税理士は節税提案があると同時に税務調査の対策が重要| 税理士コンシェルジュ

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税理士は節税提案があると同時に税務調査の対策が重要

2021年10月22日
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「税理士は、税金の専門家」

「つまり、節税の専門家ということ?」

と考える経営者の方は少なくありません。

たしかに、税理士はその専門知識と経験を活かし、顧問先の企業に節税の提案をすることがあります。

そして、節税にはいろいろな方法があります。基礎控除のように、わかりやすく制度化されたものを利用する場合もあれば、経費の計上方法の選択により節税につながるといった、複雑な仕組みを能動的に利用する場合もあります。

節税をうまく活用すれば、経営にとってプラスに働くことは間違いありません。

しかし、むやみな節税は税務調査での指摘を受けたり、加算税等を支払うことになったりするリスクがありますし、節税のために社内で過剰な負担が生じたり、業務に支障が出るようになっては本末転倒です。

税理士も、経営者の方が節税に大きな興味を持っていることは承知しています。適切な節税提案をする税理士は魅力的に映るでしょう。しかし、「ウケが良い」からといって、耳障りの良い節税の提案ばかりしてくる税理士は危険です。

つまり、その企業にとって適切な節税提案であるかが大切だということです。攻めの姿勢で節税対策を行った結果、税務調査で否認されてしまっては意味がありません。

税理士と節税提案については、主に以下の点をチェックするとよいでしょう。

・積極的に節税対策を提案してくれるか
・やみくもな節税対策ではなく、自社に即した提案になっているか
・メリットとデメリットをきちんと説明してくれるか
・きちんとした根拠のある提案なのか

また、税務調査時に備えて

・丁寧に準備に取り組んでくれるのか
・いざというときに、きちんと調査官にも主張してくれるのか

といった点にも注意が必要です。

この記事では、税理士の節税提案について、税務調査まで視野に入れてチェックすべきポイントを解説します。

節税提案に対する考え方は、税理士によって異なる

税金は、社会にとって必要不可欠です。しかし課税される企業としては、事業を営むうえでの重大な検討材料でもあります。

したがって、自社の顧問税理士が、税金に対してどのように考えているのかは把握しておきたいところです。なぜなら、税金への基本的な考え方が、節税への考え方の違いに繋がるためです。

いくつかのタイプに分けると、概ね以下のようになります。

タイプ1、節税提案に積極的な税理士

依頼者側から要請がなくても、経験や業種でのノウハウに基いて、事業予測から考えられる節税提案を積極的に行ってくれるタイプの税理士です。

このようなタイプの税理士は、節税対策について、費用対効果が高いものや、将来性を見越した計画性が必要なものについて具体的に説明してくれるでしょう。何よりも顧問先の経営を優先し、そのためであれば積極的に節税をしようとします。

ただし、気をつけなければいけない点もあります。

現在、税理士業界は大きな過当競争の波にさらされています。そこで、税理士が顧問先に好印象を与えようとしたり、契約を獲得(或いは継続)しようとして、脱税になってしまうような案を提案してくる可能性も否定はできません。

誤った提案に乗っかってしまい、経営に大きなダメージを与えては元も子もありません。

節税に積極的であるということは喜ばしくはありますが、あまりに前のめりであることに少し違和感を感じるような場合は、セカンドオピニオンを利用するといった方法もあります。

税理士の積極的な姿勢や、節税提案は歓迎しつつ、冷静に判断することが大切です。

タイプ2、節税提案に消極的・安全第一と考える税理士

一方、「適切な納税を守ることが第一である」と考える税理士もいます。そうした税理士は、知恵を絞って効果的な節税対策を考えることに否定的な姿勢も見受けられます(一般的には、税務署OBの税理士に多い印象です)。

こうした税理士の指導に従った結果、「税務調査で何も見つからなかった」「うちの税理士の言うことには間違いはない」と喜ぶ経営者の方も少なくありません。

しかし、これはまったく「顧問税理士が節税対策をしておらず、最大限に納税しているからである」という可能性があります。税理士の立場だけを考え、なるべく危ない橋は渡らず無難に済むように、多めに納税しておけばよいと考えているのかもしれません。

会社側にしてみれば、享受できるはずのメリットを逃しているかもしれません。危ない橋を積極的に渡る必要はありませんが、「もっとできることはないだろうか?」と税理士に確認してみてもよいでしょう。

タイプ3、節税提案に慎重な税理士

タイプ2と似たように見えますが、保身のために消極的な選択をしているではなく、顧問先のことを考えて慎重な姿勢の税理士もいます。

一見、「節税に消極的なのでは?」と捉えられがちですが、実際には、経営者の方が節税対策を求めているということは承知した上で「できないものは、できない」「御社の場合にはお薦めできない」と冷静に意見しているという税理士です。

短絡的に、目の前の経営者の方を喜ばせようと、あるいは契約を長引かせようと強引な節税対策を提案する税理士よりも、少し腰が重いのかもしれないと感じるような税理士のほうが、真摯に会社のことを考えてくれているという場合もあります。

自分が大きな負担を抱えたくないために、節税に対して消極的な税理士は望ましくありませんが、熟慮した上で節税対策に対して慎重な姿勢を示しているということであれば、経営者の方が納得のできるまで意見を聞いてみて、税理士の真意を確認してみるとよいでしょう。

真意を確認した上で「もっと積極的に提案してほしい」「節税提案が物足りない」と感じるのであれば、税理士と相談してみましょう。顧問先のことを大切に考えている税理士であれば柔軟に対応してくれるでしょう。

それでも折り合いがつかないようであれば、経営や税に関する考え方の違いと判断して、関係を見直すのも一考です。

税理士による節税提案の例

では、税理士はどのような節税提案してくれるのでしょうか。端的に挙げると「その節税対策には費用がかかるのか・かからないのか」に大別できます。

例えば、家族経営の会社において青色申告にして家族を従業員にする等、適切な制度を導入することで出費を伴わず法人税の節税を図ることができます。これには費用はかかりません。

事業承継税制等の特例を積極的に用いることも、同様の対策といえます(なお、事業承継税制は変化が多く、免除ではなく猶予である点等に注意が必要な制度ですが、これも節税に積極的な税理士であれば当然に抑えているポイントです)。

参照:国税庁ホームページ事業承継税制特集

また、経営にあたっては設備投資や新規出店等、何かと費用がかかるものですが、その費用が必要経費として認められれば、利益を減らし、税金の額も減ります。こちらの対策にはお金がかかりますが、事業にとってプラスに働くことも少なくありません。

その他にも、生命保険や倒産防止共済等、利益の先送りによって法人税の節税を図る方法がありますが、まとまった資金が出て行くため、予めしっかりとした資金繰りの計画を立てる必要があります。

税理士による節税提案が、最新の情報に基づいているかに注意

ただし、こうした対策は常に最新の情報に基づいて行わなければ、かえって大きな損失となる可能性があるということにも注意です。

古くなった情報をもとに節税対策を行った場合、「要件が変更されていて、適用されなかった」「その対策はすでに期限が切れていた」といったことになりかねません。結果、追徴金や法令違反等に該当することになりかねませんし、対策のために用いた時間や労力だけを考えてもマイナスとなります。

どんな節税対策を提案してくれるのかということも大切ですが、そもそも常に最新の情報をチェックしている税理士であるのかという見極めも大切です。

税理士による節税提案で、失敗しないためには

なぜ税理士に積極的に節税提案をしてもらいたいのか。それは、「無駄な税金を払いたくない」ということでしょう。

では、無駄な税金を払いたくない目的は何でしょうか? その最終的な目的は「なるべく手元にお金を残したい」につながるのではないでしょうか。

しかし、この「なるべく手元にお金を残したい」と「無駄な税金を払いたくない」がイコールにならない場合があります。あまりに節税に捉われすぎた結果「目先の納税は一時的に減ったが、長い目で見た場合に大損をしている」というケースがあります。

例えば、税理士が手数料欲しさに必要以上の生命保険に加入させ、手持ちの現金が少なくなる場合もあります。急激な業績の悪化で、加入した生命保険を途中で解約することになった中小企業も多々あります。

契約が満期でない生命保険を途中で解約すると、支払ったお金はほとんど戻ってきません。ひどい時は、返戻率が一番高くなる時期を過ぎているにも関わらず、加入させっぱなしで放置されている会社も存在します。

また、契約内容によっては全く節税効果がなかったり、非課税枠の対象になっていなかったことが後からわかり過大な納税をすることになったりと、落とし穴が多くみられるものです。相続や土地の評価が絡む場合はさらに複雑な内容になるため、判断を誤ると大きな痛手を負うことにもなりかねません。

退職金に関する提案も、頻出の節税対策です。しかし、計算方法が複雑であることに加え、金額の多寡や勤続年数、勤務実態等、税務調査では厳しくチェックされることも多いので慎重な判断が求められます。

他にも節税対策には様々な種類がありますが、ベーシックなものであっても、イレギュラーなものであっても、提案を採用する場合には入念な準備や管理が必要です。

税理士も、悪気があって会社にマイナスとなるような提案をしてくるわけではありません。提案の内容が目先の利益と納税を減らすことに注力された結果、悪い結果となってしまうということはあるものです。

しかし、払った経費が手元に戻ってくればまだマシですが、経費が戻ってこない節税対策のために費やした費用は、単なる大きな出費です。最悪の場合には、これを原因として会社が倒産してしまいます。

効果的な節税には、長期的かつ精度の高い予測を含んだ計画性が必要です。対処療法では不十分といわざるを得ず、事業や経営の状況を見ながら、税法の適用事例等と照らし合わせ、個々の事例に合った節税対策を、先を読んで立てることができなくてはならないのです。

税理士の提案に根拠があるのか、また、提案内容についてその税理士は経験豊富なのか否かをチェックするとよいでしょう。

節税提案が、税務調査も見据えているかをチェック

積極的かつ無鉄砲ではない、適切な内容の節税提案を行ってくれる税理士だとしても、税務調査に対しての姿勢もチェックしておきたいところです。

つまり、「いざというときに、守ってくれるのか」ということです。

「安心してください」「問題ありませんよ」等と言っていたのに、いざ税務調査が入ると調査官の指摘の言いなりだったり、調査官の求めに対して根拠を示すことができないようでは問題です。

その場のノリで「こんな節税対策がありますよ」「こうすれば御社の負担もだいぶ軽くなるはずです」と顧客が気に入るような提案を得意とする税理士はいます。

しかし、税務調査が入った途端に頼りにならないようでは、自社の税務会計を任せることも経営について相談することもできません。

税務調査では調査官によって指摘してくるポイントが違うため、税理士にはかなりの知識と経験が求められます。そうした場面で、過去の判例をもとに、企業の立場から調査官と戦ってくれるような税理士が理想的です。

「積極的な節税提案をしてくれない」という税理士に対する不満はよく耳にしますが、「積極的な節税提案」は「その先(税務調査)」も見据えているのかについても気にしておくと、より安心して税理士との関係を築くことができ、経営にとってプラスに働きます。

また、上記の点をチェックした結果、顧問税理士の発言や態度・姿勢に不安がよぎるようであれば税理士の変更を検討することも視野にいれるとよいでしょう。

参考記事:税理士との付き合い方に疑問を感じたらチェックしたい4つのポイント


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