することが難しくなっています。

・棚卸資産
棚卸資産の中には、長期滞留の在庫が含まれていることがあります。長期滞留在庫になってしまった理由には、購入した材料の一部が製品に使われなくなったり、商品がリニューアルしたために旧製品が残ってしまったりなどが挙げられます。このように長期滞留している不良棚卸資産は、現金化することは難しくなっています。

・有価証券
通常、有価証券はいつでも売却できるものですが、売却できずに現金化することが難しいこともあります。それとは逆に、投資有価証券の中には、長期保有しなけれなならないのにすぐに売却できるものもあります。ですから、すぐに現金化できる有価証券かどうかをよく見極めることは必要です。

業種によって流動比率の目安が変動する

流動比率は、業種によって特徴があります。例えば、小売業の場合、その多くは現金商売のため、売掛金や受取手形などの売上債権はほとんどありません。また、電力などの企業の場合は、棚卸資産はほとんどありません。このようにある業種では棚卸資産の比率もよいと判断できますが、業種によっては流動比率だけで企業の支払い能力を判断することは難しいこともあります。つまり、業種によっては、流動比率で起業を評価することはできないということです。

流動比率は貸借対照表の決算時点を示すもの

すでに見てきたように、流動比率は貸借対照表から求めます。つまり、流動比率は、貸借対照表の流動資産と流動負債の決算時点の状況を示しているものにすぎません。事業の中には季節性のある企業もあるため、必ずしも期中の状況と期末の状況の貸借対照表の状況が同じというわけではありません。つまり、業種によっては、貸借対照表にはタイムロスがあるため、そこから算出される流動比率だけで起業を評価することはできないと言えます。

流動性は運転資金需要によって変動する

運転資金の需要は、流動比率に影響を与えることがあります。例えば、売上債権回転期間よりも買入債務回転期間の方が長ければ、売上が伸びている間に資金に余裕がでてきます。したがって、たとえ流動比率が低いとしても、支払い能力が低下することはないため特に問題はありません。しかし、売上は一旦減少してしまうと、支払い能力にトラブルが発生する可能性があります。また、売上債権回転期間よりも借入債務回転期間の方が短いときには、まったく逆のことが生じることがあります。

無借金で流動比率が高いのはリスクが伴う

銀行などの金融機関から借入をせず、無借金で経営をしている場合は、流動比率が高くなります。しかし、業種によっては、無借金で経営をしていると、事業に遅れがでてしまい、競合企業に負けてしまう可能性があります。つまり、無借金で経営をしているため流動比率が高くても、将来負けてしまう可能性があるため、必ずしも無借金での経営で流動比率が高いことがよいと判断することはリスクが伴います。

なお、無借金での経営がよいとみなされているのは、競合他社が少ない業種や独占企業などが該当し、これらは無借金で流動比率が高くても問題はありません。

まとめ

流動性と流動比率についてみてきました。流動比率は、会社の短期安全性や支払い能力を分析する指標で、貸借対照表から求めることができます。あくまでも一つの指標であり、流動比率だけで企業を評価するリスクや危険性もあります。ですから、流動比率だけで企業を判断するのではなく、その内容までしっかり確認して企業の流動性を正しく評価するようにしましょう。

▢一番読まれている記事

  1. 2020年02月18日
    「続柄」の正しい書き方とは?書き方の基礎知識

  2. 2020年05月19日
    【特別家賃支援給付金】最大300万円事業者の家賃を補助!対象条件とは?

  3. 2020年05月04日
    給与所得と給与収入の違いって何?意味や違いなどを分かりやすく解説!

  4. 2020年04月27日
    財団法人とは?「一般」と「公益」の違いなど設立前に知っておくべきこと

  5. 2020年03月29日
    【市町村民税(住民税)の基礎知識】仕組みや計算方法などを徹底解説!

  6. 2020年04月20日
    請求書の「かがみ」とは?知っておきたい請求書の基礎知識

  7. 2020年02月29日
    総勘定元帳の基礎知識とエクセルで作成する方法

  8. 2019年10月23日
    税理士への苦情は、どこに言う?

  9. 2020年05月21日
    新型コロナ緊急対策の持続化給付金ー中小企業200万円・フリーランス100万円の現金給付金

  10. 2020年02月01日
    税理士を雇う費用はいくらなのか?4つのメリット